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沢木組編
分岐点
しおりを挟む薫は組事務所に車を置き、そこから歩いて10分ほどの自宅マンションに戻った。
とりあえずシャワーを浴びる…
家に帰ってからの薫のルーティンだった。
ヤクザにしてはあまりにも美しい顔‥
美青年という表現がぴったりの風貌をした薫は、ヤクザという仕事が全く似合わなかったが、ケンカがとにかく強いがために、学生時代から望まぬ喧嘩に巻き込まれた。
父の死後、薫は家計を支える為に、昼夜を問わず、アルバイトをしたが、ある時、自分の事で母がショックを受け、自殺してしまう。
それは、決して解決出来ない心の負債を薫に残した。
薫は高校を中退し、生活は荒れ、自暴自棄となっていった。そんなときに偶然に出会い、拾ってくれたのが沢木だった。
沢木が極道であることは一目でわかったが、 とにかく自分を地獄に堕としたい衝動にかられていた薫は、あえて沢木のところで世話になることを決意したのだ。
それからあっという間に時が過ぎ、二十歳になった。女のような顔をしてるのに、けんかがめっぽう強いと、組の他の連中にも信頼されるようになり、沢木の運転手以外にも仕事を与えられるようになった。
この街の飲食店は、沢木組から浄水器等を購入し、さらにコンサルティング料を支払っていた。
内実は、典型的な暴力団の重要な資金源の取り方であった。いわゆるみかじめ料である。
薫は弟分の赤石功太と共に昼間はそのしのぎに精を出す日々が続いた。
赤石功太は薫の一年後に入ってきた十九の若者で、リーゼントに眉を細く剃り、いかにもチンピラという佇まいを醸し出していた。
薫とは対照的な風貌をしていながら、なかなか礼儀正しく、薫を心から慕い、手となり足となってよく働いた。
本来なら簡単な仕事だが、ここのところの抗争で、薫が担当するミナミの一地区はまさに戦場となっていた。
薫の激動の人生が、また動き出そうとしていた。
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