こんな僕の想いの行き場は~裏切られた愛と敵対心の狭間~

ちろる

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 来栖くるす先輩が、ひざまずいていた僕の腕を引いてベッドに縫い留めた。
 すぐに、僕に口付けるでもなく、どこか愛撫するでもなく、スラックスのベルトが外されて、下着ごと引き抜かれる。

 僕の下半身をじっと見つめた来栖先輩がポツリとこぼした。

「やっぱ、前隠してくれない? それ見ると萎えるんだよね」

 言いながら、ベッドの宮棚に折りたたまれて置かれていた大判のタオルを僕の下腹部に被せた。

 そうだよね、来栖先輩はゲイじゃないから、こんな男の下半身なんて気持ち悪いだけだよね。わかっているのに瞳に涙が滲むのは何故だろう。

「……すみません、来栖先輩」

 果たしてここは謝るべきなんだろうか。
 そう思ったけれど、僕は来栖先輩に仮初かりそめで抱かれる身分なんだから不愉快にさせちゃいけないんだ。

「ん。ごめん。男同士のヤり方よくわからないけど、ここに挿れるんでしょ?」

 来栖先輩の指が双丘を割って窄まりに触れたけれど、すぐにそこに来栖先輩の猛ったそれの切っ先が当てがわれて僕は焦る。

 待って、待って、来栖先輩!
 そんないきなり挿入はいんないよ! ……と思うのに、僕の涎と来栖先輩の先走りに濡れた切っ先が、くびれた部分までメリメリと引き裂くように挿入されてあまりの痛みに腰が飛び跳ねる。

「痛っ……痛いっ! 来栖先輩! 待って!」

「なんで? 椎名しいなはここが気持ちいいんでしょ?」

 来栖先輩が力ずくで腰を進めて来て瞳から涙がこぼれる。

 でも──。

 来栖先輩だから。
 僕だって望んだことだし、ゲイでもない来栖先輩からしたら、これが当たり前なんだろう。だったら僕はそれを我慢して享受するしかないと思うから。

 そういえば、暖人はるとは初めて抱いてくれた時、未経験の僕に配慮して慎重に優しくしてくれたな、と何故か暖人が頭をよぎる。

 ぼんやり思考を飛ばしていると、いつの間にか奥まで押し詰められた来栖先輩が抽挿を始めて。

「くる……っす……せんぱ……痛っ……」

「気持ちいい? 椎名。だんだん中の滑りが良くなってきたよ?」

 それは、僕の血だろう。
 中が切れたのがわかったから。来栖先輩は、それにも気づいてくれていないようだ。

 これが、正しい抱き方だと思っているようだ──。
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