その召喚獣、ツッパリにつき

きっせつ

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ラヨネ

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子供。それは未知の生物。
急に泣き出したと思ったら何時の間にかに笑ってて。笑ってたかと思うと何時の間にかに大泣きしてる。


「聞いてくださいよー。さっき買いもん行ってる途中、アニキ見て子供が泣いてたんすよ。ちょっと道を歩いただけで子供に恐れ慄かれるなんてめっちゃカッコいいっす。尊敬っす!! 」

まるで武勇伝のように他の舎弟達に先程起きた出来事をテツが目をキラキラさせて語っているのを俺は買った炭酸ジュースを飲みながら苦い表情で聞いていた。

テツの阿呆が。
それは武勇伝でもなんでもねぇ。


それが起きたのは炭酸ジュースを買いにスーパーに向かっていた矢先。
たまたま転がってきたサッカーボールを持ち主の子供に返してやろうとして近付いたら盛大に泣かれた。

俺の顔見て、それはもうギャン泣き。
果たして俺の顔は見るだけでそんなに怖いのか。
それとも雰囲気の問題か。
引き攣りながら無理矢理作った笑顔が悪かったのか。

どれなんだろうな…。全部か?
正直、子供に泣かれんのは心に突き刺さるもんがある。

クイッと口角を人差し指であげて笑顔を作ってみる。
しかし窓に映った笑顔はやはり引き攣っていて俺が見ても怖い。…こりゃあ、泣くはな。

ー 一生、子供に好かれる事はねぇだろうな…。

舎弟達とワイワイ菓子を摘む夕暮れの校舎で、そんな事をあの日の俺は思っていた。
思っていたのだが……。




「コタ。コータ。」

ふわふわと柔らかいものが頰を撫でる。
その頰を撫でるものを掴み、抱きしめるとふかふかでツヤツヤして肌触りが良く、幸せでスリッと頬擦りをする。すると「くすぐったい。」と笑い声が聞こえた。

「そんなに僕の尻尾好き? 」

「ん…。」

「ふふっ。僕もサラサラで触り心地が良くてコタの髪、大好きだよ。」

小さな手が髪を梳くように優しく撫でる。
それもまた気持ち良くて重い瞼が更に重くなる。眠い…。とても眠い。

「コタは起きてる時はカッコイイのに寝てる時はカワイイね。」

男に可愛いは止めろ。
むにゃむにゃと呂律の回らない舌で反論する。相手は「うん。ごめんね。」と反省しつつも小声で「本当にカワイイ。」と興奮気味に繰り返してる。…いや、お前は反省していないだろ。

だが、反論する気になれないくらい気持ちいい。
ずっとこうして寝ていたいくらい幸せなツヤフカな尻尾。


「コタくん…。僕は、僕は失望したよッ。」

ガチャンッと扉が開く音が突如、微睡の世界を壊し、スッゲェ面倒くさくて癪に触る声が頭にギャンギャンと響く。

「浮気者っ。新しい男をまた連れて来てっ。しかも…、しかもそんな若い男ッ……。」

酷いッと、何が酷いのか全く分からないが泣き真似をする変態。朝なんだからもう少し静かに出来ないのか。毎度毎度コイツは朝から元気で煩い。

「煩いな。コタが気持ち良く眠ってるんだから静かにしたら? ……ああ。ごめんね。貴方は喋り続けないと死んじゃう阿呆なんだね。」

「な、なんて恐ろしく口の悪いリスっ子。…コタくんッ。コタくんッ!! 聞いた!? これがこのリスっ子の本しょ…。」

「んん…。煩…せぇ…。眠らせろ。」

「いや、朝なんだって。そのリスっ子は一応君を起こしに来たんだよ。…何故だか一緒に寝てるけどねっ!! 」

ついにはお玉でフライパンを叩き始めた変態。
流石に寝ぼけていた頭が起き、のそりと起きあがると山吹色の大きな瞳がまだ眠そうな俺の姿を映していた。

タシタシと楽しそうに尻尾を上下に振り、スリスリと俺の頬に自身の頬を擦り合わせ甘えてくる。

「おはよう。コタ。」

「お…、はよう。」

苦笑を浮かべてリスの半獣人の少年ラヨネから少し距離を取り、ベッドから降りる。ベッドから俺が降りるとぴょこんっと飛び降り、ラヨネという幼い少年はニコニコと笑顔を浮かべて、すかさず俺の横にピッタリついてくる。

……人生、本当に何があるか分からないもんだ。
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