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本編

-11- 貞操具

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「っ!?」

ぽかぽかと温かくて気持ちがいい、ずっと微睡んでいたい気持ちだった。
が、状況を思い出し、はっとして目を開く。

「なんだ、ここ……」

目の前に小さくとも立派な噴水があって、空気を含んだような白い水を噴き上げ、優しい音をたてている。
周りを水路が続き、見渡す限り、緑が広がっている。
天井は、ガラスパネルが幾重もはまったような球体ドームで、暑すぎず寒すぎず、快適だ。
階段状に補正されて低い植物が並んでいるところもあれば、どでかい木がわっさわっさと生えている部分もある。

植物園か、なんか、か?
植物園にしてはこじんまりしているし、静かだ。

それに、俺のいるコレ、やけに高級そうな人がひとり寝ても余裕があるカウチソファ。
すぐ横に真っ白なテーブルがひとつあって、上には何も置かれていない。
だが、このテーブルすらも高級そうな、重厚感のあるテーブルだ。
大きさはさほどないが、いうなれば高級なアンティーク。

「っなんだ、これ」
ソファのスプリングを確かめて………腕がむき出しになっていることで、ようやく自分の異変に気がついた。
周りに驚きすぎて、自分の服なんてまったく気に留めていなかった。
今まで着ていたスーツがない。
上は薄い水色の薄い布…レースっつーか、ほら、バレエのチュチュみたいなあんな生地だ。
それが幾重も重なっているような短いボレロで、乳首がうっすら透ける。
鳩尾から腹にかけては裸同然だ。
下は、ツルテカした真っ青な薄い生地に金糸の刺繍が入っていて、形はボンタンみたいなズボンだ。
男娼扱いかよ、なんだコレ……。

「……っはあ?うそだろ!?」

尻の穴になんか挟まってるような、やったまま気絶してそのまま起きたみたいな違和感があった。
まさぐってズボンの上から触ってみると、硬い感触が指にあたった。
そのまま腰に、ひも状のものが続いている。
慌ててズボンの腰ひもを解く。
左右を交互に腰に結ぶタイプで、股に穴が空いていた。
なんだこれ、ボンタンと一緒にしていたが、そうじゃない。
かき分けるだけで尻もちんこも丸出しで、簡単にやれる代物じゃねえか、趣味が悪い!

「っ?!」

俺のちんこに銀色に光る金属製の輪っかがいくつも付いていた。
先っちょだけが半球状で覆われて、中で尿道をも塞いでいる。
穴は…ない。
はあ?!
普通貞操帯にしたって、中にプラグ入れるタイプのもんだって、穴くらいあるだろうが、どうやって排尿すんだ?

それらを繋ぐように、気味悪く青白く光る鎖状のものが上下左右に4本。
引っ張ってみるとびくともしない。
感触は固いゴムみてえだ。
腰にも巻かれてある同じ鎖を引っ張ってみてもびくともしなかった。
付根には、睾丸をまるごと包み込むように金属に覆われているし、
鎖のうち1本は絶妙な長さでそのまま股を伝って、尻の穴もプラグ…硬いもんが埋め込まれてる。
あー、これ、プラグっつーか、アナルビーズに近いだろ、けっこうな…野郎のちんこくらいの長さがある気がする。
もちろん試しに引っ張ってみるが、びくともしない。
腹の下あたりにある、鎖と同じ素材でできてるらしい拳ほどの前あてが、鎖と同じように鈍く発光して気色悪い文字が浮かび上がっていた。
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