いきなり吸血鬼ですか？えっ！？吸血鬼

家族会議

ただの栄養不足とのことで点滴をして病院を後にした…
確かに、最近家族〔真紀さんと旦那と腐れ息子〕とご飯を食べるのも嫌になったので学校から帰ったらすぐに寝ていた。朝もあんまり食べようとは思わないし…気づけば不摂生な生活をしていたことに気づいた。


笑顔で絶えない真紀さんが目元を腫らして無理に笑顔を作ろうとしているので腐れ息子のことは聞こうとは思えなかった…

ただ、繋いだ手と手が温くて、その雰囲気を壊したくなかったからともいえる

家に帰れば、腐れ息子が玄関でムンズだと立っていた。
何だこいつ、また殴られたいのか

ていうか何でこいつ立てるんだ？
あんなに血を流していたはずなのに

「幸多…ただいま」

一応…幸多とは腐れ息子のことである
斉藤 幸多 〔サイトウ コウタ〕

「…んっ」

何だこいつ気持ち悪い
私と真紀さんを一瞥したらすぐさま踵を返してリビングへと消えていった。

私はとりあえず部屋に戻ろうと靴を脱いで玄関すぐの階段を登ろうとしたら

パシじゃない。ガシッと私の手首は掴まれた

真紀さんにあんな顔できるんだと思った。真紀さんは瞳をギラギラさせて
怒っていたから

「お話があります リビングまで一緒に来てもらうわよ！」

ペタペタじゃないドシドシと真紀さんは足を鳴らして廊下を歩く
逃げやしないのに真紀さんはチカラを入れたまま手首から手を離さない

やがてリビングにつけばそこには
腐れ息子と真紀さんの旦那がいた。

腐れ息子はブスッとした表情で父の斜め右横に座っている
旦那は真ん中に座っていて
何だかいつもよりも顔が険しい
真紀さんは旦那さんの斜め左に私は旦那の目の前に座らされた。

何だこれ、もしや、

これが家族会議というやつか？

「退院おめでとう。春野さん」
旦那がこの雰囲気の中でなかなか
おかしなことを言う。

退院かぁ、入院してないんだけどなぁ

ちなみに春野さん呼びはいつものことだ

「春野さん…いや蜜、君は僕達家族を避けているね」

旦那はおかしなことを連発でいう

何を当たり前な…

「蜜ちゃん…やっぱり兄のこと…
お父さん達の事がまだ…ショックなの」

「違う。私は父さんのことに関して
ショックだと感じたことはない。」

おかしいだろうか。でも

「わたしは父さんが親だと感じたことはない。それは母も同様です。」

沈黙

別にその方が楽だ

「お前は、一人なのか…」
初めて日本語を喋った腐れ息子に
私は驚いたけど相変わらず睨み付けるのね…彼の眼光は鋭いまま

「私は、生まれた時から、一人だし
別にそれで苦労したことも、困ったこともないよ。」

本当に 本当にそれがわたしの心からの本音だった。