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第三章
経験の値2
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「じゃあ、貧富の差って無いんですか?他の人より多くものが欲しいとか、思わないんですか?」
「・・・。わたしは、そのようなことは、考えたこともないな。
自分に必要なものがあれば、それで満足しないか?
誠二君は、仕事も食べ物も着る物も寝る場所もあって、それ以上に何が欲しい?」
不思議そうにエクーディアに聞かれ、誠二は頭を抱えた。根本的な考え方が違いすぎる。
「うー・・・。まぁ、オレはあんま物欲って無いけど、マユなんか洋服何着持っててもまだ欲しいって言うし・・・。」
「マユ・・・とは?」
「俺の幼馴染の植原真由美のことです。親友の植原拓海の双子の妹です。
・・・でも、ここに来たのが俺でよかったです。マユだったら、きっと怯えて泣いていただろうから・・・。」
遠くを見る目をしながら、誠二は続けた。
「俺、タクと約束したんです。マユのことは絶対に泣かせないって・・・。」
「・・・彼女が好きかい?」
「もちろん、好きです。大切な幼馴染だから。マユとタクは、俺の家族みたいな、大切な人間なんですよ。」
優しく笑う誠二を見て、エクーディアは少し考えるような顔をした。
誠二はふと我に返り、自分が恥ずかしいことを言ってしまったことに気づき、少し頬を赤くした。
「あー。えーっと・・・。話を元に戻しますけど、オレにだって物欲はありますよ?
たとえば、サッカーシューズとか。まだ履けるけどやっぱり新しいモデルが出たら欲しくなりますし・・・。」
「そのようなものか?」
心底不思議そうに聞かれ、誠二はためらいつつも頷いた。
「そうか・・・。」
そう呟いたエクーディアは、気を取り直したように続けた。
「こちらも話を戻すが、快楽で生き物を殺すような者には、この世界は君たちの世界より法的に厳しい。
この世界には直接的な死刑は無いのだが、重犯罪者は記憶を全て消されて、違う生を生きなければならない。属す領土からも出されて、別人として一生を監視され、世界から力を蓄えることもできずに、弱って死んでいく。」
誠二は目を見開いた。それに気配では気づいていたが、エクーディアは話を続けた。
「そして、犯罪の疑いがある人物は、記憶を見せる義務がある。犯罪者のような行動をしたこと自体が罪だからね。
調べようとすれば、その時その人物が何を考えて、何をしたのかがわかる。魔法で頭の中の記憶や考えを読むことが出来るからな。
しかし、強い術を使わねばならないので、魔法をかけられて発狂するものもいたと聞いている。
話をまとめると、重犯罪者の最高刑は、知識がまったく無い大人になり、緩慢に死ぬことだ。生活は国から保障されているので、数年は生きることができる。
・・・。わたしは専門外なので、あまり詳しくは無いが、もし詳しく知りたいのなら、後でディヤイアンに聞くといい。」
「・・・。わたしは、そのようなことは、考えたこともないな。
自分に必要なものがあれば、それで満足しないか?
誠二君は、仕事も食べ物も着る物も寝る場所もあって、それ以上に何が欲しい?」
不思議そうにエクーディアに聞かれ、誠二は頭を抱えた。根本的な考え方が違いすぎる。
「うー・・・。まぁ、オレはあんま物欲って無いけど、マユなんか洋服何着持っててもまだ欲しいって言うし・・・。」
「マユ・・・とは?」
「俺の幼馴染の植原真由美のことです。親友の植原拓海の双子の妹です。
・・・でも、ここに来たのが俺でよかったです。マユだったら、きっと怯えて泣いていただろうから・・・。」
遠くを見る目をしながら、誠二は続けた。
「俺、タクと約束したんです。マユのことは絶対に泣かせないって・・・。」
「・・・彼女が好きかい?」
「もちろん、好きです。大切な幼馴染だから。マユとタクは、俺の家族みたいな、大切な人間なんですよ。」
優しく笑う誠二を見て、エクーディアは少し考えるような顔をした。
誠二はふと我に返り、自分が恥ずかしいことを言ってしまったことに気づき、少し頬を赤くした。
「あー。えーっと・・・。話を元に戻しますけど、オレにだって物欲はありますよ?
たとえば、サッカーシューズとか。まだ履けるけどやっぱり新しいモデルが出たら欲しくなりますし・・・。」
「そのようなものか?」
心底不思議そうに聞かれ、誠二はためらいつつも頷いた。
「そうか・・・。」
そう呟いたエクーディアは、気を取り直したように続けた。
「こちらも話を戻すが、快楽で生き物を殺すような者には、この世界は君たちの世界より法的に厳しい。
この世界には直接的な死刑は無いのだが、重犯罪者は記憶を全て消されて、違う生を生きなければならない。属す領土からも出されて、別人として一生を監視され、世界から力を蓄えることもできずに、弱って死んでいく。」
誠二は目を見開いた。それに気配では気づいていたが、エクーディアは話を続けた。
「そして、犯罪の疑いがある人物は、記憶を見せる義務がある。犯罪者のような行動をしたこと自体が罪だからね。
調べようとすれば、その時その人物が何を考えて、何をしたのかがわかる。魔法で頭の中の記憶や考えを読むことが出来るからな。
しかし、強い術を使わねばならないので、魔法をかけられて発狂するものもいたと聞いている。
話をまとめると、重犯罪者の最高刑は、知識がまったく無い大人になり、緩慢に死ぬことだ。生活は国から保障されているので、数年は生きることができる。
・・・。わたしは専門外なので、あまり詳しくは無いが、もし詳しく知りたいのなら、後でディヤイアンに聞くといい。」
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