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第六話
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いつものようにお祈りを定時で切り上げいえでまったりとお酒を楽しんでいるとカナさんが訪ねて来た。なんでも頼みごとがあるらしい。まぁお世話になっている以上無理難題以外はできるだけ力になろう。
「聖女様、巡礼をしていただけませんか?」
巡礼とは遠くの田舎や病気で動けない人の為に聖女自らが出向き信仰心の強化や献金を目当てにしたかなり黒い行為である。ちなみに前の国ではかなりの頻度でやらされていた。
「この国ではそんなことしなくてもいいと思ってたのに…そんなにお金が必要なの?」
「聖女様が何をおっしゃっているのかわかりませんが私たちは聖女様に各地の孤児院に出向き食料や日常生活に必要なものを聖女様の手で配っていただきたいのです」
「へぇーいいじゃんそれ。でもなんで急にそんなことしようってなったの?」
「実はこの国の大臣の中に私たちがお金を不正利用しているのではないかとあらぬ疑いをかけてきたのです。もちろんやましいことなど何もなので正式な書類を国に提出して事なきを得たのですが、それがきっかけで悪い噂が立つようになってしまったのです」
確かに噂は流れてしまえばすぐに広がる、悪い噂ならなおさら。
「これでは五穀豊穣の加護に悪い影響を与えてしまいます。なのでイメージ向上を目的として孤児院を回り無償の親切を与えることにしたのです」
確かにいいアイデアだとは思うが善行は一日二日では実るものではないと私は知っている。悪い噂が消えるのはかなり先になりそうだな。
「その映像を聖女チャンネルを利用して国中に拡散し、悪い噂などかき消してしまいましょう!」
これはすぐ実るな。私の専用放送枠、通称聖女チャンネルは結構な視聴率を維持しているから効果は絶大だろう。私がこの国に来てからまだ一年も経っていないのにここまでのことが出来るようになるなんて本当にカナさんの行動力はすごいな。
私たちは早速スタッフさんたちと共に国の中心から遠く離れた田舎の孤児院に向かう。目的地までは馬車で一週間とかなりかかるが到着するまで馬車の先頭からの風景を聖女チャンネルで流し続けるらしい。
こんなのが本当に面白いのかと思っていたがかなり評判がよく国の再興視聴率を記録したらしい。そんな感じの緩い旅を続けていると孤児院のある村に着いた。家は少なく村人もあまり見かけない、絵にかいたような田舎だった。
私たちは前もって手紙で連絡をしていた村長さんに案内してもらい孤児院に着いた。私はかなりの子供好きなので内心ウキウキしていた。早く子供たちに会いたいと思いながら孤児院の扉を開けると私が最初に見たのは飛んでくる石だった。
「聖女様、巡礼をしていただけませんか?」
巡礼とは遠くの田舎や病気で動けない人の為に聖女自らが出向き信仰心の強化や献金を目当てにしたかなり黒い行為である。ちなみに前の国ではかなりの頻度でやらされていた。
「この国ではそんなことしなくてもいいと思ってたのに…そんなにお金が必要なの?」
「聖女様が何をおっしゃっているのかわかりませんが私たちは聖女様に各地の孤児院に出向き食料や日常生活に必要なものを聖女様の手で配っていただきたいのです」
「へぇーいいじゃんそれ。でもなんで急にそんなことしようってなったの?」
「実はこの国の大臣の中に私たちがお金を不正利用しているのではないかとあらぬ疑いをかけてきたのです。もちろんやましいことなど何もなので正式な書類を国に提出して事なきを得たのですが、それがきっかけで悪い噂が立つようになってしまったのです」
確かに噂は流れてしまえばすぐに広がる、悪い噂ならなおさら。
「これでは五穀豊穣の加護に悪い影響を与えてしまいます。なのでイメージ向上を目的として孤児院を回り無償の親切を与えることにしたのです」
確かにいいアイデアだとは思うが善行は一日二日では実るものではないと私は知っている。悪い噂が消えるのはかなり先になりそうだな。
「その映像を聖女チャンネルを利用して国中に拡散し、悪い噂などかき消してしまいましょう!」
これはすぐ実るな。私の専用放送枠、通称聖女チャンネルは結構な視聴率を維持しているから効果は絶大だろう。私がこの国に来てからまだ一年も経っていないのにここまでのことが出来るようになるなんて本当にカナさんの行動力はすごいな。
私たちは早速スタッフさんたちと共に国の中心から遠く離れた田舎の孤児院に向かう。目的地までは馬車で一週間とかなりかかるが到着するまで馬車の先頭からの風景を聖女チャンネルで流し続けるらしい。
こんなのが本当に面白いのかと思っていたがかなり評判がよく国の再興視聴率を記録したらしい。そんな感じの緩い旅を続けていると孤児院のある村に着いた。家は少なく村人もあまり見かけない、絵にかいたような田舎だった。
私たちは前もって手紙で連絡をしていた村長さんに案内してもらい孤児院に着いた。私はかなりの子供好きなので内心ウキウキしていた。早く子供たちに会いたいと思いながら孤児院の扉を開けると私が最初に見たのは飛んでくる石だった。
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