ニューハーフ極道ZERO

フロイライン

文字の大きさ
47 / 409

難題

しおりを挟む

「へえ、ここに住んでるんだ…」 

綾香は部屋の中をキョロキョロ見渡しながら 
亮輔に言った。 

「うん。退院してからずっとね。」 

亮輔は再整形手術後、多村の別宅である、このマンションで生活していた。

多村自身は本宅で生活しているので、めったに来ることはなかった。

「で、今日はどうしたの?
よく、ここに来る許しが出たね。」

亮輔は慣れた手つきでコーヒーを入れ、綾香に差し出しながら言った。

「パパに用事頼まれてね、それを取りに来たのよ。

でも、あれだね
亮ちゃん、ホント女の子になっちゃったね。
顔も益々私とそっくりだし‥」

「… 外見もそうだけど、今となっては男のときに何考えてたとか、全然思い出せないんだよ。」 

亮輔は少し寂しそうな表情を浮かべ、コーヒーを一口飲んだ。 

「それとさあ、亮ちゃんに言わなきゃいけないことがあって。

私、 来月パパと結婚することになったの…」 

そう言った綾香の表情があまりにも暗かったので、亮輔は不思議に感じた。 

「どうしたんだよ? いつするかは別として、前から決まってたことだろ?」 

「あのさあ… 私…やっぱり、パパと結婚するのイヤなの…」 

「えっ!?」 

「だから逃げちゃおうっと思って…」 

「お、おい… 逃げるって、私を見てみなよ! 
性転換までさせられて、こんなヒドい目に遭わされたんだ。 
綾香だってそうだったろ!? 次は絶対に殺されちゃうぞ!」 

「それでも… やっぱりパパと一生すごすことなんて、とてもじゃないけど耐えられないわ…」 

「で、どうするつもりなんだ?」 

「ホントは亮ちゃんと一緒に遠いところに逃げたかったんだけど… 今となってはそれもムリだろうし。」 

綾香は亮輔の胸や顔に視線をやりながら寂しそうに言った。 

「確かに… 昔の私なら綾香と一緒に逃げたかもしれない。 
でも、今はもうそんな勇気は全くないわ。」 

亮輔の偽らざる気持ちだった。 

男としての証を心身共に失ってしまった今、ただ、臆病で従順な女の部分だけが残っている。 

「亮ちゃん、一緒に来てくれなんて言わないわ。私が逃げるのを手伝ってほしいの…」 

綾香の決意は相当固そうだった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

ビキニに恋した男

廣瀬純七
SF
ビキニを着たい男がビキニが似合う女性の体になる話

性転のへきれき

廣瀬純七
ファンタジー
高校生の男女の入れ替わり

入れ替わり夫婦

廣瀬純七
ファンタジー
モニターで送られてきた性別交換クリームで入れ替わった新婚夫婦の話

BODY SWAP

廣瀬純七
大衆娯楽
ある日突然に体が入れ替わった純と拓也の話

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

OLサラリーマン

廣瀬純七
ファンタジー
女性社員と体が入れ替わるサラリーマンの話

小学生をもう一度

廣瀬純七
青春
大学生の松岡翔太が小学生の女の子の松岡翔子になって二度目の人生を始める話

リボーン&リライフ

廣瀬純七
SF
性別を変えて過去に戻って人生をやり直す男の話

処理中です...