若き海運王は初恋の花を甘く切なく手折りたい

ささゆき細雪

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chapter,5 Australia

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 プライベートプールでカナトに淫らな行為をされながら十五年前の記憶を思い出すことに成功したマツリカは、プールからあがった後も彼の手と口で愛撫を繰り返されていた。

「あ……ンっ、シーツ、濡れちゃ」
「あとで取り替えればいい。それよりももっと俺は人魚姫を愛したい」

 半裸の状態でベッドに寝かされ、彼の舌で全身の滴を舐めとられているマツリカは、彼にされるがまま甘い声で啼きつづける。首筋、脇の下、下乳、へその窪み……執拗に上半身を舐められて、マツリカの水着でたわんだ下半身はひくひくと陸に打ち上げられた魚のように跳ねていた。中途半端に脱がされた水着を人魚姫の尾鰭に見立てたのだろう、カナトは水着を脱がすことなく胸元ばかりを攻め立てる。

「カナトぉ……」
「いやらしい顔して、可愛い。このまま船から降りないでずっと部屋でいじめたいくらいだ」
「ダメだって……ひぅ」

 尖端を噛みつかれて甘い悲鳴をあげるマツリカを見つめながら、カナトは愛撫を重ねていく。彼の指先で乳房を捏ねられながらキスを繰り返されて、快感で思考が麻痺していく。けれど、もっと気持ちよくなりたいと疼く下半身にはもどかしい尾鰭のような水着が絡まったまま。彼が彼女を解放するつもりはないらしい。

「じゃあ、結婚しよ……?」
「むり。だってカナトは……ぁん!」
「あのときのマツリカは素直に頷いてくれたのに。どうして俺を拒もうとするのかな?」
「だ、って」

 カナトの求婚には応えられないと、記憶を取り戻したマツリカはプールで口にした。
 それでも彼はマツリカを手放そうとしない。人魚姫は王子さまとの恋を叶えることなく泡になって消えてしまう運命なのに。

「俺は、ずっと貴女を探していたんだ。十五年前に求婚したときから。おとなになったら必ず貴女を花嫁にすると」

 塩辛いキスに襲われながら腫れぼったくなった乳首を弄られ、マツリカのあたまのなかに星が舞う。カナトの初恋の相手は自分だった。それなのになぜ自分は頑なに彼との結婚を拒もうとしているのだろう。こんなにも身体は彼の手に馴染まされてしまったというのに。
 死んだ父親のことがなければ、素直に頷けただろう。十五年前の夏のように無邪気に。けれど、いまのマツリカは心の一部を凍らせたままでいる。その氷が溶けない限り、マツリカはカナトと一緒になれないと理解している。父親を裏切るような真似はできないという思い込みから、マツリカはカナトの求婚を退けようと必死になっていた。

「――ごめん、なさい」
「あやまらないで。俺にこんなふうにいやらしいことされているのに、たくさんキスされてるのに、イヤじゃないんだろう? それなのに、どうして結婚は無理だと考えているの? マイルがいるから?」
「マイくんは関係ないよ……っ」

 彼にきつく抱きしめられて、ふたつの膨らみがカナトの胸板に擦れる。マツリカがはぁ、と艶やかな息をつく。クルーズを通して彼の手で女としての悦びを与えられつづけてきた彼女は気づかなかった。そのちょっとしたしぐさひとつひとつにカナトが欲情していることに。

「なら、その尾鰭も必要ないね」
「あ……」

 彼の手が腰にまわり、たわんでいた水着をしゅるりと脱がせていく。水気を帯びた水着を床に投げ捨てられ、マツリカはベッドのうえで一糸まとわぬ姿にされてしまう。プールの水で濡れたままの足元に舌を這わせ、カナトはうっとりした表情で彼女の足を撫で上げていく。

「ああ、こんなにびしょびしょにして。プールの水だけじゃないよね」
「言わない、でぇ」
「とろとろで甘くてしょっぱい……マツリカが俺に感じてくれた証だ」
「あぁぁん!」
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