こんな僕の想いの行き場は~裏切られた愛と敵対心の狭間~

ちろる

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 仕事を終えて着替える為に一時帰宅する。
 入社したばかりで残業もなく、既に帰ってきていた暖人はるとが笑顔で「葵晴あおは、おかえり!」などと迎えてくる。

 お前は今日、僕にした仕打ちを忘れたの?
 こんなに傷つけておいて、そんなことも察せられず、笑顔を向けてくるの?

「今日、ご飯いらないから」

 どこまでも感情のない声を出すと暖人が秀麗な眉を寄せた。
 その仕草にさえイライラしてしまう。もう暖人に僕を束縛できる権利なんかないんだよ。

来栖くるす先輩と飯でも行くわけ?」

「そうだけど? 悪い? 暖人には関係ないだろ」

 すると暖人がグッと僕の腕を引き寄せた。
 そのまま乱暴に唇を奪われる。無理やり舌が挿し込まれて、後頭部を押さえ込まれたまま咥内こうないを水音を立てながら、余すところなく舌が這い回る。

 かと思えば唇を離して、また首筋を噛まれて。
 途端、僕の口から「ぁ、や……」と、艶冶えんやな声が漏れて膝がガクガクと震え始める。

「俺も行く」

「は?」

 何を言ってるんだこいつは。
 僕はこれから、来栖先輩に赤裸々に暖人のことを話して、ともすれば嫌われに行こうと覚悟しているのに。

「嫌なんだったら、このままここで葵晴を抱く」

 言いながら腕を思い切り引き摺られる。
 すぐにソファに縫い留められて、再び首筋を噛まれたままネクタイを引き抜かれ、シャツのボタンを荒々しく開けられて、胸の飾りをぎゅっと捻られた。

 二つの性感帯を同時に責め立てられて、堪えきれない嬌声がこぼれてしまい、弱々しく暖人の胸を押しやって解放を求めてみるけれど、首筋も胸も解放してはくれず、更には片手が下腹部の中心に這わせられる始末。

「んっ……ぁ、やめて……っ……はるっ……」

 暖人がそっとかじり続けていた首筋から口を離した。
 しかしまだ局部をスラックスの上から撫でる手は止まらず、どんどん下着の中で張りつめていくそれに呼吸が乱れる。

「じゃあ、俺も行っていい?」

 僕は涙に滲んだ瞳を暖人に絡めた。
 このままじゃ、僕は裏切られた元カレに無理やり犯されてしまう。

「わか……った、わかったから……も、やめて……」

 暖人がにっこり笑った。
 わかったと言っているのに手をどけないので思い切り睨みつける。

「おっけ。でも、その前に葵晴をイカせてやんねぇとな? このままじゃ苦しいだろ?」

 本当に、消え失せてくれ。
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