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二章 接吻

9 次は私だ

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※3P、乳首責め、羞恥、視姦、焦らしプレイ。


 どぷっ、どぷっ、どぷっ──

 熱い欲望を肚の中に叩きつけて、ずるりと出ていく。

「はあ、はあ、はあ」

 夫の荒い息を聞きながら、ぽろぽろと涙がこぼれた。
 どうしてこんなことになってしまったのだろう。

 暗い目をした夫に、後ろから酷く突かれた。
 義父の寝室で、床に四つん這いにさせられて。
 解放したと言っていたのに、いつからそこにいたのか、義父との一部始終を見ていたのか、夫の挿入は乱暴で拙速だった。痛みしか感じなかった。終わるまでただ耐えた。結婚して以来、こんなに悲しく抱かれたことは一度としてない。
 そんな自分たちを、義父がじっと見ていた。

 どろり、と。

 脚の間がぬめり、あふれたところから冷えていく。
 頬を伝う涙が冷たい。

「次は私だ。来い」

 固い床に崩折れて震える身体を、義父が抱き上げ、薄布でくるむ。
 寝台の上、膝にのせて胸に抱き込み、冷たく濡れた頬に唇で触れる。

 力強い腕に抱かれて、大きな掌に撫でられて。
 じん、と。冷え固まった身体が、ぬくもっていく。

 だが、そのことが、心には、痛かった。
 夫に組み敷かれて凍え、義父に抱かれて温まってしまうことが。
 背徳の腕に、身体がほぐれてしまうことが。
 必死に封じようとしている心が、やすやすと暴かれる。
 自分で自分を、裏切ってしまう。

 熱い涙が頬を伝う。

「飲んでおけ」

 んっく、んっく、んっく。

 乾いた咽喉に、冷たい水が、心地よかった。
 義父の口移しで飲んだ最後のひとくちは、うっとりするほど、甘かった。

 *

 あたたかい掌が白い胸の房をそっと包む。
 裾野からやさしく絞り上げ、最後に長い指が、胸の尖端をくるりと撫でる。
 形をなぞるほどの淡い触れ方だ。

 じぃん……。

 甘い痺れが広がり、冷えていた股間がじわっとぬくもる。

「ん」

 じれったいほどの間をあけて、次は逆。
 たわわな房がやわらかく絞られ、朱鷺色がなぞられた。

「んっ」

 鼻にかかった甘い声がこぼれて、自分の声の甘さに、はっとする。

「ちが、っ」

 若い体は繊細だ。
 夫に力任せに揉まれ、ぎりぎりと形を歪められて、敏感な先端は一瞬で小さく縮まった。
 それが、義父の指先で優しくなぞられて、ふく、と立ち上がろうとしている。
 女の身体は、繊細で敏感。そして、素直。

「ちがう、のに……」

 何がちがう、と。身体はいやがってなどいないくせに、と。
 いっそそう言葉で嬲られた方がましだったかもしれない。
 黙って続けられる愛撫は、あまりにも優しく。

「あっ、いや、あっ」

 絞られるたび、なぞられるたびに、やわらかく、敏感になり。色づき、ふくらんで。
 甘い刺激を、全身に広げてゆく。

「あんっ」

 ずるい。こんなの、ずるい。

 ただただ愛おしそうに、慈しむように見つめる、義父の目が。
 怖いようにして凍えた乳房に触れ、こわばりをほぐしていく、その指が。
 夫に傷つけられた身体と心に、沁みわたってしまう。

「ちが、ぁ……」

 焦れるまで置かれ、触れるか触れないか、羽根のようなひと撫で。
 そんなもどかしすぎる愛撫が、どのくらいくりかえされたろう。

 緩慢な、あまりに緩慢な快感は、娘をもどかしさで悶えさせた。

「あ、んっ、んんっ」

 ねだるように揺れはじめた腰が、なまめかしい。

 感じやすい身体は、もうすっかり熱をとりもどしていた。
 こもらせた熱を、もてあますほどに。

「んっ、ああ、ああ……」

 焦れに焦れて、切迫していく声に、男の目もとろけるように色気を増す。
 そして、それまで注意深く控えていた指に、とうとう、く、と力をこめた。

 くに──

「ああああっ」

 突如びりびりと駆け抜けた快感に、娘は背を反らせて、びくびくと跳ねた。
 責めはじめた指は、なおも慎重で。

 くに…、くに…、くに…、くに──

 上に、下に、右に、左に。
 ごくゆっくりと、押し上げ、押し下げ、左右に倒して。

「ああああっ、あっ、あんっ、ああんっ」

 濡れた声で喘ぐ可愛い顔を、じっと見つめたまま。
 熱い視線を、かたときも離さず。
 同じことを逆の乳首にも施して、ひとしきり鳴かせる。

 絶妙な指戯で、さらに執拗に弄られつづけた。

「あっ、あっ、あんっ、あんっ」

 絞り上げるときは、ゆっくり優しく。
 辿りついた頂上では、ねっとり繊細に。
 くるり、くるりと、円くこね。
 指先をつけて、こまかく揺すり。
 わずかなくぼみの凹部を指先でなぞる。

 感じやすく火照った身体は、少しの刺激にも過敏に反応し、刺激の変化にも敏感だった。

「あっ、あっ、あぁん、んっ、あ、んっ」

 ととんと叩かれたかと思えば、しばらく放置され。
 かと思えば、開いた指の背でばらばらと嬲られる。

「あああっ、あ、ん、ぅ……。ひぁっああああっ、あっあっ、ああっ」

 どこまでも溜めこまされて、弾ける手前で放される。
 焦れて泣くまで虐められ、もう感じる以外のことがわからない。

 そこへ、突然。

 ちりっ──

 刺すような刺激が走った。

「っ……!」

 それがどこから来たのか、一瞬、わからなかった。

「ふぇ……?」

 ぼうっとした頭で、義父の手元を目で追う。

 左で胸の実を愛でながら、右手が、脇腹の皮膚を、小さくつねっていた。
 ぴりっと痛みが刺した、同じ場所を、熱い舌がぴたりと覆う。
 ねっとりとなめ上げられて、痛みは、甘いわななきに塗り込められた。
 そこに、弄られている胸から広がる快感が、ぞくぞくっと流れこみ、入り交じる。
 仕上げと言わんばかりに吸い上げられて、全身がびくびくと痙攣した。

 ぢう──

「んっ、あああっ」

 くに、ちりっ、……ぢうっ──。

「あ、つっ、ん、んんっ」

 弄ってつねって、舐めて、吸って。
 さんざん快感を溜めこまされ、すでにとろとろにされていた。
 そこへさらに、この惑乱の責めである。
 小さな痛みといくつもの気持ちよさが、渾然一体となって、かけめぐる。

 こんな感覚は知らない。

 焦れったいのか、痛いのか、気持ちいいのか。
 焦れるから感じるのか、痛いのが気持ちいいのか。

「あっ、ひ、ああっ、あんっ、ああああっ」

 なすすべもなく快楽に呑みこまれ、気の遠くなるほどそれが続いて。

 すっかりぐずぐずになる頃には、もうどこが何を感じているのか、わけがわからなくなっていた。ただどうしようもなく身体が疼いて、欲しくて欲しくて、気が狂いそうだった。

「ああ、おじさま……もう、もう……」

 その瞬間。

 突如、あらぬ方向から足首がつかまれた。
 ぎょっとするより先に、足の甲に走った、キリキリとした痛み。

「痛…っ! な、何…?」

 夫が爪を立てていた。

「~~っっ、あなた、やめて、痛い」

 悲鳴をこらえられない。
 さらに力をこめようとする夫の手を、義父が引き剥がした。

「やめろ。痛がっている」

 だが、義父もまた、娘にとって守護者とは言いがたかった。

「するなら、もっと優しくだ。ゆっくり馴らさねば。焦るな」

 そう言って、ぴちん、と。
 小さくつねり、ねっとりと舐め上げた。
 別の手で、耳のうしろの弱いところをカリカリとくすぐることも忘れない。

 痛みと気持ちよさが、絶妙の加減で、快感をあふれさせる。

「あぁ」

 思わず甘く鳴いて、羞ずかしさに全身が燃え立った。
 義父と夫に、左右をはさまれ、二人に見られながら。
 淫らに身体をくねらせて、こんなふうに声をあげて。

「いやぁ、見ない……あんっ」

 顔をそむけても、胸の先をこねられては、声がおさえられない。

 くに、くに、くに──

 あんあんともだえる彼女を腕に抱きながら、あろうことか、義父が夫に。

「つねってやれ。ただし、そっとだ」

 ちくんっ…!
 くにくに。カリリッ。

 つねられた脛は痛い。
 だが、同時に弄られた胸と、くすぐられたうなじが、痛みを上回る快感で、脳を麻痺させる。

「んんっ」

 痛い。痛いが、きもちいい。
 羞ずかしい。羞ずかしいのに、きもちいい。
 じぃんと痺れるような、痛みと羞ずかしさときもちよさ。

 二人の男の、それも義父と夫の、四つの手に身体を取られて。
 こんなこと、間違ってる。

 そう思うのに。

 たまらないほどの、背徳の悦楽だった。
 暴かれて、ばらばらになった断片が、それぞれの快感を貪っている。
 さらに、ちりぢりになっていく。

「あんっ、あっ、あっ、あっ、ああああんっ」

 跳ねる内腿を、あたたかい手が這い上がってきた。
 義父だ。

「あ……っ」

 長い指が、淡い茂みを、くすぐるように軽く撫でる。
 あふれて蜜浸しになった花唇を、上へ、下へ、行っては戻り。

「は、んんっ」

 待ちわびたそこがわななき、震える脚がゆる、と緩む。
 義父は太腿を撫でて、耳に囁いた。

「開け。私達に、よく見えるように」

「あ……」

 言葉にされて、あらためて思い知る。
 二人して、なのだと。
 吹き飛んでいた羞恥が、一気に戻ってきた。

 見られている。しかも、二人に。
 男達の視線を、痛いほど感じてしまう。

 ひくひく……ど、ぷっ……。

 流れ出すものは女の蜜だけではない。
 それもすべて、見られている。

「あぁ」

 義父の胸に顔を埋めて、ふるふると首を振る。乱れた髪からのぞくうなじまで真っ赤だ。可憐な裸身を二人の視線に晒しながら恥ずかしさに耐える姿は、孵ったばかりの雛鳥のようで、男達をどうしようもなく猛らせる。

 少しずつ、本当に少しずつ、震える脚が、みずから開かれていった。
 その先を、二人の男が、それぞれの思いでじっと見つめる。
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