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第三章
経験の値1
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先ほど動物をしとめた場所から五分ほど歩いた、下草がやわらかく、少し開けている場所が、今日の宿だった。
頭上を見ると青い空が徐々に赤くなりかけている。
ここに到着してから、ディヤイアンは動物をエクーディアに託すと、動物除けの結界を張ってから、薪を集めに行った。エクーディアは結界の端に置かれた動物を、ナイフでさばき始めた。
最初誠二は、ディヤイアンに薪集めの手伝いを申し出たが、迷うと困るからと優しく断られた。
ディヤイアンが森の奥に消えると、彼はエクーディアの側に行き、エクーディアが無駄の無い動きで動物をさばくのを見ていた。
はっきり言って恐いし気持ち悪いし死んでしまった動物がかわいそうだったが、誠二は何故か熱心にエクーディアのナイフさばきを見ていた。
(・・・。やっぱり、この動物、エクーディアさんが殺したんだよな・・・。
んで、オレたちが食べるんだよな・・・。
オレが腹へったって言ったから、この動物、死ななきゃいけなくなったんだよな・・・。)
彼にしてはネガティブなことをぐるぐる考えていると、こちらも見ずにエクーディアが話し掛けてきた。
「死んでしまった動物は・・・。」
突然語りかけたエクーディアに、誠二がびっくりして俯き加減だった顔を上げた。それを気配で感じ取り、エクーディアは苦笑いをしながら言った。
「この世界では、死んでしまった動物や壊れてしまったものには、ちゃんと理由がある。
快楽で生き物を殺す者は、この世界では、それまでと同じようには生きていけないようになっている。生きていくにはそんな感情は必要無い。」
「えーっと、たとえば今日食べるご飯も無くって、それで人を殺してお金を手に入れるとか・・・。」
以前ニュースで見たような状況を、おそるおそる誠二が言うと、エクーディアは手を止めずに言った。
「そのようなことはありえない。衣食住は国で保証されているからな。」
「えぇ?」
「わたしは剣士だから、この世界のために剣を振るう。だから、それ以外の仕事は基本的にしなくていい。もちろん、家に帰ったら家事を手伝うがな。」
「・・・他の国はどうなんですか?」
誠二の呟きに、エクーディアはやっと顔を上げて少し考えてから、誠二を見た。
「あぁ、そうか。誠二君の世界は国が乱立しているのだったな。」
そして、再び作業を開始して話を続けた。
「この世界には国は一つしか無い。わたしたちが仕えているフォウスディ王家のみだ。」
「へ?」
「・・・まったく。ディヤイアンは何の説明をしたのか・・・。」
その後しばらくは肉をさばく音がしていたが、再び唐突にエクーディアは話し始めた。
「この世界は、国王を中心として、一つの国が世界を管理している。といっても、世界は広いから目が行き届かない事もある。
そこで、領主という制度が設けられている。五人いる領主は、一定の領土を王からまかされて、そこを治めている。
その他は、誠二君の世界とあまり変わりはないと思うのだが?
能力がある人物がその職業に就き、そこで得られたものや資源が全世界の人間に分けられる。そしてわたしたちは生活をしている。」
頭上を見ると青い空が徐々に赤くなりかけている。
ここに到着してから、ディヤイアンは動物をエクーディアに託すと、動物除けの結界を張ってから、薪を集めに行った。エクーディアは結界の端に置かれた動物を、ナイフでさばき始めた。
最初誠二は、ディヤイアンに薪集めの手伝いを申し出たが、迷うと困るからと優しく断られた。
ディヤイアンが森の奥に消えると、彼はエクーディアの側に行き、エクーディアが無駄の無い動きで動物をさばくのを見ていた。
はっきり言って恐いし気持ち悪いし死んでしまった動物がかわいそうだったが、誠二は何故か熱心にエクーディアのナイフさばきを見ていた。
(・・・。やっぱり、この動物、エクーディアさんが殺したんだよな・・・。
んで、オレたちが食べるんだよな・・・。
オレが腹へったって言ったから、この動物、死ななきゃいけなくなったんだよな・・・。)
彼にしてはネガティブなことをぐるぐる考えていると、こちらも見ずにエクーディアが話し掛けてきた。
「死んでしまった動物は・・・。」
突然語りかけたエクーディアに、誠二がびっくりして俯き加減だった顔を上げた。それを気配で感じ取り、エクーディアは苦笑いをしながら言った。
「この世界では、死んでしまった動物や壊れてしまったものには、ちゃんと理由がある。
快楽で生き物を殺す者は、この世界では、それまでと同じようには生きていけないようになっている。生きていくにはそんな感情は必要無い。」
「えーっと、たとえば今日食べるご飯も無くって、それで人を殺してお金を手に入れるとか・・・。」
以前ニュースで見たような状況を、おそるおそる誠二が言うと、エクーディアは手を止めずに言った。
「そのようなことはありえない。衣食住は国で保証されているからな。」
「えぇ?」
「わたしは剣士だから、この世界のために剣を振るう。だから、それ以外の仕事は基本的にしなくていい。もちろん、家に帰ったら家事を手伝うがな。」
「・・・他の国はどうなんですか?」
誠二の呟きに、エクーディアはやっと顔を上げて少し考えてから、誠二を見た。
「あぁ、そうか。誠二君の世界は国が乱立しているのだったな。」
そして、再び作業を開始して話を続けた。
「この世界には国は一つしか無い。わたしたちが仕えているフォウスディ王家のみだ。」
「へ?」
「・・・まったく。ディヤイアンは何の説明をしたのか・・・。」
その後しばらくは肉をさばく音がしていたが、再び唐突にエクーディアは話し始めた。
「この世界は、国王を中心として、一つの国が世界を管理している。といっても、世界は広いから目が行き届かない事もある。
そこで、領主という制度が設けられている。五人いる領主は、一定の領土を王からまかされて、そこを治めている。
その他は、誠二君の世界とあまり変わりはないと思うのだが?
能力がある人物がその職業に就き、そこで得られたものや資源が全世界の人間に分けられる。そしてわたしたちは生活をしている。」
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