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本編

-315- 早く起きた朝は アレックス視点**

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「な゛っ?!」

なんかすげー気持ちがいい───とぼんやり思ったが、はた、と気が付く。
急に現実に引き戻されて目が覚め、慌てて上半身を起こし布団をめくり上げると、俺の股間にレンが吸いついていた。
何でこんなことになってんだ?

「何してんだ、レン……」
「勃ってたから、良いかなって思って」

怒りもないし咎めもない。
ただただ驚いちまっただけだ。
俺の寝てる間に何してんだ?って思ったが、レンはなぜかそうするのが自然だといったように俺に答えた。
『勃ってたから、良いかな?』……や、待て待て、良くはないだろ…って思うも、完全に勃起した俺のペニスを嬉しそうに眺めて、その頭を指の腹で撫でてくる。
朝から、レンが可愛すぎる。

そんな非常に可愛いレンのその姿に、己の状態を恥じる。
勃起した俺に気が付いて起きたのか?それともたまたまレンが先に起きた時に、ふと気が付いたのか?
どっちにしたって、すげーきまりが悪い。

っつーか、勃ってたら、そうするのが普通なのか?
いやいや、ないだろ、それはない。
逆のことを考えてみろ。
レンが勃ってたからといって、寝てる間に俺が口に咥えたら……ないだろ、それは。
絶対いけないことをしてる気分になる。
俺が寝ている間にレンにされても許されるが、レンが寝ている間に俺がするのは……なんつーか、こう、罪的意識が強い。
完全にアウトだ、犯罪でも犯してるような絵面だろ。

てか、前日あんだけしたのに、何でこんな朝っぱらから元気なんだ俺は。


大体、俺自身の気力はかなり削られてるはずだ。
何故かっつーと、予期せぬ来客の相手をする羽目になってるからだ。
や、予期せぬ……ではないな、ある程度予想はついていたことだ。

レンが侯爵夫人となったことはまだ公にされていないはずだ。
セバスとアニーだけじゃなく、レンに使用人の面談をお願いしたのは早かっただろうか?
セバスとセオに聞くところ、レンは上手くやっていると言っていた。

だが、神器の世話ができると思っていた輩もいたらしく、セバスから抗議文を出すよう促されるほどだ。
嫌な思いもしているだろう。

それでなくとも、俺のところには、『甥っ子は気に入らないのはどうしてだか教えて欲しい』だの『娘のどこが至らなかったのか教えて欲しい』だのがやってきた。
文で寄こされることが多かったが、中には恐る恐る直に聞いてくるおっさんもいた。
俺の闇属性がいかに強いかは知れ渡っているので、冷や汗もので聞いてきた。

『いや、わかってはいるんだけれど、妻と娘が納得してくれなくてね……』なんて、申し訳なさそうな顔で言ってくるおっさんを無視することは出来ない。
家での父親の立場が知れるっつーもんだ。

昨日で四日目となる面談だが、その日のうちに不合格を通達している。
本人に届き、伝手をたどり俺のところへ苦情がくるタイムラグは、昨日からが最も多かった。
そんな苦情を言ってくる時点で落とされてる要因だろうがと思うが、宮廷に勤める者たちはそれがよくよく分かっているようだ。

そこまで馬鹿は少ない。
や、中には本物の馬鹿もいて、あろうことか上官を引き連れてやってきたので食事をする羽目になったこともあった。
が、どうしても本人が納得しないみたいで、申し訳ないが……などと、甘い連中が殆どだ。
侯爵領領主から不合格の理由が知れれば本人も納得するはずだから、と。
肩身の狭い連中に同情しつつ、返事をしたためた。

まあ、そんなこんなで普段の仕事に加えて面倒事が多く、昨日はレンとの時間もほぼ取れずにいた。
神器様の本も、まだ殆ど読めていない。

セバスにもセオにも口止めし、俺の方へ苦情が来ていることはレンには伝えないようにと念を押した。
不合格にした責任まで負わせたくないからだ。

で。
そうなると、ごっそり気力が持っていかれてもしょうがない。実際かなり気疲れな状態だった。

レンと同じベッドに身を沈める時には、愛しい気持ちで満たされて眠りについたはずなんだ。
俺の心も下半身も大人しかっただろうが。
それがなぜ───……っつーか、今、こんだけバキバキに勃起してたら、なぜもどうしてもない。


「次から、普通に起こしてくれ。起きたらこれじゃ、びっくりする」
「そっか、そうだよね……わかった、次からそうするね?」
「ああ」

全く悪びれないレンが可愛い。
朝からこんなエロいこと勝手にされても、全くもって怒りはわいてこない。

「続きしてもいい?」
「レンはそういうこと、無理してしなくても良いんだぞ?」

手でするのは、まあ、問題ないだろ。
だが、レンの綺麗な口で、俺のイチモツを……と思うとどうしても背徳感が押し寄せてくる。
勿論、して欲しいか欲しくないかで言えば、して欲しい。
許されるならば飲み込んで欲しいとも思っている、切実に。
脳内で天秤がガンゴンと音を立てながら、する、しない、を交互に揺らしている。

無理しなくても良い、と言った俺に対し、レンは少し不満げな表情を見せた。
そんな顔も、可愛さ満点だ。

「無理してないし、僕はしてあげたいなって思うんだけれど……アレックスが嫌ならやめる。して欲しくない?」

そう言って、一度ちゅっと口づけてからちらっと見上げてきた。

なんだその可愛い顔は。
あからさまに誘ってるような視線を、レンは投げてくる。
レンの申し出はありがたいほどだし、その答えもマジで嬉しい。
誘うようなその瞳に勝てる奴がいたら、教えて欲しい。
や、待て、嘘だ。
この瞳を他の輩に知れられたくはない、俺だけのもんだ。
って、こんな状態でテンパってどうする。


「や……その、正直、して欲しい」
「よかった」

俺の答えに満足気に、にっこりと笑ってくる。
俺の阿呆みたいな精力にも呆れもしない。

レンは日に日に綺麗になって、更に可愛さも増してる状態だ。
最初から家の者にも歓迎はされていたが、既に皆に愛されてる。
マーティンとイアンなんか、メロメロになってデレデレ状態らしい。
唯一拒絶していたレオンですら、今ではその存在を心から認めている。

レンは、何に対しても好奇心は旺盛だ。
やってみたい、は、この数日でも何度も聞いた。
逆に、願い出たことでやりたくないという言葉はまだ聞いていない。

俺はこの数日で自他ともに認める程に色々とやらかしてるんだが、レンからの愛情は、変わらないどころか増してる気さえする。
都合のいい妄想じゃない。
そんなレンを知る度、俺は益々レンを手放せなくなってる。

若くて可愛い上に、心優しい。
人の気持ちを汲むのが上手いし、察するのにも長けている。
ただ、それが自身の恋愛となると少し異なるのか、それとも俺がこんな顔して誤解を招きやすい態度だからか……恐らく後者だろうが、時折、勘違いをして悲しんでいた。
最近は、それも減ってきたか?
そういや、今さっき情けなさにため息を吐いたが、レンの態度は特に変わらなかった。

あ、ヤバい。
色々真面目に考えてたら持つかと思ったが、そうもいかない。
や、無駄な抵抗だっつーことは、分かってた。

マジで気持ちが良い。
見様見真似なんだろうが、ぱっくりと口内に招かれて、頑張って扱かれると、ぐっとくるもんがある。
レンの顔にかかりそうな髪をそっと払い、そのまま褒めるように頭を撫でると、レンは嬉しそうに目を細めてた。


「はあ……すげー気持ちいい」

思わず声にすると、レンが再び視線を向けてくる。その瞳がすげー甘美だ。

「くっ!!」

マズい……と思った時には、堪えきれなかった。
レンの口内に、思い切り射精しちまった。
最悪だ。

だが、レンはむせることも零すこともなく、綺麗に舐めとるように口を離してくる。更に、こくん、と嚥下したのが分かった。

「はー……出ちまった。悪い、大丈夫だったか?」
「うん。たくさん出たね」
「ああ」

たくさん……出たな、申し訳ないくらいに一度に。

「飲んだのか?」
「うん。アレックスのは味もオレンジだったから美味しいよ」

にこにこと笑顔で伝えてくるが、その内容は驚きだ。
オレンジの香りがするとか言ってたが、まさかの味もオレンジらしい。

「そう、なのか?」
「うん、不思議だね」

確かに不思議だが、比喩だとか、ましてや嘘を言ってるようには思えない。
少しだけ罪悪感は減った。

にしても。
俺のを口にして感じたのか。
俺はまだ頭しか触れてないのに、前を勃たせてるのも可愛すぎるだろ。

「あっ……アレックス」

レンの股間に手を伸ばし、勃ちあがった中心をやんわり包むと途端可愛い声が上がり、恥じらうように名前を呼ばれた。
パジャマと下着を下ろすと、ぴこんと綺麗な性器が上を向いてお目見えだ。
クソ可愛い。


「レンも口でしようか?」

レンのも、香りだけじゃなく味も極上の蜂蜜だ。
朝一番に口にしたって、俺にはご馳走でしかない。

「ん……一緒にしよう?」

片足だけパジャマを脱ぎ、そのまま俺のものとぴったり合わせるように座ってくる。
そんなことどこで覚え……や、既に経験済みだったな、俺と。

「っ……分かった」

心も下半身も滾る。
レンを前にしたら、俺なんて頭に馬鹿がつくくらい単純だ。

肩越しに回されるレンの両腕に気を良くした俺は、華奢なその背を左手でそっと抱きしめ、自身とレンの中心へと右手を伸ばした。
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