11 / 33
第二章
運動と衝撃1
しおりを挟む
「んで、どこ行くの?」
森の中の小道を、先ほど進んできた方向とは反対側に進みながら、横を歩くディヤイアンに向かって誠二は聞いた。
「王家の別荘だよ。そこまでは半日くらい・・・かなぁ?」
「別荘?」
「姫はそこで眠っているんだよ。」
誠二が頷くと、不意にエクーディアが話しに加わってきた。
「ところで誠二君。剣は使えるか?」
「え?・・・えっと、授業で剣道なら少しやりましたけど・・・?」
「それならば、開けた場所についたら、少し運動をしよう。」
そう言ってエクーディアはにっこりと笑った。
・・・
しばらく進むと森を抜け、草原になった。
右手を見ると、地平線が見えるほど先まで草原が広がっていた。その先は海になっているという。左手を見ると遥か先に山脈があり、その手前に建物の影が見える。ディヤイアン曰く首都のユエプエムだという。前方には、首都よりもだいぶ近くに、山頂付近に雪がかかる山脈があり、その麓には広大な森が広がっていた。
「すっげー。きれー。マユやタクにも見せてやりてーなぁ~。」
景色を見回した誠二は、思わずといったように呟いた。
「そう言ってもらえて嬉しいよ。」
本当に嬉しそうにディヤイアンが言った。
「あの雪がかかる山脈・・・。」
前方に見える壮大な山脈を指差しながら、ディヤイアンは続けた。
「あの麓に森があるでしょう?その中に大きな湖があってね。
その湖畔に姫がいる別荘があるの。ここからなら、誠二君の足で・・・、半日くらいかなぁ?」
ディヤイアンの言葉に頷きながら、エクーディアは森を指差した。
「まずは森を目指し、森に入ってから場所を見つけて野営をする。」
「野営って、キャンプみたいなの?」
首を傾げた誠二が誰に言うでもなく呟いた。
「これは、遊びではないのだが?」
「わたしたちがいるんだから、そんなに危険じゃないよ。」
ディヤイアンはくすくすと笑いながら、憮然とした顔のエクーディアを見た。
「えーっと・・・。急がなくていいの?休み無しで歩けば、今夜中にそのお城に着けるよね?」
誠二の言葉に、ディヤイアンは苦笑いしながら答えた。
「その気持ちはうれしいけど、誠二君が疲れるでしょ?ただキスしてもらうだけだって言っても、それなりの精神力がいるからね。だから君には、今日はきちんと休んで英気を養ってもらわないとね。」
にこっりと微笑むディヤイアンに、誠二は頷いてから前方に見える森を見つめた。
「でも、少しくらいの運動は必要だよね?エクーディア。」
「では、始めるか。ディヤイアン、剣を出してくれ。」
「はいな。」
ディヤイアンはポーチから一振りの剣を取り出してエクーディアに渡し、近くの木陰にゆっくりと歩いていった。
「誠二君。」
前方の森を見ていた誠二は、エクーディアの言葉に振り向くと突然剣を渡されたので驚いた。
「・・・え?なんっすか?これ?」
見た目よりも軽い細身の剣を両手で掲げ持って、呆然とする誠二をよそに、エクーディアは、自分の左腰に右手を
持っていった。すると、何もなかったはずなのに腰に剣が現れた。
誠二が目を見開くと、彼女は佩いている剣を抜いた。
「エクーディアさんも魔法使えんの?」
「ディヤイアンが説明しなかったか?この世界の人はみな魔法が使える。ただし、今剣を出したのは初歩中の初歩。誰でもできる収納術だ。」
そして、切っ先を上に向け、剣を握った手を軽く額に当ててから、剣を下げ、誠二を見た。
「どこからでもどぞ。」
森の中の小道を、先ほど進んできた方向とは反対側に進みながら、横を歩くディヤイアンに向かって誠二は聞いた。
「王家の別荘だよ。そこまでは半日くらい・・・かなぁ?」
「別荘?」
「姫はそこで眠っているんだよ。」
誠二が頷くと、不意にエクーディアが話しに加わってきた。
「ところで誠二君。剣は使えるか?」
「え?・・・えっと、授業で剣道なら少しやりましたけど・・・?」
「それならば、開けた場所についたら、少し運動をしよう。」
そう言ってエクーディアはにっこりと笑った。
・・・
しばらく進むと森を抜け、草原になった。
右手を見ると、地平線が見えるほど先まで草原が広がっていた。その先は海になっているという。左手を見ると遥か先に山脈があり、その手前に建物の影が見える。ディヤイアン曰く首都のユエプエムだという。前方には、首都よりもだいぶ近くに、山頂付近に雪がかかる山脈があり、その麓には広大な森が広がっていた。
「すっげー。きれー。マユやタクにも見せてやりてーなぁ~。」
景色を見回した誠二は、思わずといったように呟いた。
「そう言ってもらえて嬉しいよ。」
本当に嬉しそうにディヤイアンが言った。
「あの雪がかかる山脈・・・。」
前方に見える壮大な山脈を指差しながら、ディヤイアンは続けた。
「あの麓に森があるでしょう?その中に大きな湖があってね。
その湖畔に姫がいる別荘があるの。ここからなら、誠二君の足で・・・、半日くらいかなぁ?」
ディヤイアンの言葉に頷きながら、エクーディアは森を指差した。
「まずは森を目指し、森に入ってから場所を見つけて野営をする。」
「野営って、キャンプみたいなの?」
首を傾げた誠二が誰に言うでもなく呟いた。
「これは、遊びではないのだが?」
「わたしたちがいるんだから、そんなに危険じゃないよ。」
ディヤイアンはくすくすと笑いながら、憮然とした顔のエクーディアを見た。
「えーっと・・・。急がなくていいの?休み無しで歩けば、今夜中にそのお城に着けるよね?」
誠二の言葉に、ディヤイアンは苦笑いしながら答えた。
「その気持ちはうれしいけど、誠二君が疲れるでしょ?ただキスしてもらうだけだって言っても、それなりの精神力がいるからね。だから君には、今日はきちんと休んで英気を養ってもらわないとね。」
にこっりと微笑むディヤイアンに、誠二は頷いてから前方に見える森を見つめた。
「でも、少しくらいの運動は必要だよね?エクーディア。」
「では、始めるか。ディヤイアン、剣を出してくれ。」
「はいな。」
ディヤイアンはポーチから一振りの剣を取り出してエクーディアに渡し、近くの木陰にゆっくりと歩いていった。
「誠二君。」
前方の森を見ていた誠二は、エクーディアの言葉に振り向くと突然剣を渡されたので驚いた。
「・・・え?なんっすか?これ?」
見た目よりも軽い細身の剣を両手で掲げ持って、呆然とする誠二をよそに、エクーディアは、自分の左腰に右手を
持っていった。すると、何もなかったはずなのに腰に剣が現れた。
誠二が目を見開くと、彼女は佩いている剣を抜いた。
「エクーディアさんも魔法使えんの?」
「ディヤイアンが説明しなかったか?この世界の人はみな魔法が使える。ただし、今剣を出したのは初歩中の初歩。誰でもできる収納術だ。」
そして、切っ先を上に向け、剣を握った手を軽く額に当ててから、剣を下げ、誠二を見た。
「どこからでもどぞ。」
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
とまどいの花嫁は、夫から逃げられない
椎名さえら
恋愛
エラは、親が決めた婚約者からずっと冷淡に扱われ
初夜、夫は愛人の家へと行った。
戦争が起こり、夫は戦地へと赴いた。
「無事に戻ってきたら、お前とは離婚する」
と言い置いて。
やっと戦争が終わった後、エラのもとへ戻ってきた夫に
彼女は強い違和感を感じる。
夫はすっかり改心し、エラとは離婚しないと言い張り
突然彼女を溺愛し始めたからだ
______________________
✴︎舞台のイメージはイギリス近代(ゆるゆる設定)
✴︎誤字脱字は優しくスルーしていただけると幸いです
✴︎なろうさんにも投稿しています
私の勝手なBGMは、懐かしすぎるけど鬼束ちひろ『月光』←名曲すぎ

転生したら捕らえられてました。
アクエリア
ファンタジー
~あらすじ~ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
目を覚ますと薄暗い牢獄にいた主人公。
思い付きで魔法を使ってみると、なんと成功してしまった!
牢獄から脱出し騎士団の人たちに保護され、新たな生活を送り始めるも、なかなか平穏は訪れない…
転生少女のチートを駆使したファンタジーライフ!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
見切り発車なので途中キャラぶれの可能性があります。
感想やご指摘、話のリクエストなど待ってます(*^▽^*)
これからは不定期更新になります。なかなか内容が思いつかなくて…すみません

【書籍化決定】ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者
哀上
ファンタジー
チートを貰い転生した。
何も成し遂げることなく35年……
ついに前世の年齢を超えた。
※ 第5回次世代ファンタジーカップにて“超個性的キャラクター賞”を受賞。
※この小説は他サイトにも投稿しています。
婚約破棄されて辺境へ追放されました。でもステータスがほぼMAXだったので平気です!スローライフを楽しむぞっ♪
naturalsoft
恋愛
シオン・スカーレット公爵令嬢は転生者であった。夢だった剣と魔法の世界に転生し、剣の鍛錬と魔法の鍛錬と勉強をずっとしており、攻略者の好感度を上げなかったため、婚約破棄されました。
「あれ?ここって乙女ゲーの世界だったの?」
まっ、いいかっ!
持ち前の能天気さとポジティブ思考で、辺境へ追放されても元気に頑張って生きてます!
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる