56 / 77
chapter,5 Australia
+ 6 +
しおりを挟むプライベートプールでカナトに淫らな行為をされながら十五年前の記憶を思い出すことに成功したマツリカは、プールからあがった後も彼の手と口で愛撫を繰り返されていた。
「あ……ンっ、シーツ、濡れちゃ」
「あとで取り替えればいい。それよりももっと俺は人魚姫を愛したい」
半裸の状態でベッドに寝かされ、彼の舌で全身の滴を舐めとられているマツリカは、彼にされるがまま甘い声で啼きつづける。首筋、脇の下、下乳、へその窪み……執拗に上半身を舐められて、マツリカの水着でたわんだ下半身はひくひくと陸に打ち上げられた魚のように跳ねていた。中途半端に脱がされた水着を人魚姫の尾鰭に見立てたのだろう、カナトは水着を脱がすことなく胸元ばかりを攻め立てる。
「カナトぉ……」
「いやらしい顔して、可愛い。このまま船から降りないでずっと部屋でいじめたいくらいだ」
「ダメだって……ひぅ」
尖端を噛みつかれて甘い悲鳴をあげるマツリカを見つめながら、カナトは愛撫を重ねていく。彼の指先で乳房を捏ねられながらキスを繰り返されて、快感で思考が麻痺していく。けれど、もっと気持ちよくなりたいと疼く下半身にはもどかしい尾鰭のような水着が絡まったまま。彼が彼女を解放するつもりはないらしい。
「じゃあ、結婚しよ……?」
「むり。だってカナトは……ぁん!」
「あのときのマツリカは素直に頷いてくれたのに。どうして俺を拒もうとするのかな?」
「だ、って」
カナトの求婚には応えられないと、記憶を取り戻したマツリカはプールで口にした。
それでも彼はマツリカを手放そうとしない。人魚姫は王子さまとの恋を叶えることなく泡になって消えてしまう運命なのに。
「俺は、ずっと貴女を探していたんだ。十五年前に求婚したときから。おとなになったら必ず貴女を花嫁にすると」
塩辛いキスに襲われながら腫れぼったくなった乳首を弄られ、マツリカのあたまのなかに星が舞う。カナトの初恋の相手は自分だった。それなのになぜ自分は頑なに彼との結婚を拒もうとしているのだろう。こんなにも身体は彼の手に馴染まされてしまったというのに。
死んだ父親のことがなければ、素直に頷けただろう。十五年前の夏のように無邪気に。けれど、いまのマツリカは心の一部を凍らせたままでいる。その氷が溶けない限り、マツリカはカナトと一緒になれないと理解している。父親を裏切るような真似はできないという思い込みから、マツリカはカナトの求婚を退けようと必死になっていた。
「――ごめん、なさい」
「あやまらないで。俺にこんなふうにいやらしいことされているのに、たくさんキスされてるのに、イヤじゃないんだろう? それなのに、どうして結婚は無理だと考えているの? マイルがいるから?」
「マイくんは関係ないよ……っ」
彼にきつく抱きしめられて、ふたつの膨らみがカナトの胸板に擦れる。マツリカがはぁ、と艶やかな息をつく。クルーズを通して彼の手で女としての悦びを与えられつづけてきた彼女は気づかなかった。そのちょっとしたしぐさひとつひとつにカナトが欲情していることに。
「なら、その尾鰭も必要ないね」
「あ……」
彼の手が腰にまわり、たわんでいた水着をしゅるりと脱がせていく。水気を帯びた水着を床に投げ捨てられ、マツリカはベッドのうえで一糸まとわぬ姿にされてしまう。プールの水で濡れたままの足元に舌を這わせ、カナトはうっとりした表情で彼女の足を撫で上げていく。
「ああ、こんなにびしょびしょにして。プールの水だけじゃないよね」
「言わない、でぇ」
「とろとろで甘くてしょっぱい……マツリカが俺に感じてくれた証だ」
「あぁぁん!」
0
あなたにおすすめの小説
結婚直後にとある理由で離婚を申し出ましたが、 別れてくれないどころか次期社長の同期に執着されて愛されています
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
「結婚したらこっちのもんだ。
絶対に離婚届に判なんて押さないからな」
既婚マウントにキレて勢いで同期の紘希と結婚した純華。
まあ、悪い人ではないし、などと脳天気にかまえていたが。
紘希が我が社の御曹司だと知って、事態は一転!
純華の誰にも言えない事情で、紘希は絶対に結婚してはいけない相手だった。
離婚を申し出るが、紘希は取り合ってくれない。
それどころか紘希に溺愛され、惹かれていく。
このままでは紘希の弱点になる。
わかっているけれど……。
瑞木純華
みずきすみか
28
イベントデザイン部係長
姉御肌で面倒見がいいのが、長所であり弱点
おかげで、いつも多数の仕事を抱えがち
後輩女子からは慕われるが、男性とは縁がない
恋に関しては夢見がち
×
矢崎紘希
やざきひろき
28
営業部課長
一般社員に擬態してるが、会長は母方の祖父で次期社長
サバサバした爽やかくん
実体は押しが強くて粘着質
秘密を抱えたまま、あなたを好きになっていいですか……?
契約書は婚姻届
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
「契約続行はお嬢さんと私の結婚が、条件です」
突然、降って湧いた結婚の話。
しかも、父親の工場と引き替えに。
「この条件がのめない場合は当初の予定通り、契約は打ち切りということで」
突きつけられる契約書という名の婚姻届。
父親の工場を救えるのは自分ひとり。
「わかりました。
あなたと結婚します」
はじまった契約結婚生活があまー……いはずがない!?
若園朋香、26歳
ごくごく普通の、町工場の社長の娘
×
押部尚一郎、36歳
日本屈指の医療グループ、オシベの御曹司
さらに
自分もグループ会社のひとつの社長
さらに
ドイツ人ハーフの金髪碧眼銀縁眼鏡
そして
極度の溺愛体質??
******
表紙は瀬木尚史@相沢蒼依さん(Twitter@tonaoto4)から。
Emerald
藍沢咲良
恋愛
教師という仕事に嫌気が差した結城美咲(ゆうき みさき)は、叔母の住む自然豊かな郊外で時々アルバイトをして生活していた。
叔母の勧めで再び教員業に戻ってみようと人材バンクに登録すると、すぐに話が来る。
自分にとっては完全に新しい場所。
しかし仕事は一度投げ出した教員業。嫌だと言っても他に出来る仕事は無い。
仕方無しに仕事復帰をする美咲。仕事帰りにカフェに寄るとそこには…。
〜main cast〜
結城美咲(Yuki Misaki)
黒瀬 悠(Kurose Haruka)
※作中の地名、団体名は架空のものです。
※この作品はエブリスタ、小説家になろうでも連載されています。
※素敵な表紙をポリン先生に描いて頂きました。
ポリン先生の作品はこちら↓
https://manga.line.me/indies/product/detail?id=8911
https://www.comico.jp/challenge/comic/33031
嘘つき同士は真実の恋をする。
濘-NEI-
恋愛
都内郊外のリゾートホテルでソムリエとして働く瑞穂はワイン以上にゲームが大好き。
中でもオンラインゲーム〈グラズヘイム〉が大好きで、ロッソの名前でログインし、オフの時間と給料の全てを注ぎ込むほどのヘビーユーザー。
ある日ゲーム仲間とのオンライン飲み会で、親から結婚を急かされている話を愚痴ったところ、ギルマスのタラントの友人で、ゲームの中でもハイランカーのエルバに恋人役を頼めば良いと話が盛り上がり、話は急展開。
そしてエルバと直接会うことになった瑞穂だったが、エルバの意外な正体を知ることに⁉︎
Rシーンは※
ヒーロー視点は◇をつけてあります。
★この作品はエブリスタさんでも公開しています
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
あなたと恋に落ちるまで~御曹司は、一途に私に恋をする~
けいこ
恋愛
カフェも併設されたオシャレなパン屋で働く私は、大好きなパンに囲まれて幸せな日々を送っていた。
ただ…
トラウマを抱え、恋愛が上手く出来ない私。
誰かを好きになりたいのに傷つくのが怖いって言う恋愛こじらせ女子。
いや…もう女子と言える年齢ではない。
キラキラドキドキした恋愛はしたい…
結婚もしなきゃいけないと…思ってはいる25歳。
最近、パン屋に来てくれるようになったスーツ姿のイケメン過ぎる男性。
彼が百貨店などを幅広く経営する榊グループの社長で御曹司とわかり、店のみんなが騒ぎ出して…
そんな人が、
『「杏」のパンを、時々会社に配達してもらいたい』
だなんて、私を指名してくれて…
そして…
スーパーで買ったイチゴを落としてしまったバカな私を、必死に走って追いかけ、届けてくれた20歳の可愛い系イケメン君には、
『今度、一緒にテーマパーク行って下さい。この…メロンパンと塩パンとカフェオレのお礼したいから』
って、誘われた…
いったい私に何が起こっているの?
パン屋に出入りする同年齢の爽やかイケメン、パン屋の明るい美人店長、バイトの可愛い女の子…
たくさんの個性溢れる人々に関わる中で、私の平凡過ぎる毎日が変わっていくのがわかる。
誰かを思いっきり好きになって…
甘えてみても…いいですか?
※after story別作品で公開中(同じタイトル)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる