ニューハーフ極道ZERO

フロイライン

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灯台

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「うわっ…懐かしいな。」 

車から出てきた、亮輔と晃は港にある灯台の下で声を上げた。 

「俺ら、いつもここで遊んでたな。」 

晃は灯台の土台のコンクリートを右足でコンコンッと蹴りながら亮輔を見て言った。 

「そうだな。あんときは金も無かったし、いつも三人でくだらねー話をしてたもんな。」 

「ここは俺ら三人の隠れ家的な要素もあったしな。」 

晃がそう言うと、亮輔は歯に噛むような笑顔を見せた。

「…」 

晃は一瞬にして言葉を失った。夜風に長い髪をなびかせ、それをごく自然にかきあげる亮輔の姿は、どこからどう見ても女性そのものであり、そして、あまりにも美しかった。 
晃は自分の心の底から湧き出てくる得体の知れない感情に戸惑い、ますます言葉が出なくなってしまった。 

それを亮輔に悟られないように視線を外そうとした瞬間、予想外の出来事が起こった。 

「亮輔…」 

亮輔が海を見つめながらポロポロと涙を流し始めたのだ。 

「どうした…?亮輔…」 

「すまん… なんか…海見てたら涙が出てきてさ…」 

晃は亮輔と中学卒業まで常に行動を共にしていたが、亮輔が泣いたところなど、ただの一度も見た事がなかった。 

「お前らと再会して、少し感傷的になっちまったよ… 今日打った女性ホルモンのせいかな… 
どうも涙もろくなっちゃって…」 

亮輔はそこまでで、話すのをやめた。 

何故なら、晃がいきなり亮輔を抱きしめたからである。 
晃自身も自分の大胆な行動に戸惑いを見せた
だが、抱きしめた感触は女性のものと全く変わらなかった。亮輔の膨らんだ乳房、皮下脂肪が全体に付きみを帯びた肩から腕にかけてのライン… 

亮輔は晃の行動に驚いて、最初は振り解こうとしたが、これくらい逞しい腕と胸の厚みに包まれることに、安心感と心地よさを感じ、やがて、抵抗することをやめ、そっと身を委ねた。 
晃は何も言葉を発しないまま、亮輔の顔を見つめ、ゆっくり唇を近づけて重ね合わせた。

波がぶつかり合う。音だけが聞こえる漆黒の世界で、お互いに戸惑いを見せながらも、二人は禁断の世界に足を踏み入れたのだった。 
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