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竜司と子猫の長い一日
僕が竜司さんに驚かされて「おはよう」を噛んだ件
しおりを挟む冷蔵庫の中にはそれなりに食材が入ってた。
竜司さんって、自炊してるんだろうか。
何が良いかな。
竜司さんは嫌いなものないかな。
……余計なことするな、って怒らないかな。
……勝手に冷蔵庫を漁って、って怒られないかな。
……お前が作ったものなんて食べられない、って怒られないかな。
卵を持った手が震えてた。
口の中に唾液が溜まっていって、ゴクリとそれを飲み下す。
少し落ち着こう……と思って、手に持っていた卵を冷蔵庫に戻した。
そういえばスマホは……って居間に戻る。
テーブルの上に放置していたスマホを開くと、何十件も通知が来てた。
全部、着信拒否した番号から。登録を消したから名前は表示されないけど、多分、全部樋山君からだと思う。
僕から連絡を入れることもないし、連絡をもらう理由もない。僕じゃない人を抱いた、浮気したっていう事実だけがあるだけ。
樋山君との関係は、精算書を突きつけた時点で終わったんだから。僕の中にもうなんの感情も残ってない。
悔しいとか、切ないとか、寂しいとか。
いつもならもう少し引きずるだろう感情は、今回は本当に綺麗さっぱりなくなってた。
……多分、竜司さんのおかげ。
竜司さんがいたから、こんなにあっさり受け止められたんだ。
「……りゅうじさん」
まだ寝てる人。
大事そうに、僕を抱きしめて寝てた人。
そんな人が、料理をした僕を怒るかな。
余計なことするな、って怒るかな。
……きっと、大丈夫。
スマホをまたテーブルの上に置いて、僕はキッチンに戻った。
大丈夫。
竜司さんは大丈夫。
……でも、少し怖いから、簡単なものだけ。
少しサラダと、スープと、トーストしたパン。それから、ウインナーと、目玉焼き。
それくらいなら、きっと、大丈夫。
食器棚から適当なお皿とかを出す。
目玉焼きは、竜司さんが起きてきてから。もし、オムレツのほうがよければ、オムレツに。
レタスをちぎって、トマトを添えて。
鍋で、ベーコンと、スライスした玉ねぎを炒めて、水を入れて、煮込んでコンソメを入れて――――
「朝食?」
喜んでくれるかな…とか思いながら準備してたから、ドアが開く音も足音も、全然聞こえてなかった。
だから、後ろから抱きつかれて耳元でそう言われて、叫びそうになったくらいに驚いた。
「りゅ、じさん」
「おはよう、のぞみ」
バックンバックンと、心臓がうるさい。
「お、おはよ、ござぃましゅ」
「しゅ、って」
うろたえすぎて、ベタなことした。
でも竜司さんは楽しそうに笑ってくれる。
「可愛すぎだ、のぞみ」
「んっ」
ちうぅって首の後ろを吸われた。
僕を捉えてた手が、僕の太ももをするすると撫でてきた。
ぐいって押し付けられた股間はまだ硬くなってて、僕のお尻の間に入ろうとしてくる。
「あ、あ」
「……まだ柔らかいな。挿れていい?のぞみ」
ぐにっと、指がお尻の中に入ってきた。
全然、痛くない。
「あ、や、だめ……っ、あさ、ごはん……っ」
「もっと遅くなってもいい。……朝のキッチンで料理してるところを後ろから襲うとか……、蜜月中の新婚みたいだな」
「ひん……っ」
楽しげな声と一緒に、竜司さんのリュウジさんがずりゅ…って入ってきた。
蜜月、新婚……って言葉が僕の中を通り過ぎて、顔が真っ赤になる。なんでそれを嬉しそうに言うの。
「でものぞみの朝食は食べたいから、一回だけな」
「あぅ……んっ、あ、あ………んん」
ずちゅ、ずちゅ
濡れてるのはなんで。
シンクに手を付きながら、竜司さんの手に胸をいじられる。
……気持ちいい。
「イっちゃぅ……っ」
「ああ。気持ちいいな」
「ん、んぅぅ」
腰の動きが激しくなった。
結腸までえぐられてるわけじゃない。昨日のセックスを思ったら、かなりソフト。……けど、すごく、気持ちがいい。
気持ちよさと同時に、僕を満たすのは幸福感。
「のぞみ…っ」
片手が弾けそうな僕のそこを握った。片手は寝巻きをまくって背中をあらわにする。
「ひゃ……ぁっ、あっ、あんんんんっ」
「っ」
勢いよく抜かれて、直後に背中に熱いものがかけられた。
僕もイった。けど、出せてない。
竜司さんは手早く僕の背中をタオルか何かで拭くと、僕の体を反転させてそこに膝をついた。
それから、イったけど出せてない僕のものから手を離して、なんの躊躇もなく口の中に入れてきた。
「やぁぁっ」
くちゅくちゅと音を立てながら、熱い口内で扱かれる。
そんなことされたら、我慢できるはずもなくて。
「イくぅ……っ」
「ん」
ビクン、ビクン、って震えた。
昨日たくさん出したから、多分そんなに溜まってないはずなのに、竜司さんの喉がコク、コク、って鳴った。
「ごちそうさま」
口を離して、うなだれた僕のそこにチュってキスをして、竜司さんは清々しい顔でそう言った。
「ばかぁ……っ」
僕は恥ずかしくて恥ずかしくて仕方ないのに。
「のぞみ、キスは?」
って、立ち上がった竜司さんが僕の顎を捕まえてきた。
「くち、ゆすいでから!」
僕がそう言ったら、竜司さんは楽しそうに笑って、僕の頬にキスをした。
「朝食頼むな。目玉焼きが良い」
そう言い残して、洗面所の方に行った。
僕は冷たい水をコップいっぱい分一気飲みして、赤くなった顔に、手を当てた。
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