こんな僕の想いの行き場は~裏切られた愛と敵対心の狭間~

ちろる

文字の大きさ
55 / 56

【オマケ】Side:日高 暖人

しおりを挟む
 仕事を終えてスマートフォンを確認したら、登録は消去したものの、とっくに暗記しちまっている葵晴あおはの電話番号からの着信履歴があって。

 興奮も冷めやらぬまま折り返し電話をしたら、「今すぐ、僕をさらいにきて?」なんて、クッソ可愛いことを言いやがるから、すぐさまタクシーを呼んで葵晴の家へ着くなり扉をぶち破るようにして抱きしめて。

 有無を言わさずベッドに引っ張った俺は、「これからお前を抱く予定だけど、それは許されっか?」と、葵晴が断るはずもねぇ質問を意地悪く投げかけてみたりする。

 潤んだ目尻をあかく染めて頷く葵晴に一発K.O。

 普段は、口を開かず泣き虫じゃなけりゃ凛とした中性的な美青年のコイツが、ベッドの中ではたちまち淫らで奔放ほんぽうで絶倫になるのを知ってっから。

 思い切りかせてやれば、俺の下肢かしの中心に自ら求めるように指を絡ませてきて「暖人はるとのここ、またこんなになってる……」なんて、甘えるような喉声のどごえで何度も誘惑してきやがる。

「そりゃ、愛してる奴が目の前でアンアン言ってたらこうなるっつーの」なんておどけて見せると、火でもついたかのように真っ赤になって「僕、アンアンなんて言ってない!」と、これまたクッソ可愛いことを言ってきやがるからどうしようもねぇ。

 もう何度目かもわからない自身をじ込んで、飽きるほど身体を揺さぶってやれば、やっぱり断続的な何度聞いてもゾッとするほど色っぽい声で下半身を直撃してくるんだからマジで自覚してくれ。

 だけど──。

 抽挿を繰り返している最中に、勝手に昇りつめて切ない声を散らしながら、火照ほてった身体のまま気絶しちまうから、またか……と嘆息する。

「葵晴? 葵晴?」

 名前を呼んでみてもクッタリと意識を失って、濡れたように艶やかなアンバーカラーの瞳が隠れる、静脈の透ける薄い瞼を閉じて、とろけたように頬にあかみを浮かべながら眠っちまって。

「おい、俺まだってねぇんだけど?」

 声を掛けてもやっぱり葵晴はもう夢の中。

 俺はコイツの寝顔と散々見せつけられた媚態を思い出し、一人で己を慰めて吐き出した精を、綺麗だからこそ汚してやりたくなるような狂暴な欲をはらませて、思いっきり顔に塗り付けてやると。

「ぅ、ん……はる……もっと……」

 なんて寝言を言いやがるから。

 あぁ、もうホント敵わねぇ……腹が立つくれぇ可愛すぎか、と溜め息を吐きながら、どうやら再び〝恋人〟に戻れたらしい葵晴の身体を清めるべく濡れタオルを作りに行くのであった。

 やっと取り戻せた恋焦がれたコイツを、もう明日からは許可なく朝まで負けず劣らず絶倫の欲求を満たせてもらえる権利が戻ってきたことに、一人ほくそ笑んでしまうのは、少しばかり性質タチわりぃのかもしんねぇな、なんて考えながら。

                              - END -
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

ノリで付き合っただけなのに、別れてくれなくて詰んでる

cheeery
BL
告白23連敗中の高校二年生・浅海凪。失恋のショックと友人たちの悪ノリから、クラス一のモテ男で親友、久遠碧斗に勢いで「付き合うか」と言ってしまう。冗談で済むと思いきや、碧斗は「いいよ」とあっさり承諾し本気で付き合うことになってしまった。 「付き合おうって言ったのは凪だよね」 あの流れで本気だとは思わないだろおおお。 凪はなんとか碧斗に愛想を尽かされようと、嫌われよう大作戦を実行するが……?

クズ彼氏にサヨナラして一途な攻めに告白される話

雨宮里玖
BL
密かに好きだった一条と成り行きで恋人同士になった真下。恋人になったはいいが、一条の態度は冷ややかで、真下は耐えきれずにこのことを塔矢に相談する。真下の事を一途に想っていた塔矢は一条に腹を立て、復讐を開始する——。 塔矢(21)攻。大学生&俳優業。一途に真下が好き。 真下(21)受。大学生。一条と恋人同士になるが早くも後悔。 一条廉(21)大学生。モテる。イケメン。真下のクズ彼氏。

年下幼馴染アルファの執着〜なかったことにはさせない〜

ひなた翠
BL
一年ぶりの再会。 成長した年下αは、もう"子ども"じゃなかった――。 「海ちゃんから距離を置きたかったのに――」 23歳のΩ・遥は、幼馴染のα・海斗への片思いを諦めるため、一人暮らしを始めた。 モテる海斗が自分なんかを選ぶはずがない。 そう思って逃げ出したのに、ある日突然、18歳になった海斗が「大学のオープンキャンパスに行くから泊めて」と転がり込んできて――。 「俺はずっと好きだったし、離れる気ないけど」 「十八歳になるまで我慢してた」 「なんのためにここから通える大学を探してると思ってるの?」 年下αの、計画的で一途な執着に、逃げ場をなくしていく遥。 夏休み限定の同居は、甘い溺愛の日々――。 年下αの執着は、想像以上に深くて、甘くて、重い。 これは、"なかったこと"にはできない恋だった――。

借金のカタに同居したら、毎日甘く溺愛されてます

なの
BL
父親の残した借金を背負い、掛け持ちバイトで食いつなぐ毎日。 そんな俺の前に現れたのは──御曹司の男。 「借金は俺が肩代わりする。その代わり、今日からお前は俺のものだ」 脅すように言ってきたくせに、実際はやたらと優しいし、甘すぎる……! 高級スイーツを買ってきたり、風邪をひけば看病してくれたり、これって本当に借金返済のはずだったよな!? 借金から始まる強制同居は、いつしか恋へと変わっていく──。 冷酷な御曹司 × 借金持ち庶民の同居生活は、溺愛だらけで逃げ場なし!? 短編小説です。サクッと読んでいただけると嬉しいです。

借金のカタで二十歳上の実業家に嫁いだΩ。鳥かごで一年過ごすだけの契約だったのに、氷の帝王と呼ばれた彼に激しく愛され、唯一無二の番になる

水凪しおん
BL
名家の次男として生まれたΩ(オメガ)の青年、藍沢伊織。彼はある日突然、家の負債の肩代わりとして、二十歳も年上のα(アルファ)である実業家、久遠征四郎の屋敷へと送られる。事実上の政略結婚。しかし伊織を待ち受けていたのは、愛のない契約だった。 「一年間、俺の『鳥』としてこの屋敷で静かに暮らせ。そうすれば君の家族は救おう」 過去に愛する番を亡くし心を凍てつかせた「氷の帝王」こと征四郎。伊織はただ美しい置物として鳥かごの中で生きることを強いられる。しかしその瞳の奥に宿る深い孤独に触れるうち、伊織の心には反発とは違う感情が芽生え始める。 ひたむきな優しさは、氷の心を溶かす陽だまりとなるか。 孤独なαと健気なΩが、偽りの契約から真実の愛を見出すまでの、切なくも美しいシンデレラストーリー。

ウサギ獣人を毛嫌いしているオオカミ獣人後輩に、嘘をついたウサギ獣人オレ。大学で逃げ出して後悔したのに、大人になって再会するなんて!?

灯璃
BL
ごく普通に大学に通う、宇佐木 寧(ねい)には、ひょんな事から懐いてくれる後輩がいた。 オオカミ獣人でアルファの、狼谷 凛旺(りおう)だ。 ーここは、普通に獣人が現代社会で暮らす世界ー 獣人の中でも、肉食と草食で格差があり、さらに男女以外の第二の性別、アルファ、ベータ、オメガがあった。オメガは男でもアルファの子が産めるのだが、そこそこ差別されていたのでベータだと言った方が楽だった。 そんな中で、肉食のオオカミ獣人の狼谷が、草食オメガのオレに懐いているのは、単にオレたちのオタク趣味が合ったからだった。 だが、こいつは、ウサギ獣人を毛嫌いしていて、よりにもよって、オレはウサギ獣人のオメガだった。 話が合うこいつと話をするのは楽しい。だから、学生生活の間だけ、なんとか隠しとおせば大丈夫だろう。 そんな風に簡単に思っていたからか、突然に発情期を迎えたオレは、自業自得の後悔をする羽目になるーー。 みたいな、大学篇と、その後の社会人編。 BL大賞ポイントいれて頂いた方々!ありがとうございました!! ※本編完結しました!お読みいただきありがとうございました! ※短編1本追加しました。これにて完結です!ありがとうございました! 旧題「ウサギ獣人が嫌いな、オオカミ獣人後輩を騙してしまった。ついでにオメガなのにベータと言ってしまったオレの、後悔」

《完結》僕が天使になるまで

MITARASI_
BL
命が尽きると知った遥は、恋人・翔太には秘密を抱えたまま「別れ」を選ぶ。 それは翔太の未来を守るため――。 料理のレシピ、小さなメモ、親友に託した願い。 遥が残した“天使の贈り物”の数々は、翔太の心を深く揺さぶり、やがて彼を未来へと導いていく。 涙と希望が交差する、切なくも温かい愛の物語。

彼の理想に

いちみやりょう
BL
あの人が見つめる先はいつも、優しそうに、幸せそうに笑う人だった。 人は違ってもそれだけは変わらなかった。 だから俺は、幸せそうに笑う努力をした。 優しくする努力をした。 本当はそんな人間なんかじゃないのに。 俺はあの人の恋人になりたい。 だけど、そんなことノンケのあの人に頼めないから。 心は冗談の中に隠して、少しでもあの人に近づけるようにって笑った。ずっとずっと。そうしてきた。

処理中です...