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第四章
魔法使いと眠る姫5
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姿が変わった子供は、ゆるくウェーブした黒に近い紫色の髪に、藤色の瞳をした、十歳くらいの美少女だった。
「始めまして。オレは深井誠二、十七歳。緑陵学園高等部二年C組で、サッカー部所属。君は?」
「わたしは・・・。」
微笑んだ少女は、はっとしたように慌てて起き上がり、自分の体を見た。
「姿が戻ってる?!どういうことなの?クエティオディ様!」
ベッドの上の少女は、怯えたように誠二を見た。
「恐がらなくていいよ。君の名前を教えてくれない?」
「え?わたし・・・?」
びっくりした目で誠二を見てから、少女は慌てて答えた。
「ユンスウ。ユンスウ・フォウスディ。」
「ユンスウちゃんか。よろしくね。」
にっこりと笑う誠二を見て、ユンスウは再び目を丸くした。
「怒って・・・ないの?」
「何を?」
にこにこ笑う誠二を見て、ユンスウは涙目で叫ぶように言った。
「わたしがクエティオディ様にお願いして誠二を地球からこっちにつれてきてもらったんだよ!
その後は、わたしの伴侶に相応しいかテストをしたし、最初の口付けで伴侶を決める王族の慣わしを逆手にとって、口付けてもらおうとしたし!」
「なるほど。やっぱりディヤイアンちゃんは、全部を教えてくれてなかったってわけか・・・。
・・・っつーか、魔法使いは、君のお願いを叶えるために。こんな手の込んだことをしたってわけか・・・。」
「ごめんなさい・・・。ごめんなさい・・・。」
ベッドに座るユンスウに合わせてその場にしゃがみ、ぼろぼろと涙を流すユンスウの顔を下から覗き込んで、誠二は優しく言った。
「まぁ、未遂に終わったし、オレ、もう怒ってないよ。だからユンスウちゃんも泣かないで。女の子に泣かれると、困るよ・・・。」
「女の、子?わたしは・・・女の子じゃないよ?」
「は?」
しゃくりあげて首を横に振りながら言うユンスウの言葉に、誠二は見事なくらいに固まった。
「・・・じゃ、じゃぁ、男・・・の子?」
勇気を振り絞って聞くと、泣き止んだユンスウに再び首を横に振られた。
「ちがうよ。この世界には男女の性別が無いの」
「え?じゃぁ、子供はどうやって作んの?」
「夫婦になった二人が、自分達で世界各地にある材料を集めて、それをこねて一年間それに願いをかけると子供が生まれるの。願いの力が強いほど、強くてたくましい子供が生まれるんだって」
「えーっと・・・」
(まるで性教育前の子供だましみたい・・・。キャベツ畑とか、コウノトリとか・・・。)
「本当だよ。こう見えてユンスウは君よりも二歳ほど年上だからね。」
「うぇ?」
突然後ろからした声とその内容に驚いた誠二は、変な声を上げて振り返った。
そこには魔法使いとディヤイアンが立っていた。何故かエクーディアだけは見当たらなかった。
「あ。ディヤイアンちゃんに、魔法使い・・・。」
「泥と水との炎と風で人を作るのがこの世界のやり方だ。あと、ユンスウは今十九歳だ」
そのクエティオディの言葉を聞き、誠二は目を見開いて、目の前の子供をじーっと見た。ユンスウは見つめられるのが恥ずかしいのか、頬を赤く染めている。
どう見ても十歳前後にしか見えない。素直にそう言うと、今度はディヤイアンが答えた。
「この世界の住人の平均寿命は、地球よりはるかに長くて、ざっと二百年ほどなんだ。まぁ、魔法を極めると・・・あー・・・、いろいろな要素が加わって寿命が延びる。長くて四百年くらいかな?」
「ちなみに私はこの中で最年長で、今年百八歳なったよ」
「んげ・・・。」
魔法使いの言葉に、誠二は頭がくらくらしてきた。
「始めまして。オレは深井誠二、十七歳。緑陵学園高等部二年C組で、サッカー部所属。君は?」
「わたしは・・・。」
微笑んだ少女は、はっとしたように慌てて起き上がり、自分の体を見た。
「姿が戻ってる?!どういうことなの?クエティオディ様!」
ベッドの上の少女は、怯えたように誠二を見た。
「恐がらなくていいよ。君の名前を教えてくれない?」
「え?わたし・・・?」
びっくりした目で誠二を見てから、少女は慌てて答えた。
「ユンスウ。ユンスウ・フォウスディ。」
「ユンスウちゃんか。よろしくね。」
にっこりと笑う誠二を見て、ユンスウは再び目を丸くした。
「怒って・・・ないの?」
「何を?」
にこにこ笑う誠二を見て、ユンスウは涙目で叫ぶように言った。
「わたしがクエティオディ様にお願いして誠二を地球からこっちにつれてきてもらったんだよ!
その後は、わたしの伴侶に相応しいかテストをしたし、最初の口付けで伴侶を決める王族の慣わしを逆手にとって、口付けてもらおうとしたし!」
「なるほど。やっぱりディヤイアンちゃんは、全部を教えてくれてなかったってわけか・・・。
・・・っつーか、魔法使いは、君のお願いを叶えるために。こんな手の込んだことをしたってわけか・・・。」
「ごめんなさい・・・。ごめんなさい・・・。」
ベッドに座るユンスウに合わせてその場にしゃがみ、ぼろぼろと涙を流すユンスウの顔を下から覗き込んで、誠二は優しく言った。
「まぁ、未遂に終わったし、オレ、もう怒ってないよ。だからユンスウちゃんも泣かないで。女の子に泣かれると、困るよ・・・。」
「女の、子?わたしは・・・女の子じゃないよ?」
「は?」
しゃくりあげて首を横に振りながら言うユンスウの言葉に、誠二は見事なくらいに固まった。
「・・・じゃ、じゃぁ、男・・・の子?」
勇気を振り絞って聞くと、泣き止んだユンスウに再び首を横に振られた。
「ちがうよ。この世界には男女の性別が無いの」
「え?じゃぁ、子供はどうやって作んの?」
「夫婦になった二人が、自分達で世界各地にある材料を集めて、それをこねて一年間それに願いをかけると子供が生まれるの。願いの力が強いほど、強くてたくましい子供が生まれるんだって」
「えーっと・・・」
(まるで性教育前の子供だましみたい・・・。キャベツ畑とか、コウノトリとか・・・。)
「本当だよ。こう見えてユンスウは君よりも二歳ほど年上だからね。」
「うぇ?」
突然後ろからした声とその内容に驚いた誠二は、変な声を上げて振り返った。
そこには魔法使いとディヤイアンが立っていた。何故かエクーディアだけは見当たらなかった。
「あ。ディヤイアンちゃんに、魔法使い・・・。」
「泥と水との炎と風で人を作るのがこの世界のやり方だ。あと、ユンスウは今十九歳だ」
そのクエティオディの言葉を聞き、誠二は目を見開いて、目の前の子供をじーっと見た。ユンスウは見つめられるのが恥ずかしいのか、頬を赤く染めている。
どう見ても十歳前後にしか見えない。素直にそう言うと、今度はディヤイアンが答えた。
「この世界の住人の平均寿命は、地球よりはるかに長くて、ざっと二百年ほどなんだ。まぁ、魔法を極めると・・・あー・・・、いろいろな要素が加わって寿命が延びる。長くて四百年くらいかな?」
「ちなみに私はこの中で最年長で、今年百八歳なったよ」
「んげ・・・。」
魔法使いの言葉に、誠二は頭がくらくらしてきた。
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