がんばれ勇者くん

うさのり

文字の大きさ
上 下
10 / 33
第一章

冒険の始まり9

しおりを挟む
誠二が着替え終わって外に声をかけると、ディヤイアンとエクーディアが小屋の中に戻ってきた。
二人の年齢は、20代前半だろうと思われる。
黒いタートルネックの長袖Tシャツに黒いスリムパンツに黒いスニーカー。腰にはディヤイアンと同じだが色が黒いウエストポーチを背中に回し、黒いベルトの左右には透明な石がはまっている。
誠二がぼーっと見ていると、彼女はディヤイアンに声をかけた。

「ディヤイアン。話は終わったか?」

「うん。さて、もういいかな?」

ディヤイアンはそういうと、誠二を見た。

「え?」

誠二はきょとんとした顔で二人を見た。

「そろそろ出かけたいんだけど?」

「どこへ?」

「・・・ディヤイアン?」

吹雪が吹き荒れそう声色でエクーディアがディヤイアンを見た。

「あ、そっか。まだ目的地を言ってなかったっけ・・・。ごめんね、誠二君。」

笑顔で誠二に軽く頭を下げるディヤイアンを見て、エクーディアは大きなため息を吐いた。

「では、姫を起こしてくれるのかも聞いていないのか?」

「あ、そっちはOKっす。じゃないと、オレ、帰れないんでしょ?」

「・・・。そーいうことにしとこっか。」

「あ、帰れんだ。でもここまで聞いといて、さようなら~。なんてできないでしょ?普通。」

にっこりと笑いながらそんなことをさらっと言う誠二を見て、二人は顔を見合わせた。こんなふうに考えていたとは思わなかった。
ただ、その時誠二が考えていた内容は、

(これって、RPGじゃん!面白そう!!!)

だった。

「んで、お姫様はどこにいるの?それより、悪の魔法使いは倒さなくてもいいの?」

妙にうきうきしながら話す誠二を見て、二人の心は一つだった。

((本当にわかっているのか?))

「悪の魔法使い・・・。ううん、そっちは倒さなくていいの・・・。とりあえず姫の呪いを解いてくれればいいんだよ。」

「えー。でも、ラスボス倒さないでお姫様をゲットできんの?」

「ラスボスを倒す・・・。姫をゲットって・・・。その魔法使いはね、恐ろしく強くて、私たちが束になってもかなわないの・・・。」

ディヤイアンが話すと、誠二は少し首を傾げた。ディヤイアンは、そのまま付け足した。

「姫がいる場所はわかっているから。そっちに直行しようと思うの。」

「悪の魔法使いはそこにはいないの?いたらどうするの?」

「そのときは私たちがその魔法使いを相手にするので、そのあいだに姫を起こしてほしい。」

「うん。OKっす。んじゃ、出発しよう!」

元気よくバックパックを背負った誠二を見て、二人は顔を見合わせて聞こえないようにため息を吐いた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

転生したら捕らえられてました。

アクエリア
ファンタジー
~あらすじ~ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 目を覚ますと薄暗い牢獄にいた主人公。 思い付きで魔法を使ってみると、なんと成功してしまった! 牢獄から脱出し騎士団の人たちに保護され、新たな生活を送り始めるも、なかなか平穏は訪れない… 転生少女のチートを駆使したファンタジーライフ! ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 見切り発車なので途中キャラぶれの可能性があります。 感想やご指摘、話のリクエストなど待ってます(*^▽^*) これからは不定期更新になります。なかなか内容が思いつかなくて…すみません

【書籍化決定】ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者

哀上
ファンタジー
チートを貰い転生した。 何も成し遂げることなく35年…… ついに前世の年齢を超えた。 ※ 第5回次世代ファンタジーカップにて“超個性的キャラクター賞”を受賞。 ※この小説は他サイトにも投稿しています。

とまどいの花嫁は、夫から逃げられない

椎名さえら
恋愛
エラは、親が決めた婚約者からずっと冷淡に扱われ 初夜、夫は愛人の家へと行った。 戦争が起こり、夫は戦地へと赴いた。 「無事に戻ってきたら、お前とは離婚する」 と言い置いて。 やっと戦争が終わった後、エラのもとへ戻ってきた夫に 彼女は強い違和感を感じる。 夫はすっかり改心し、エラとは離婚しないと言い張り 突然彼女を溺愛し始めたからだ ______________________ ✴︎舞台のイメージはイギリス近代(ゆるゆる設定) ✴︎誤字脱字は優しくスルーしていただけると幸いです ✴︎なろうさんにも投稿しています 私の勝手なBGMは、懐かしすぎるけど鬼束ちひろ『月光』←名曲すぎ

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

疲れきった退職前女教師がある日突然、異世界のどうしようもない貴族令嬢に転生。こっちの世界でも子供たちの幸せは第一優先です!

ミミリン
恋愛
小学校教師として長年勤めた独身の皐月(さつき)。 退職間近で突然異世界に転生してしまった。転生先では醜いどうしようもない貴族令嬢リリア・アルバになっていた! 私を陥れようとする兄から逃れ、 不器用な大人たちに助けられ、少しずつ現世とのギャップを埋め合わせる。 逃れた先で出会った訳ありの美青年は何かとからかってくるけど、気がついたら成長して私を支えてくれる大切な男性になっていた。こ、これは恋? 異世界で繰り広げられるそれぞれの奮闘ストーリー。 この世界で新たに自分の人生を切り開けるか!?

婚約破棄されて辺境へ追放されました。でもステータスがほぼMAXだったので平気です!スローライフを楽しむぞっ♪

naturalsoft
恋愛
シオン・スカーレット公爵令嬢は転生者であった。夢だった剣と魔法の世界に転生し、剣の鍛錬と魔法の鍛錬と勉強をずっとしており、攻略者の好感度を上げなかったため、婚約破棄されました。 「あれ?ここって乙女ゲーの世界だったの?」 まっ、いいかっ! 持ち前の能天気さとポジティブ思考で、辺境へ追放されても元気に頑張って生きてます!

処理中です...