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父と母
しおりを挟む父と母はおかしかった。
わたしが幼少期の頃はたしか
笑顔が絶えない親だったし
わたしも幸せだった
父は優しい人で、いつも私の我儘を聞いてくれた
母は可愛い人で黒髪で黒目な童顔な感じはきっと母に似たんだ。
でも少しずつだけど日常は異常に変わっていった
まず母が、おかしくなった。
急にじゃなくてだんだんと
最初は笑わなくなったなぁ~ぐらいだったけど、次に異常なほどに水を飲んでいた。ずっとずっと水をゴクゴク飲んでいた。
父は流石におかしいと思って腕利きのお医者さんに診てもらったけど駄目だった。お父さんはお母さんの体を抱きしめていた。
わたしはそっと後ろからそれを見ていた。
父は母の唇にそっと口を寄せていた。
私は何だか別れのように感じた
その日母は死んだ。
自殺だった…お風呂場で真っ赤な真っ赤な浴槽に浸かっていて
私は何だか手を伸ばしたくなったけど
父にその手を叩かれ、私の体をぎゅっとこれまで抱かれてきた中で一番強い力で抱かれた。
それからは家を引っ越し
父と二人暮らしをした。
父は相変わらず優しくて優しくて
でもときどきふっと目が冷たくなって私を見つめている。
父の死は突然だった。
入学式来てね!
もちろんさ
優しい色の目を細めて私の頭を撫でて言ってくれた
その言葉に偽りを感じなかった…
父の温もりは今でも覚えている。
つい最近起こったそれらの出来事
でも私はショックを受けた覚えがない。
ショックとは強い喪失感とかそういうものでしょ?
私にはそれがない。ただ日常を過ごす上で人数が減っただけだ。
「…あなたの心は少し異常ね」
「…異常って?何で?」
みんながそうなんじゃないの?
私だけおかしいの?
「大丈夫だよ。ここで治していこう
僕達は家族だよ。蜜…家族なんだよ」
「家族?私達が?じゃあ前は何?」
真っ黒な瞳が大人に問いかける
「前も今も家族だ。それに下とか上とかもない。大切な家族なんだよ」
旦那はこんなに私と話したことがあっただろうか?
「何で、今喋るの?」
純粋に思ったのだ
なぜ今なんだ?
「君はもっともっと弱い女の子だと思っていたんだよ。いや弱いんだけどね、その弱さはまだ気づいていないからだったんだね。だったら僕達家族が君が弱くなっても大丈夫なように拠り所にならないといけないね」
?
「何を言っているのかわからないよ?」
「蜜ちゃん。家族になりましょう。
幸多から話は聞いてるわ。ごめんなさい。幸多からも後で謝るって言っていたし」腐れ息子を睨んで言った。
でもその目線が私にいく
「私は、兄さんの宝物を守りたいの。
お願い…蜜ちゃん。私とあなたは完全に血の関係があるわけじゃない。でも
ぜったい、あなたを幸せにしたいから、するから、まだ家族だと思わなくてもいい。でもいつか家族って言って欲しいなぁ」
さんざん泣いて出ないと思っていた
真紀さんの目尻にはキラキラと涙が流れる
「……俺は、別に」
まぁ、君には期待なんか最初からしてないよ腐れ息子
「…ちょっとわかんない所もあるけど、私の家族は2つってことでしょう? うん、わかったよ」
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それを言えば真紀さんはついに目から涙じゃなくて口からうっううううと叫んだ。
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