拳闘哀歌

人生真っ逆さま

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その名はビクター・タイソン

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イングルジムに、車で、俺は、タケシとダマトのおっさんを連れ添い向かった。

「凄いなぁ、異世界でも車があるなんて、こっちの世界と変わらないじゃないか」

「そうなのか?異世界か…」

「まあ、燃料が違うみたいだけど、マナだっけ、俺の世界じゃ、無いエネルギーだからさ」

タケシが車を動かしていく、動かし方は、元の世界と変わらないようで、エンジンをかけ軽快に飛ばす。

「おい、おい、スピード違反はごめんだぜ、安全運転でな」

「分かってますって…よっと」

タケシは運転が上手く車酔いもなく、イングルジムまで運転をそつもなくこなして、イングルジムに着いた

「来たな、スカーフェイス、来てもらって早速だが、こいつとやってもらう」

ネルソンの隣りにいる奴は、目が鋭く他者を寄せ付けない雰囲気を醸し出していた。

「あんたとやるんだと思い、赴いたんだが……」

ネルソンは一笑する。

「そりゃ、無理だよ、コイツとやるための口実さ、この間のは特別だったわけで、現時点でAクラス目前じゃ相手にならね、せめて、世界ランキングを勝ち取りな、話はそれからだ」

「まあ、いいさ、そいつとやるってのも、誰なんだい」

「こいつは、ビクター・タイソン、お前と同じくAクラス目前でな、とやらせて度胸をつけさせようとした、魂胆よ、こちらとしてはな」

「へぇ…やっちゃうよ、俺、ダマトのおっさん、タケシ、ちょっとやってくるよ」

「ちょっと、待ってくださいよ、スカーフェイス、君は試合から先日、試合やったばかりだろ、まだ休息が…ムググ」

それ以上は、俺は口を抑えて言わせなかった。
試合のダメージはハナから承知の上よ。
俺は、ネルソンもそうだが、このビクター・タイソンってのも気にいらねー。
 リングシューズにグローブはめて、あとはゴングがなったら開始だ。
ゴングが鳴ると大抵、意気揚々するもんだと思うんだけど…なんだ、コイツ…踏み込まさねぇ…俺の感が言ってる、コイツは強い。
サウスポーの構えから、コンビネーションの嵐が飛んでくる。

「がはぁ!」

「おやおや、スカーフェイス、早くもダウンですか?」

「うるせえ、テメェは自分の所を心配しとけ」

まずい、こいつ…あのネルソンに匹敵するんじゃねぇか…だとしても臆することなど、出来ねぇ、攻めなくては!!
サウスポー相手には、右ボディを牽制に使う。
あと左回りで、ステップを踏み、何とか状況を打破してみせてやる。
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