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下克上フラグテンパイの気配。
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「………えーと………」
なんだろう。色仕掛けで隣国のためにスパイをしろとかそういう話かしら。
私は色事にはとんと才能のない人間なのだけれど。子持ちの人妻に何をさせようと言うのかしら。
ルーシーをチラリと窺うが、無表情で何故か肩だけ震えている。
何よ、ルーシーすら怯えさせる事を求めてると言うの?
やめてよ私怖がりなんだから。
「………ギュンター殿下………」
「呼び捨てにしてくれないか」
「嫌ですけど」
ギュンターはニッコリと微笑み、
「早く家に帰りたいだろう?だったら協力してくれないと」
と幼い子供へ言い聞かせるように言うが、何をどうしろと言われてるのか私のようなヒッキーには皆目見当もつかない。
「ですから、何をすれば宜しいのですか?」
「だから、このハイヒール履いて、思いっきり踏みつけて欲しいんだ僕を。
ああ、一応網タイツとミニのセクシーなワンピースも用意してあるから着替えてね」
「………は?」
「言いづらいんだけど、僕、実はナニが勃たなくてね。………インポみたいなんだよ。どんな女性でも全くピクリともしないんだ」
いきなり何てネタをぶっ込んで来やがるこのクソ王子。言いづらいなら一生言わないでいて欲しかったよ。
こんな次期国王の聞きたくもない重要機密を勝手に打ち明けられたら、更に私たちの帰宅難民率が跳ね上がるじゃないのよ。
「それはそれは………ですが、それと私がそのド派手なヒールやボディラインが丸分かりのミニのワンピースを着る事に何の関係が?」
「いやね、ずっと好みの女性に縛られて罵られて踏みつけにされて、蔑んだ視線で卑猥な言葉を投げられたいと思ってたんだけど、ほら僕王子じゃない?閨で誰もそんなことしてくれなくてさ。
もしかしたらそのストレスがインポの原因じゃないかと思い至ってね」
「………大概の女性はお断りだと思いますけども」
この王子、ガチのM派閥だわ。
「僕もこれから国王になって政略結婚もしないとだし、子供だって作らないといけないじゃない?結構切実でさ」
だから知らねぇよ。聞けって人の話。
やりたくないって言ってんでしょうが。
「リーシャ、君の顔がメチャクチャ好みなんだよ。超理想なの。その切れ長の美しい瞳で上から見下ろして冷たい眼差しを注がれたら、興奮で僕のインポも治るんじゃないかって。
別に演技でもいいんだよ、一回だけでいい。
こんな究極の好みドストライクな女性に望むことをしてもらってもダメなら、潔く王位は弟に譲ってただの剣士として生きていくつもりだから」
………今なにか素通り出来ないワードが出たわよ。
「………弟に、というのは、ジークライン様の事でしょうか?」
「ん?そうだけど」
ジークライン………あのロリコン(未遂)が国王になったら、クロエが王妃になる可能性が有るってこと?
王弟の嫁ですら嫌なのに、王妃。
何その望んでもない下克上覇王ロード。
油断してたらアナだってウチの国のしかめっ面レイモンド王子となし崩しに結婚させられそうだというのに、隣国でまで王妃になる可能性とか冗談じゃないわよ。
我が家は王妃養成学校じゃないってのよ。ただの平凡な子爵の家庭だっつーの。
私は腹を決めた。
「畏まりました。大変不本意ではございますが、このリーシャ・シャインベック、ギュンター様の切実なご事情を、痛いほど感じましたわ。
私でよろしければ、今回ご協力するのに異存はございませんわ」
変態でもいい。間違いなく国王になって欲しい。
「本当かい!助かるよリーシャ!!」
「申し訳ありませんが、身体が痛いので縄を解いて頂けますか?身を清めて着替える時間も頂きたいのですが」
「勿論さ!今風呂は用意させるからね。
大丈夫、滞在中に使わせて貰ってる別荘みたいな所だから、最低限しか人も居ないし、人払いもしておくから!
待っててね、直ぐだから!」
ギュンターは私の縄とルーシーの縄を急いで解くと、浮かれた様子で部屋を出ていった。
ヒリヒリする手首をさすりながら、ようやく不自由な体勢から解放された私は、ルーシーを見た。
「………ルーシー、貴女、怯えてたんじゃなくて、笑いを堪えてたのね?」
「まぁよくお分かりで」
「だてに付き合い長くないわよ。
でもルーシーじゃないけど私も最近、心の安らぐ時がないと気がついたわ」
「あら今更でございますか。正直、もう諦めたのかと思っておりましたわ」
「娘二人があっちこっちで王妃になる可能性なんて、ギリギリまで回避を諦めてなるものですか!諦めたら試合終了なのよ。
私とダークの穏やかな老後がかかってるんだから」
「リーシャ様の昔からその無駄にしぶとい所もわたくし好きですわ」
「ありがとう。そんな私をサポートしてくれるルーシーも大好きよ。
さて、早速なんだけれど、女王様風の物言いと、M派閥の人間に効き目がありそうなプレイを教えてもらえるかしら?
私その手の事は守備範囲外なのよ」
「お任せ下さいませ。
私の脳は9割がた薄い本とマンガで構成されていると言っても過言ではございませんわ。SMプレイもばっちこいでございます」
「………今の台詞で逆に不安を煽られたけれど、まあいいわ。
さっさとギュンター王子の病を解消させて家に帰りたいのよ。………あ、私たちの買い物の荷物は?お肉はどうなったのかしら。結構お高かったのよあの肉」
「冷蔵庫に保管して下さってると宜しいですわね。捨てられてたら弁償して貰いましょう。もっと霜降ったお肉をどーんと」
「名案ね。王族だもの、そのぐらいは、ねぇ?」
私とルーシーは、顔を見合わせて悪い笑みを浮かべた。
なんだろう。色仕掛けで隣国のためにスパイをしろとかそういう話かしら。
私は色事にはとんと才能のない人間なのだけれど。子持ちの人妻に何をさせようと言うのかしら。
ルーシーをチラリと窺うが、無表情で何故か肩だけ震えている。
何よ、ルーシーすら怯えさせる事を求めてると言うの?
やめてよ私怖がりなんだから。
「………ギュンター殿下………」
「呼び捨てにしてくれないか」
「嫌ですけど」
ギュンターはニッコリと微笑み、
「早く家に帰りたいだろう?だったら協力してくれないと」
と幼い子供へ言い聞かせるように言うが、何をどうしろと言われてるのか私のようなヒッキーには皆目見当もつかない。
「ですから、何をすれば宜しいのですか?」
「だから、このハイヒール履いて、思いっきり踏みつけて欲しいんだ僕を。
ああ、一応網タイツとミニのセクシーなワンピースも用意してあるから着替えてね」
「………は?」
「言いづらいんだけど、僕、実はナニが勃たなくてね。………インポみたいなんだよ。どんな女性でも全くピクリともしないんだ」
いきなり何てネタをぶっ込んで来やがるこのクソ王子。言いづらいなら一生言わないでいて欲しかったよ。
こんな次期国王の聞きたくもない重要機密を勝手に打ち明けられたら、更に私たちの帰宅難民率が跳ね上がるじゃないのよ。
「それはそれは………ですが、それと私がそのド派手なヒールやボディラインが丸分かりのミニのワンピースを着る事に何の関係が?」
「いやね、ずっと好みの女性に縛られて罵られて踏みつけにされて、蔑んだ視線で卑猥な言葉を投げられたいと思ってたんだけど、ほら僕王子じゃない?閨で誰もそんなことしてくれなくてさ。
もしかしたらそのストレスがインポの原因じゃないかと思い至ってね」
「………大概の女性はお断りだと思いますけども」
この王子、ガチのM派閥だわ。
「僕もこれから国王になって政略結婚もしないとだし、子供だって作らないといけないじゃない?結構切実でさ」
だから知らねぇよ。聞けって人の話。
やりたくないって言ってんでしょうが。
「リーシャ、君の顔がメチャクチャ好みなんだよ。超理想なの。その切れ長の美しい瞳で上から見下ろして冷たい眼差しを注がれたら、興奮で僕のインポも治るんじゃないかって。
別に演技でもいいんだよ、一回だけでいい。
こんな究極の好みドストライクな女性に望むことをしてもらってもダメなら、潔く王位は弟に譲ってただの剣士として生きていくつもりだから」
………今なにか素通り出来ないワードが出たわよ。
「………弟に、というのは、ジークライン様の事でしょうか?」
「ん?そうだけど」
ジークライン………あのロリコン(未遂)が国王になったら、クロエが王妃になる可能性が有るってこと?
王弟の嫁ですら嫌なのに、王妃。
何その望んでもない下克上覇王ロード。
油断してたらアナだってウチの国のしかめっ面レイモンド王子となし崩しに結婚させられそうだというのに、隣国でまで王妃になる可能性とか冗談じゃないわよ。
我が家は王妃養成学校じゃないってのよ。ただの平凡な子爵の家庭だっつーの。
私は腹を決めた。
「畏まりました。大変不本意ではございますが、このリーシャ・シャインベック、ギュンター様の切実なご事情を、痛いほど感じましたわ。
私でよろしければ、今回ご協力するのに異存はございませんわ」
変態でもいい。間違いなく国王になって欲しい。
「本当かい!助かるよリーシャ!!」
「申し訳ありませんが、身体が痛いので縄を解いて頂けますか?身を清めて着替える時間も頂きたいのですが」
「勿論さ!今風呂は用意させるからね。
大丈夫、滞在中に使わせて貰ってる別荘みたいな所だから、最低限しか人も居ないし、人払いもしておくから!
待っててね、直ぐだから!」
ギュンターは私の縄とルーシーの縄を急いで解くと、浮かれた様子で部屋を出ていった。
ヒリヒリする手首をさすりながら、ようやく不自由な体勢から解放された私は、ルーシーを見た。
「………ルーシー、貴女、怯えてたんじゃなくて、笑いを堪えてたのね?」
「まぁよくお分かりで」
「だてに付き合い長くないわよ。
でもルーシーじゃないけど私も最近、心の安らぐ時がないと気がついたわ」
「あら今更でございますか。正直、もう諦めたのかと思っておりましたわ」
「娘二人があっちこっちで王妃になる可能性なんて、ギリギリまで回避を諦めてなるものですか!諦めたら試合終了なのよ。
私とダークの穏やかな老後がかかってるんだから」
「リーシャ様の昔からその無駄にしぶとい所もわたくし好きですわ」
「ありがとう。そんな私をサポートしてくれるルーシーも大好きよ。
さて、早速なんだけれど、女王様風の物言いと、M派閥の人間に効き目がありそうなプレイを教えてもらえるかしら?
私その手の事は守備範囲外なのよ」
「お任せ下さいませ。
私の脳は9割がた薄い本とマンガで構成されていると言っても過言ではございませんわ。SMプレイもばっちこいでございます」
「………今の台詞で逆に不安を煽られたけれど、まあいいわ。
さっさとギュンター王子の病を解消させて家に帰りたいのよ。………あ、私たちの買い物の荷物は?お肉はどうなったのかしら。結構お高かったのよあの肉」
「冷蔵庫に保管して下さってると宜しいですわね。捨てられてたら弁償して貰いましょう。もっと霜降ったお肉をどーんと」
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私とルーシーは、顔を見合わせて悪い笑みを浮かべた。
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