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本編
-10- 神殿にて
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そいつにとっては、それが当たり前なんだろう。
俺らの言い分のほうが理解できないんだろう。
けどな、そんなクソキモい宗教が国教だなんて、この国自体が腐ってる証拠だ。
「それは、仕方がありませんね…」
諦めを含んだように、サミュエルがほほ笑む。
「………っ!?」
奴は何をした?
体が動かない、息がうまく吸えない…や、吸えるが自分の意志で吸えない。
「あ…ぁ、あ……」
あーくっそ、声が出るのが精いっぱいだ。
「おや、あなたは随分、耐性が強いみたいですね………」
「っ………!!」
声も出せなくなる。なんだ、何が起きている?
「どうぞ、お召し上がりください」
ゆっくりと、銀の皿に、4つの手が伸びる。
俺の手を含め、皆の手が同じようにだ。
俺の意志ではない、手が勝手に、ペリエの実をとる。
手元が震えるが、ひっこめることができない。
ひんやり冷たい、柔らかくて、感触は本当に大福みたいだ。
こんなに大福に恐怖を感じたことはない。
や、大福じゃないんだが……そんなツッコミ入れる余裕もマジでなくなる。
その実が、俺の顔の目の前までどんどんと迫ってきた。
「………っ」
息苦しい。
意志に反して、口が自然と開く。
ゆっくりとその実が唇と舌をなぞり、大きく一口ゆっくりと齧られる。
味わうように、舌と上あごをすり合わせるような、草食動物にでもなったかのような食い方だ。
普段こんな食い方はしない。
にゅちゃっとした、ねっとりと生クリームのような感触が口の中いっぱいに広がる。
生クリームは好物だが、そうじゃない。
ひたすら気色悪い、マジで気色悪くて、気分的には吐きそうだ。
完熟の桃にも似た香りが鼻を抜け、肺にまでいっぱいに広がる。
喉の奥を伝わる粘着質が、気持ち悪い。
飲み込みたくて飲み込めない、けれど飲み込まされているような、拷問。
嫌すぎて、どうにもできなくて涙が出てきた。
胃液がせり上がり、大福を口にするたび一緒に降下していく。
俺の体の、せめてもの抵抗に思えたが、虚しいだけだ。
4回繰り返して、5回目。
カリカリ梅の種みたいな固い物体が口に残った。
「それで全部ですよ。飲み込んで、そして、ゆっくりとお休みください」
固い小さな種が、腹に落ちていく感覚がする。
ああ、くっそ、だんだんと、腹に熱が帯びてくる。
胃じゃなくて、もっと下、臍よりもっと下だ。
セックスの時にガンガンと突かれてもたどりつくかつかないか微妙な…、そんな場所だ。
眠たくない、寝たら何か恐ろしいことが起きそうだ。
すげー怖い。
けれど、強制的に瞼が閉じられていく。
サミュエルの満足げな笑顔が、薄気味悪く脳裏に焼き付いた。
俺らの言い分のほうが理解できないんだろう。
けどな、そんなクソキモい宗教が国教だなんて、この国自体が腐ってる証拠だ。
「それは、仕方がありませんね…」
諦めを含んだように、サミュエルがほほ笑む。
「………っ!?」
奴は何をした?
体が動かない、息がうまく吸えない…や、吸えるが自分の意志で吸えない。
「あ…ぁ、あ……」
あーくっそ、声が出るのが精いっぱいだ。
「おや、あなたは随分、耐性が強いみたいですね………」
「っ………!!」
声も出せなくなる。なんだ、何が起きている?
「どうぞ、お召し上がりください」
ゆっくりと、銀の皿に、4つの手が伸びる。
俺の手を含め、皆の手が同じようにだ。
俺の意志ではない、手が勝手に、ペリエの実をとる。
手元が震えるが、ひっこめることができない。
ひんやり冷たい、柔らかくて、感触は本当に大福みたいだ。
こんなに大福に恐怖を感じたことはない。
や、大福じゃないんだが……そんなツッコミ入れる余裕もマジでなくなる。
その実が、俺の顔の目の前までどんどんと迫ってきた。
「………っ」
息苦しい。
意志に反して、口が自然と開く。
ゆっくりとその実が唇と舌をなぞり、大きく一口ゆっくりと齧られる。
味わうように、舌と上あごをすり合わせるような、草食動物にでもなったかのような食い方だ。
普段こんな食い方はしない。
にゅちゃっとした、ねっとりと生クリームのような感触が口の中いっぱいに広がる。
生クリームは好物だが、そうじゃない。
ひたすら気色悪い、マジで気色悪くて、気分的には吐きそうだ。
完熟の桃にも似た香りが鼻を抜け、肺にまでいっぱいに広がる。
喉の奥を伝わる粘着質が、気持ち悪い。
飲み込みたくて飲み込めない、けれど飲み込まされているような、拷問。
嫌すぎて、どうにもできなくて涙が出てきた。
胃液がせり上がり、大福を口にするたび一緒に降下していく。
俺の体の、せめてもの抵抗に思えたが、虚しいだけだ。
4回繰り返して、5回目。
カリカリ梅の種みたいな固い物体が口に残った。
「それで全部ですよ。飲み込んで、そして、ゆっくりとお休みください」
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ああ、くっそ、だんだんと、腹に熱が帯びてくる。
胃じゃなくて、もっと下、臍よりもっと下だ。
セックスの時にガンガンと突かれてもたどりつくかつかないか微妙な…、そんな場所だ。
眠たくない、寝たら何か恐ろしいことが起きそうだ。
すげー怖い。
けれど、強制的に瞼が閉じられていく。
サミュエルの満足げな笑顔が、薄気味悪く脳裏に焼き付いた。
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