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第13話 遺跡調査でセカイの正体を知る。
Chapter-46
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「なぁ……アルヴィン?」
「なんだよ」
「なんで俺らはこんな狭い部屋に、しかも同室なんだ?」
「そりゃ、ここが学生寮で、俺達はその学生寮の住人だからだ」
「なんで学生寮の住人なんだ?」
「そりゃ、俺達がこの冒険者養成学校の学生で、とても自宅から通っていられる環境じゃないからだ」
「もうひとついいか、アルヴィン?」
「何だよ」
「なんでここにはリリーさんがいないんだ?」
「そりゃ、姉弟子はすでにこの学校を卒業していて、別に仕事があるからだ」
うぜぇ……
昨日の夜から何度このやりとりをしたと思ってやがる。
そりゃま、帝都の我が屋敷と比べたら、環境的には雲泥の差かもよ?
でもなー。前世では辛うじて風呂場とトイレが独立してたワンルームが終の棲家だったり、転生して前世の記憶が蘇ってからもろくな住環境じゃなかった俺にとっては、むしろ落ち着くぐらいの環境なんだぜ?
ついでに味は多少大味とは言え、朝夕は労せずしてタダ飯が出てくるし……
あー、そうか、こいつには帝都屋敷でも大差ないんだったな。
俺以下、本人以外の全員が事実上の台所出禁を言い渡してるから。
しかも、見知った女の子、しかも1人は、“女の子(?)”だが、こいつにとっては婚約者候補、それが作ってくれるわけだしな。
今度から食費請求してやろうか。
とりあえず年越し休講は明後日までだ。
アイザックとセオ兄には、既に指示書と俺直筆のサインが入った身分証を渡して、領地に向かってもらった。
だが、俺達は流石に、そこまで往復している余裕はない。
クルマがあれば強行軍も不可能ではないが、生憎そんな便利なもんは存在していなかった。
でもって、やることもなく部屋でグダグダしてるもんだから、余計にこんなやり取りを繰り返すことになる。
エミに頼んで、剣の鍛錬でもつけてもらった方が有意義かな。
本職・魔導師は変えるつもりはないが、せっかくショートソードは買ったわけだし。
そんな事を考え始めていた時。
「おいアルヴィン、居るんだろ、入るぞ」
ん? あれ? 今姉弟子の声が聞こえたような?
「リリーさん!」
なんか、ジャックがすっげぇ嬉しそうな声で姉弟子の名前を呼んだ気がするぞー。
「ジャックもいたか。まぁ、同室だしな、やることもないだろうし、当然か」
なんだろう、苦笑しながらそんな事を言う姉弟子の姿が見えるなー
正月ボケで、寝ぼけてんのかな?
「おいアルヴィン、しっかりしろ、リリーさんが来てくれたぞ!」
「はっ!?」
なんか、急に回路がつながった!?
「ここはいつ? 私はどこ? 今は誰?」
「何を言ってるんだ」
思わず混乱してそんな事を口走った俺に、姉弟子のツッコミが入る。
「そんなことより、お館様、ブリュサンメル上級伯がお前達をお呼びだ。ついてきてくれ、……ああ」
姉弟子は、手振りを加えて俺達に同行するように言いながら、悪戯っぽく笑う。
「もちろん、女の子3人も一緒でな」
年明け早々ブリュサンメル上級伯の呼び出しかー。
なんかあんまり良い予感がしないなー
などと思いつつ。
俺達は、以前と同じように、上級伯の屋敷の応接室に通されていた。
おっと、ミーラは初めてだったな。
そのせいか、以前のときと違って気楽そうな雰囲気のジャックとキャロに対して、ミーラは少し緊張した様子だ。
エミは……いつもどおり、ニュートラルな表情でいるけど。
「そんなに緊張しなくても大丈夫だよ、うちのお館様はざっくばらんな人だから」
俺達が始めてきたときと同じように、姉弟子が、苦笑しながらミーラにそう言った。
「は、はぁ……」
ミーラは、なおも戸惑いがちな声を出すものの、
「うん、上級伯はいい人」
と、隣に腰掛けたエミも、口元を少し笑顔にしてそう言った。
「やぁ、君達、明けましておめでとう、いつもいつも待たせて済まないね」
「いえ、そんなことはありません。あ、明けましておめでとうございます」
うーん、この表現ってこっちでも使うのか?
いや、俺が日本語を話しているつもりで、この世界の言葉を喋っている、そう言う形っぽいんだけどな?
「それと、アルヴィン・バックエショフ準男爵、此度の授爵、おめでとう。私も推薦状を書いた甲斐があったというものだよ」
あ……いけね、その事忘れてた。
「すみません……上級伯に推薦状を書いていただいたのに……その」
「ん? なにか謝られなければならないことがあったかね?」
上級伯は、本当に何のことを言っているのかわからないと言った様子で、俺達の対面に腰掛けながら、そう聞き返してきた。
「いえ、ローチ伯爵家の寄騎になってしまって」
「なんだ、そんなことか」
俺がすこし、おずおずっと言うと、しかし、上級伯はフッと、不敵に笑い飛ばす様子で言った。
「今回のドラゴン退治の件は、元々ローチ伯家の、庶子とは言え家督相続権を持つ人間が参加していたわけだからね。むしろ、君がその判断をしてくれたおかげで、私もローチ伯家に面目が立つというものだ」
「あ…………」
上級伯の言葉に、俺とエミが、全く同時に、短く声を出してしまっていた。
確かにそうだ。これで俺がブリュサンメル上級伯の寄騎になって、しかもエミを序列夫人になんかしていた日にゃ、ローチ家の面目丸つぶれである。
力関係で言えば、当然ブリュサンメル上級伯爵の方がローチ伯爵より上なんだが、だからといって無視できるほどローチ伯家も小さい存在ではない。
法衣貴族ではなく、25万石からの領地持ちだしな。
「私としてはたしかに惜しい気持ちはあるが、バランス的には丁度いいだろう」
多少、俺の気を慮って、そう言ってくれたのかもしれないが……
「それと……ああ、話が途中だったもので、すまない。ようこそ、ブリュサムズへ。ミーラ・プリムス・セニールダー嬢」
「あ、いえ、はい、初めまして、よろしくお願いします」
上級伯が挨拶をすると、ミーラはまだ幾分緊張した面持ちで、そう言った。
「私自身は本祖派で本洗礼を受けているが、皇帝陛下の件もある。セニールダー主席宣教師とはうまくやっておきたい。だから、よろしくお願いする」
「あ、はい……よろしくお願いします」
おろっ?
「姉弟子、姉弟子」
「ん? なんだ?」
俺が囁くように問いかけると、姉弟子が聞き返してくる。
「陛下って、新教派なんですか?」
「あれっ? お前知らなかったのか」
うーん……知らなかった。
と言うか、実は、そろそろ俺の“原作知識”、怪しくなってくるのだ。
と言うのも、以前にも少し話したが、俺は『転生したら辺境貴族の末っ子でした』のコミカライズ版を、ユリアとルイズの姿が気に入って表紙買いしたのだが、その2人がメインヒロインの座から外れてしまったあたりから、真面目に読まなくなったのだ。
シーガート神官長の孫娘と婚約して、2巻先ぐらいまでは、新刊で買っていたのだが、そのあたりから、俺内クラスタで新刊待ちから古本値崩れ待ちに優先度が下がってしまっている。
おまけに、既にその原作ルートとはだいぶ違う。この先は、その“原作知識”というチートは、通用しなくなってきているのだ。
「あまり大きい声じゃ言えないがな、今の皇帝陛下は、庶子なんだよ」
「!」
そうだ、そうだった。それは覚えていた。
なるほど、本祖派と反りが合わない訳だ。そういうことか……
「さて……ここからが今日の本題なんだが」
俺と姉弟子の、あんまり潜んでないひそひそ話が終わった後、上級伯は、表情を引き締めて、そう言った。
「なんだよ」
「なんで俺らはこんな狭い部屋に、しかも同室なんだ?」
「そりゃ、ここが学生寮で、俺達はその学生寮の住人だからだ」
「なんで学生寮の住人なんだ?」
「そりゃ、俺達がこの冒険者養成学校の学生で、とても自宅から通っていられる環境じゃないからだ」
「もうひとついいか、アルヴィン?」
「何だよ」
「なんでここにはリリーさんがいないんだ?」
「そりゃ、姉弟子はすでにこの学校を卒業していて、別に仕事があるからだ」
うぜぇ……
昨日の夜から何度このやりとりをしたと思ってやがる。
そりゃま、帝都の我が屋敷と比べたら、環境的には雲泥の差かもよ?
でもなー。前世では辛うじて風呂場とトイレが独立してたワンルームが終の棲家だったり、転生して前世の記憶が蘇ってからもろくな住環境じゃなかった俺にとっては、むしろ落ち着くぐらいの環境なんだぜ?
ついでに味は多少大味とは言え、朝夕は労せずしてタダ飯が出てくるし……
あー、そうか、こいつには帝都屋敷でも大差ないんだったな。
俺以下、本人以外の全員が事実上の台所出禁を言い渡してるから。
しかも、見知った女の子、しかも1人は、“女の子(?)”だが、こいつにとっては婚約者候補、それが作ってくれるわけだしな。
今度から食費請求してやろうか。
とりあえず年越し休講は明後日までだ。
アイザックとセオ兄には、既に指示書と俺直筆のサインが入った身分証を渡して、領地に向かってもらった。
だが、俺達は流石に、そこまで往復している余裕はない。
クルマがあれば強行軍も不可能ではないが、生憎そんな便利なもんは存在していなかった。
でもって、やることもなく部屋でグダグダしてるもんだから、余計にこんなやり取りを繰り返すことになる。
エミに頼んで、剣の鍛錬でもつけてもらった方が有意義かな。
本職・魔導師は変えるつもりはないが、せっかくショートソードは買ったわけだし。
そんな事を考え始めていた時。
「おいアルヴィン、居るんだろ、入るぞ」
ん? あれ? 今姉弟子の声が聞こえたような?
「リリーさん!」
なんか、ジャックがすっげぇ嬉しそうな声で姉弟子の名前を呼んだ気がするぞー。
「ジャックもいたか。まぁ、同室だしな、やることもないだろうし、当然か」
なんだろう、苦笑しながらそんな事を言う姉弟子の姿が見えるなー
正月ボケで、寝ぼけてんのかな?
「おいアルヴィン、しっかりしろ、リリーさんが来てくれたぞ!」
「はっ!?」
なんか、急に回路がつながった!?
「ここはいつ? 私はどこ? 今は誰?」
「何を言ってるんだ」
思わず混乱してそんな事を口走った俺に、姉弟子のツッコミが入る。
「そんなことより、お館様、ブリュサンメル上級伯がお前達をお呼びだ。ついてきてくれ、……ああ」
姉弟子は、手振りを加えて俺達に同行するように言いながら、悪戯っぽく笑う。
「もちろん、女の子3人も一緒でな」
年明け早々ブリュサンメル上級伯の呼び出しかー。
なんかあんまり良い予感がしないなー
などと思いつつ。
俺達は、以前と同じように、上級伯の屋敷の応接室に通されていた。
おっと、ミーラは初めてだったな。
そのせいか、以前のときと違って気楽そうな雰囲気のジャックとキャロに対して、ミーラは少し緊張した様子だ。
エミは……いつもどおり、ニュートラルな表情でいるけど。
「そんなに緊張しなくても大丈夫だよ、うちのお館様はざっくばらんな人だから」
俺達が始めてきたときと同じように、姉弟子が、苦笑しながらミーラにそう言った。
「は、はぁ……」
ミーラは、なおも戸惑いがちな声を出すものの、
「うん、上級伯はいい人」
と、隣に腰掛けたエミも、口元を少し笑顔にしてそう言った。
「やぁ、君達、明けましておめでとう、いつもいつも待たせて済まないね」
「いえ、そんなことはありません。あ、明けましておめでとうございます」
うーん、この表現ってこっちでも使うのか?
いや、俺が日本語を話しているつもりで、この世界の言葉を喋っている、そう言う形っぽいんだけどな?
「それと、アルヴィン・バックエショフ準男爵、此度の授爵、おめでとう。私も推薦状を書いた甲斐があったというものだよ」
あ……いけね、その事忘れてた。
「すみません……上級伯に推薦状を書いていただいたのに……その」
「ん? なにか謝られなければならないことがあったかね?」
上級伯は、本当に何のことを言っているのかわからないと言った様子で、俺達の対面に腰掛けながら、そう聞き返してきた。
「いえ、ローチ伯爵家の寄騎になってしまって」
「なんだ、そんなことか」
俺がすこし、おずおずっと言うと、しかし、上級伯はフッと、不敵に笑い飛ばす様子で言った。
「今回のドラゴン退治の件は、元々ローチ伯家の、庶子とは言え家督相続権を持つ人間が参加していたわけだからね。むしろ、君がその判断をしてくれたおかげで、私もローチ伯家に面目が立つというものだ」
「あ…………」
上級伯の言葉に、俺とエミが、全く同時に、短く声を出してしまっていた。
確かにそうだ。これで俺がブリュサンメル上級伯の寄騎になって、しかもエミを序列夫人になんかしていた日にゃ、ローチ家の面目丸つぶれである。
力関係で言えば、当然ブリュサンメル上級伯爵の方がローチ伯爵より上なんだが、だからといって無視できるほどローチ伯家も小さい存在ではない。
法衣貴族ではなく、25万石からの領地持ちだしな。
「私としてはたしかに惜しい気持ちはあるが、バランス的には丁度いいだろう」
多少、俺の気を慮って、そう言ってくれたのかもしれないが……
「それと……ああ、話が途中だったもので、すまない。ようこそ、ブリュサムズへ。ミーラ・プリムス・セニールダー嬢」
「あ、いえ、はい、初めまして、よろしくお願いします」
上級伯が挨拶をすると、ミーラはまだ幾分緊張した面持ちで、そう言った。
「私自身は本祖派で本洗礼を受けているが、皇帝陛下の件もある。セニールダー主席宣教師とはうまくやっておきたい。だから、よろしくお願いする」
「あ、はい……よろしくお願いします」
おろっ?
「姉弟子、姉弟子」
「ん? なんだ?」
俺が囁くように問いかけると、姉弟子が聞き返してくる。
「陛下って、新教派なんですか?」
「あれっ? お前知らなかったのか」
うーん……知らなかった。
と言うか、実は、そろそろ俺の“原作知識”、怪しくなってくるのだ。
と言うのも、以前にも少し話したが、俺は『転生したら辺境貴族の末っ子でした』のコミカライズ版を、ユリアとルイズの姿が気に入って表紙買いしたのだが、その2人がメインヒロインの座から外れてしまったあたりから、真面目に読まなくなったのだ。
シーガート神官長の孫娘と婚約して、2巻先ぐらいまでは、新刊で買っていたのだが、そのあたりから、俺内クラスタで新刊待ちから古本値崩れ待ちに優先度が下がってしまっている。
おまけに、既にその原作ルートとはだいぶ違う。この先は、その“原作知識”というチートは、通用しなくなってきているのだ。
「あまり大きい声じゃ言えないがな、今の皇帝陛下は、庶子なんだよ」
「!」
そうだ、そうだった。それは覚えていた。
なるほど、本祖派と反りが合わない訳だ。そういうことか……
「さて……ここからが今日の本題なんだが」
俺と姉弟子の、あんまり潜んでないひそひそ話が終わった後、上級伯は、表情を引き締めて、そう言った。
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