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黒髪をツーブロックマッシュにした、ムカつくけれど切れ長の瞳で整った鼻梁に薄い唇をした暖人と、それに対して無造作な黒髪に精悍な目つき、口角の上がった温厚な来栖先輩が対面する前で、僕は呆然とした。
「え? 元カレって……え?」
来栖先輩が思考が追い付いていないような感じで、僕と暖人を交互に見つめた。
「葵晴は俺の元カレです。こいつ、ゲイなんすよ」
死ね。マジで死んでくれ。
お前はどこまで僕をボロボロにさせれば気が済むんだ。
「え? 椎名、本当なの……?」
何も言葉が出てこなかった。
ただ、じわじわと視界が霞んで、来栖先輩の顔を見ることも出来ず、僕はその場を何も言わずに去って自分のデスクに戻った。
すぐに来栖先輩が僕の傍まで来て、僕の頭にまたポンと手の平を乗せた。
その温かさに涙がこぼれる。
「来栖先輩……隠してて、ごめんなさい……」
「ねぇ、椎名。今日の夜、飯でも行く?」
僕は涙に濡れた瞳のまま来栖先輩を見つめた。
こんな、嘘つきゲイ男の僕をまだ見捨てないでいてくれるの?
「来栖先輩が嫌じゃなかったら……」
クシャクシャっと来栖先輩が僕の髪を掻き混ぜた。
その優しい手付きに、ああ、僕はやっぱり来栖先輩が好きだって思った。
「俺は、そんな軽蔑したりはしないよ? 椎名が隠したかったこと、ちゃんと聞かせて?」
やっぱり涙がこぼれて、でも、ゆっくり頷いた。
遠目から、暖人の視線を感じたけれど、僕はそれを完全にシャットアウトした。
暖人なんて最低野郎だ。
僕を傷つけることしかしない。それがまざまざとわかったから、暖人なんて一切無視してやる。
例えこれで、来栖先輩に全てを話して嫌われてしまっても、もうそれでいいと思った。
こんなマイノリティな僕の行き場なんて、どこにもないんだ。
僕は、一人で生きていくしかないんだ──。
「え? 元カレって……え?」
来栖先輩が思考が追い付いていないような感じで、僕と暖人を交互に見つめた。
「葵晴は俺の元カレです。こいつ、ゲイなんすよ」
死ね。マジで死んでくれ。
お前はどこまで僕をボロボロにさせれば気が済むんだ。
「え? 椎名、本当なの……?」
何も言葉が出てこなかった。
ただ、じわじわと視界が霞んで、来栖先輩の顔を見ることも出来ず、僕はその場を何も言わずに去って自分のデスクに戻った。
すぐに来栖先輩が僕の傍まで来て、僕の頭にまたポンと手の平を乗せた。
その温かさに涙がこぼれる。
「来栖先輩……隠してて、ごめんなさい……」
「ねぇ、椎名。今日の夜、飯でも行く?」
僕は涙に濡れた瞳のまま来栖先輩を見つめた。
こんな、嘘つきゲイ男の僕をまだ見捨てないでいてくれるの?
「来栖先輩が嫌じゃなかったら……」
クシャクシャっと来栖先輩が僕の髪を掻き混ぜた。
その優しい手付きに、ああ、僕はやっぱり来栖先輩が好きだって思った。
「俺は、そんな軽蔑したりはしないよ? 椎名が隠したかったこと、ちゃんと聞かせて?」
やっぱり涙がこぼれて、でも、ゆっくり頷いた。
遠目から、暖人の視線を感じたけれど、僕はそれを完全にシャットアウトした。
暖人なんて最低野郎だ。
僕を傷つけることしかしない。それがまざまざとわかったから、暖人なんて一切無視してやる。
例えこれで、来栖先輩に全てを話して嫌われてしまっても、もうそれでいいと思った。
こんなマイノリティな僕の行き場なんて、どこにもないんだ。
僕は、一人で生きていくしかないんだ──。
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