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女王様は地雷がお好き。

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 私がお風呂で汗を流し、前世でも試着した覚えがない、身体のラインに吸い付くような伸縮性のある黒のどエロい膝上20センチのミニのワンピースに黒の網タイツ、高さ10センチはありそうな真っ赤なハイヒールに着替えて先程の部屋へ戻ると、ルーシーが下着姿のギュンター王子を亀甲縛りにして床に転がしていた。

「ちょちょ、ちょっ、」

 いいのか王子にいきなりあんな事して。幾らなんでも不敬罪で処刑案件なんじゃないのかしら。
 やだ、ちょっと足が楽しくもないのに笑ってるわ。

「ああリーシャ様、お帰りなさいまし。縛るのはまだ慣れておられないと思いましたので先に縛りだけ済ませておきました。
 今は放置プレイ中ですわ」

 まだ、ってなんだ。
 一生慣れる訳あるかい。

 亀甲縛り歴5年ですわ、とか屈脚固定縛りとM字開脚歴8年ですの、あら私なんてまだ梯子縛り歴2年でお恥ずかしいですホホホとか言う貴族の奥様がどこにいる。

 意外と縛り方の名称がスラスラ出てくる自分にも驚いたわよ。

 先に料理の下拵えだけ済ませておきました、みたいな軽いノリで王族を亀甲縛りにするルーシーが怖い。
 無表情だが、かなりご機嫌なのが分かる。

「リーシャ様、こちらを」

 ルーシーが隣国の紋章入りのレター用紙をぺらりと渡してきた。

「先にサインして頂きましたので、思う存分お願い致します」

 私は記載されている内容を目で追った。



『      誓約書


 私、ギュンター・フェルーシーは、自身の健康問題の解消の為、リーシャ・シャインベック夫人に協力を仰ぎ、今回の治療目的での行為を全て認めるものとし、それに伴う不敬な発言また行動については一切責を負わせない事をここに誓います。

 また、この治療行為によりシャインベック夫人が不利益を被る事のないよう、生涯沈黙を守ることを王族の名に於いて誓約致します。

    ギュンター・フェルーシー』


 うわ、王族の印まで押してある。

 もう充分不利益こうむってるけども。


 私は溜め息がこぼれそうになるのを堪え、ルーシーに囁いた。

「………ノールールで良いって事でOK?」

「勿論ですわ。先程ご説明したように、傲慢、尊大でありつつも奴隷への愛をそこはかとなく匂わせる感じで。
 相変わらず何でも上手く着こなされますわねリーシャ様。
 今回初めて見る女王様なお衣装も最高にお似合いでございます。
 ちなみに食材はちゃんと冷蔵庫で保管してあるそうですが、ついでに最高級ランクのステーキ肉に高級シャンパンとキャビアも下さるそうです」

「まあ太っ腹ね。それじゃとっとと終わらせて帰りましょう。
 私は女王様私は女王様私は女王………」

 ここは女優魂を昇華させなくては。

 私はマインドコントロールをしつつ、ギュンターに近づきピンヒールで腹を踏んだ。

「あら。こんなところにゴミが落ちてると思ったら、私の下僕じゃない。何を勝手に縛られてるのよ」

「いや、でもこれはそこのメイドが………」

「私は発言を許可した覚えはなくてよギュンター。下僕の癖に偉くなったものねぇ?」

 ギュンターの顎をグイッと持ち上げて、馬鹿にしたように微笑む。

 ギュンターは既に頬を染め、目を潤ませている。

「…っ……申し訳ありません」

「あら。聞こえなかったのかしら?
 私の許可なく喋る下僕には、お仕置きが必要ね」

 ルーシーが用意した蝋燭に火をつけ、私に手渡す。


 王子よ、その期待に満ちた目はやめれ。


「誰が私を見ていいと言ったのかしら?
 お前はいつからそんなイケナイ子になったのかしらねぇ?調教が足りなかったかしら」

 ロウをタラリと乳首に垂らす。

「っっ!」

「ほら、言ってごらんなさい。『私は言いつけも守れない駄犬です』」

 タラタラとロウを垂らしながらピンヒールでグリグリと乳首を踏んづける。


 ヤバいわ。これちょっと楽しくなってきた。


「わ、私はっ、言いつけも守れない駄犬です」

「はいよく出来たわね。ご褒美が欲しいのね?仕方のない子」

 ロウを足元まで垂らしながら、呆れたといった風に呟いて、乳首に垂らしたロウを取り除いた。

「あら乳首が立ってるじゃない。嫌らしいわね。下僕が私に欲情でもしたのかしら?なんて汚らわしい」

 ギュンターが身体をぶるぶる震わせている。既に息を荒げて顔は真っ赤だ。

「でも、そうねぇ。私は今日機嫌がいいから、下僕へ靴を舐めさせるご褒美をあげてもよくてよ。ほら、綺麗にお舐め」

 後ろ手で縛られているギュンターの前に用意していた椅子へ腰を下ろし、脚を組む。

 ギュンターが膝立ちですり寄るように近づき、私のピンヒールを舐め出す。
 ヨダレまみれのヒールとか二度と履きたくないわねぇ、と思いつつ、

「気持ちがこもってないわ。私への忠誠心が足りないのかしら、ねぇ?」

 慌ててより嬉しそうにペロペロ熱心に舐め出すギュンターを見つつ、ちらっとパンツの中心を眺めると、………おお、勃ってるんじゃないの?テントを張ってるわよ!

「ギュンター、イケナイ子ね。私の靴を舐めて股間をそんなにするなんて。よっぽど美味しかったのかしら?」

 ギュンターも言われてハッと自分の股間を眺めると、涙がぽろりとこぼれた。

「た、勃ってる………勃ったぞーーー!!」

 余り泣きながら大声で叫ぶ言葉ではないけど、心情は理解できる。
 思わず立ち上がり拍手をした。

「おめでとうございます殿下!」

 ルーシーに縄を解いて貰うと、ロウを払い落とし、ガウンを羽織ると私に頭を下げた。

「リーシャ、いやシャインベック夫人!
 貴女のお陰で、ムスコがちゃんと使用可能な事が分かった。この恩は一生忘れない!」

 速攻で忘れて欲しいんですけど。

「とりあえず、ちょっとトイレで解放してくるから!ああ楽しみだ!」

 私は、股間を勃たせたまま自慰宣言も高らかに扉を開けて走り去る変態王族を見送った。


 クロエの夫(あくまで未定)の兄がアレなのかと思うと、むしろクロエがジークラインを嫌いになってくれる事を祈願した方が良かったのでは、と一瞬遠い目になってしまったが、今出来る最善は尽くした。

 とりあえず、隣国の変態は隣国に返すのがスジってモノよね。

 さっさと帰れ。

「………あー、何だか疲れたわ。早く片付けて着替えて帰りましょうルーシー」

「左様でございますね」

 床に落ちたロウの欠片を拾い集めていると、何人かの走ってくる足音がして、扉がばーーんっ、と豪快に開き、馴染んだ声が部屋に響き渡った。

「リーシャ!!無事か?何もされてないかっ!?」

「………ダーク?」


 いや、されたって言うかむしろ不敬しまくったと言うか。
 でもダークよくここが分かったわね。
 名探偵みたい。
 ウチの旦那様オールマイティーなのかしら。やだ素敵。


「リーシャさん大丈夫です、かっ………」

 ジークラインも駆け込んできたが、いきなり顔を真っ赤にして鼻血を出した。
 後ろからアレックも続いて入ってきて、私を見ると絶句した。

「………リーシャ様、なんてエロい格好してるんすか」



 うお。まだ女王様だったよ。
 こいつはうっかりだ。

 私は背中から嫌な汗がダラダラ流れるのを感じた。


「リーシャ、とりあえず………まず服を着替えてから、事情を聞こうか?」

 ダークがジークラインとアレックを扉の外に押し出し、低い低ーいイケメンボイスで私に圧をかけてきた。

 背後にどす黒い怒りのオーラが見えますな。うむ、これは確実に正座事案だ。

 ………あんのクソ王子、とっとと出すもん出して戻って来やがれ。不利益のオンパレードじゃねえかよ。
 


 私は涙目になりながら、急いで着替えに向かうのだった。


 
 
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