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竜司と子猫の長い一日
竜司は子猫を朝から愛でる
しおりを挟む子猫が可愛すぎて身がもたないのだが、どうしたら良いだろうか。
腕の中でもぞりと動いた気配がして意識が浮上した。
目を覚ましたらしい子猫は、この状況に酷く警戒してるらしい。けれど無理やり抜け出すようなことはなく、色々と思案している様子。
しばらくそうしていたが、子猫は俺の腕を外しにかかった。
逆に抱き込んでやろうかとも思ったが、行動が可愛すぎてこのままにした。
俺の腕から逃れた子猫は、何を思ったのかクッションを腕の下においた。……もしかして子猫のかわりか?なんなんだ、この子猫。やはりやることすべてが可愛らしくて仕方ない。
そろりとベッドを降りた子猫。
後ろ姿をちらりと見ると、可愛らしい尻が寝間着の裾から見えていた。
「はぁ……可愛すぎるだろ」
子猫が完全に寝室から出て行ったのを確認してから起き上がった。
もう少し子猫を抱きながら眠りたかった。
子猫がこのまま家からいなくなるとは思っていなかったが、何をしてるのか不安になりドアを僅かに開けて様子を見た。
子猫はリビングでスマホを手にしていた。どこか表情が硬い。……そうかと思えば、何やら吹っ切れたような顔になり、笑顔すら浮かべてキッチンの方に行く。
嬉しくなるような連絡でも入っていたんだろうか。
まさか、別れた元カレがよりを戻そうとかなんとか言ってきたんだろうか。それで喜んだ?
……そんなの、許せるわけがない。
子猫はもう俺のものだ。
少しだけ、気を落ち着かせてから音を立てないように寝室を出た。
子猫は機嫌良さそうにキッチンにいた。鼻歌まで聞こえてくる。
朝食を作って、それで終わりだろうか。元カレなところに戻るんだろうか。
そんなことをするくらいなら今すぐ拘束してベッドに繋ごう。
そっと近づき、後ろから子猫を抱きしめた。
「朝食?」
喉元で「ひっ」と引きつった声がした。
鍋の中はスープらしい。いい匂いがしている。
「りゅ、じさん」
俺を振り返った子猫の瞳に、おや、と思う。
どうにもこれから元カレのところに戻ろうと思ってるようには見えなかった。
「おはよう、のぞみ」
しっかりと、目を見て言えば、子猫の瞳がとろけた。
……どうやら、俺の勘違いだったようだ。
「お、おはよ、ござぃましゅ」
真っ赤になりながら、うろうろと目を泳がせて、それでも口を開いたら、幼児のような語尾。
「しゅ、って」
笑ったら機嫌が悪くなりそうだが、笑わずにいられない。
可愛い。可愛過ぎる。可愛くて仕方ない。
「可愛すぎだ、のぞみ」
「んっ」
思わずうなじに吸い付いた。
唇を離すとくっきりと痕が残っていた。……怒られるか?大丈夫か?バレなければ平気か?
そんなことを考えつつ、剥き出しの太腿を探った。
閉じた蕾に指を這わせると、何かを期待するようにぱくりと口が開く。
「あ、あ」
「……まだ柔らかいな。挿れていい?のぞみ」
素早く指に唾液をまとわせ、口を開いた蕾に押し込めた。その先は熱く解れた内腔で、ほしいと言わんばかりに襞が指に絡みついてくる。
「あ、や、だめ……っ、あさ、ごはん……っ」
「もっと遅くなってもいい。……朝のキッチンで料理してるところを後ろから襲うとか……、蜜月中の新婚みたいだな」
「ひん……っ」
俺の思考も大概だが、子猫もそれを喜んだように思う。
キュゥっと締め付けてくる内腔から指を引き抜き、先走りで濡れた己のペニスを侵入させる。
俺のために料理をしてる恋人に、不埒な悪戯を仕掛ける……なんて、ありがちな場面だ。
それに、こんな、襲ってくださいと言ってるような格好も悪い。……まあ、これは子猫がすすんでしている格好ではないけれど。とりあえずなんでも良い。子猫がエロ可愛い、それだけだ。
「でものぞみの朝食は食べたいから、一回だけな」
「あぅ……んっ、あ、あ………んん」
恋人にしたい。
囲いたい。
もういっそ、さっさと籍を入れてしまいたい。
こうやって気ばかり急くのは仕方ないんだろうか。子猫が俺を選ばなかったら…と不安に思ってしまうんだろうか。
「イっちゃぅ……っ」
「ああ。気持ちいいな」
「ん、んぅぅ」
少なくとも、子猫は俺とのセックスを嫌っていない。こうやって朝から襲っても受け入れてくれる程度には受け入れてくれている、と、思う。
子猫が作ってくれた朝食を食べて、子猫と風呂に入って、子猫と買い物に出なければ。
それを考えれば、今こんなときに腰を振ってる場合じゃない。けれど、止まれない。
子猫の喘ぎが耳を喜ばせる。
幸せすぎる。
やはり子猫は俺のものにしなければならない。
「のぞみ…っ」
熱が爆ぜるとき、健気に勃起した子猫のペニスを手の中に握り込み、寝間着の背中側をめくり上げた。一気にペニスを抜き、あらわになった白い肌にむかって吐精する。
昨夜あれほど出したとは思えないほどな量の精液が、子猫の背を濡らした。
喘ぎ声を漏らしながらビクビク震える子猫。
汚れた背中を手ぬぐいで拭い、子猫の体を反転させる。
その場で膝を付き、手でせき止めていた子猫のペニスを口に咥えた。
「やぁぁっ」
完全な勃起はしていないが、じわっと先走りが広がり、いくらもしないうちに子猫の熱も爆ぜた。
少量で薄いものをゆっくりと飲み込む。
……そういえば、子猫のものを飲むのは初めてだったな。
「ごちそうさま」
口を離し子猫を見上げると、真っ赤になりながらうるんだ瞳で俺を見ていた。
その顔にまた股間がズクリと熱を持ったが、これ以上は駄目だ。
「ばかぁ……っ」
その声も可愛い。
立ち上がり、子猫の顎に指を添えた。
「のぞみ、キスは?」
悪戯にそう聞くと、子猫は真っ赤な顔のままむっと口を引き結び、
「くち、ゆすいでから!」
と、叫んだ。
ああ、可愛いな。
これ以上のからかいは駄目……と自制しつつ、子猫の頬にキスをする。
キッチンの台に置かれた卵。
「朝食頼むな。目玉焼きが良い」
そうお願いをして、脱衣所に向かった。
言われた通り口を濯ぎ、浴室で軽く抜く。
更にトイレに向かい、中に置いてある道具をあらかた片付け用を足し。
キッチンに戻る頃にはテーブルにしっかりと朝食が用意されていた。
「ごはん……たべる?」
ああ……うん。
食べる。
食べるよ。
そりゃ。
子猫が用意してくれた朝食を食べないなんて選択肢はない。
けどなぁ。
そんな寝巻きの裾を限界まで引き伸ばしながら、真っ赤な顔でもじもじして、そんな「たべる?」ってきかれたら、なぁ?
朝食より何より子猫を食べたくなるのは、仕方ないことだよな……?
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