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沢木組編
サユリ
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「オヤジ、着きましたよ。」
薫の呼びかけに、沢木は薄目を開けて頷いた。
「なんや… もう着いたんか…」
薫がドアを開けて、沢木が車から出るのを見ていると、家の玄関の電気が灯り、沢木の妻の小百合がガレージまで出てきた。
「薫ちゃん、ごめんなあ…いつも」
「いえ、姐さんもお疲れ様です。」
薫はパジャマ姿ですっぴんの小百合に頭を下げた。
小百合の実年齢は三十代半ばだったが、本当に若く見え、二十代と言われても誰も疑わないだろうと、薫は思った。
沢木が五十代で年相応に見えるので、この夫婦は実年齢以上の開きがあるように見えた。
「薫ちゃん、お腹空いたやろ?なんか食べて行きや」
「いえ、夜も遅いですし、自分はこれで失礼します。ありがとうございます。」
薫は頭を下げて沢木邸を後にした。
小百合は薫が組に入ってきたときから、特に目をかけてくれており、いつも良くしてくれている。薫が運転手をしているのも、小百合から沢木に強い勧めがあったからだ。
そんなこともあって、薫は小百合を心から慕っていた。
小百合は長く美しい黒髪に切れ長な目に鼻筋が通り、唇も薄くキレイな形をしている。
冷たく、そして枯れてしまった薫の心を唯一柔らかくしてくれたのが、この小百合だった。
小百合は、右も左もわからない若い薫を不憫に思い、親切にしてくれているだけかと思っていたが、この時点では、まだその真意を知る由もなかった。
薫の呼びかけに、沢木は薄目を開けて頷いた。
「なんや… もう着いたんか…」
薫がドアを開けて、沢木が車から出るのを見ていると、家の玄関の電気が灯り、沢木の妻の小百合がガレージまで出てきた。
「薫ちゃん、ごめんなあ…いつも」
「いえ、姐さんもお疲れ様です。」
薫はパジャマ姿ですっぴんの小百合に頭を下げた。
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「いえ、夜も遅いですし、自分はこれで失礼します。ありがとうございます。」
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そんなこともあって、薫は小百合を心から慕っていた。
小百合は長く美しい黒髪に切れ長な目に鼻筋が通り、唇も薄くキレイな形をしている。
冷たく、そして枯れてしまった薫の心を唯一柔らかくしてくれたのが、この小百合だった。
小百合は、右も左もわからない若い薫を不憫に思い、親切にしてくれているだけかと思っていたが、この時点では、まだその真意を知る由もなかった。
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