【完結】潔く私を忘れてください旦那様

なか

文字の大きさ
上 下
6 / 21

6

しおりを挟む
「小さな客室ですわね、まぁ子爵家ならこの程度かしら?」

「申し訳ありません、カミラ様を招く予定はありませんでしたので、手狭になっているかもしれませんね」

「それはどういった意味ですか?」

「他意はありません、どうぞお座りください」

挟んだ皮肉に、少しだけ反応したカミラ様をあしらいながら座ってもらう。
侍女が運んでくれた紅茶の香りが鼻を通り、私の気持ちを落ち着かせてくれる。

さて、この方達をどうしようか…

「それで、アメリアさん?貴方のお返事を聞かせてくれないかしら?ベンジャミンが病んでしまったのは、貴方のせいでもあるのです、責任を取って復縁しなさい」

「責任をとる必要なんてあるとは微塵も思えないため、お断りします」

「な!?貴方ね!?」

「鬱憤を吐き出す前に、こちらのご質問に答えてくださいますか?なぜ今になって復縁を望むのですか?」

単純に疑問だった、ベンジャミンが望んで離縁した

今更、真実の愛など、魅力がどうだの言っていたが、私は別の理由もあるのではと思っている。
その意味を聞きたくて、ベンジャミンを見ながら尋ねたのだけど
答えたのは、相変わらずカミラ様であった。

「ベンジャミンが言っていたでしょう!!貴方を愛していると!淑女であるのなら、それに答えなさい!」

「カミラ様、愛のない相手に無理に添い遂げる事が淑女であるのなら、私は淑女である必要を感じません」

「貴方ね!?生意気よ?公爵家の私達が言っているの!」

「まずはその傲慢な考えを改めてください、結婚に関して爵位の上下で無理強いする事が公爵家の総意なのですか?」

「な!?別に無理強いなんて…」

「ご自身の言動を一言一句、思い出してくだされば貴方の言っている事は命令に近いことだと分かると思いますが?色恋で思い通りにいかないから病んでしまい責任を取れなど不条理ではありませんか?」

「っ!………………」

無言になる癖まで一緒だったなんて、思わず頬を緩ませてしまいそうになった口元をきつく締める、今……笑みを見せるわけにはいかない、断固として復縁を受け入れる気はないと、目の前の公爵家の2人に理解して頂かないと………

そう思っていた私に向かって、カミラ様はまだ諦めないのか、身を乗り出すようにし、私へと口を開いた

「同じ女性として言いたくはなかったけど、貴方の態度があまりにも悪いので言わせてもらうわ」

「…なんでしょうか?カミラ様」

「私達、公爵家が子供も産めずに今後1人きりになってしまうであろう、哀れな貴方を迎え入れると言っているのよ?子を産めない時点で他の貴族達が名乗り上げる可能性はないの………天涯孤独の運命を私達が救ってあげると言っているのよ!」

「っ!」

自分では立ち直れた気でいたけど、こうして面と向かって言われてしまうと思わず動揺を表情に浮かべてしまう、その一瞬の私の怯みを目の前のカミラ様は見逃さずに攻めたてる。

「今の貴方に魅力を感じる貴族達はいませんわ!そんな惨めに生きるしかない貴方を心配して私達が引き取ると言っているの、感謝こそされ、拒否されるいわれはありませんわ!」

瞳を閉じて、ゆっくりと深呼吸をする。
言われた言葉を受け入れて、自分の中で答えを探す、動揺する必要なんてない

引きこもって、心を閉ざしている間にカミラ様に言われた事は何度も浮かんだ、そして私はその答えを見つけたんだ、一瞬の動揺を見せてしまったけど、もう大丈夫…
瞳を開けて、私の考えを伝える。

「確かに私は子を産めません…」

「ええ、その通りよ?だからこそ復縁を…………」

「話を最後まで聞いてください、確かに私は産めませんし妊娠も出来ないと診断を受けました」

再度、深呼吸をし考えを受け入れてから
ゆっくりとカミラ様を見て私は言葉を続ける。

「でも、それがどうしたというのですか?」

「は?」

「私は、それで自分の価値が変わるとは思えませんし、値踏みされる気もありません、ローズベル家の令嬢……アメリア・ローズベルとして恥じない人生を生きるだけです」

「で、でも女性としての生き方は…………」

「女性として生きるために意に沿わない相手と添い遂げよと?それこそプライドもなく、ローズベル家に泥を塗る生き方だと、私は思います……」

私は、カミラ様から目を逸らして
未だに一言も発することもない、ベンジャミンに向かって呟いた

「惨めに復縁を受け入れ、手に入れた仮初の幸せなど、ごめんです…そんな汚名をローズベル家として受け入れる気はありませんから」と

しおりを挟む
感想 150

あなたにおすすめの小説

どうぞ、(誰にも真似できない)その愛を貫いてくださいませ(笑)

mios
恋愛
公爵令嬢の婚約者を捨て、男爵令嬢と大恋愛の末に結婚した第一王子。公爵家の後ろ盾がなくなって、王太子の地位を降ろされた第一王子。 念願の子に恵まれて、産まれた直後に齎された幼い王子様の訃報。 国中が悲しみに包まれた時、侯爵家に一報が。

婚約破棄を、あなたのために

月山 歩
恋愛
私はあなたが好きだけど、あなたは彼女が好きなのね。だから、婚約破棄してあげる。そうして、別れたはずが、彼は騎士となり、領主になると、褒章は私を妻にと望んだ。どうして私?彼女のことはもういいの?それともこれは、あなたの人生を台無しにした私への復讐なの?

愛せないですか。それなら別れましょう

黒木 楓
恋愛
「俺はお前を愛せないが、王妃にはしてやろう」  婚約者バラド王子の発言に、 侯爵令嬢フロンは唖然としてしまう。  バラド王子は、フロンよりも平民のラミカを愛している。  そしてフロンはこれから王妃となり、側妃となるラミカに従わなければならない。  王子の命令を聞き、フロンは我慢の限界がきた。 「愛せないですか。それなら別れましょう」  この時バラド王子は、ラミカの本性を知らなかった。

【完結】精神的に弱い幼馴染を優先する婚約者を捨てたら、彼の兄と結婚することになりました

当麻リコ
恋愛
侯爵令嬢アメリアの婚約者であるミュスカーは、幼馴染みであるリリィばかりを優先する。 リリィは繊細だから僕が支えてあげないといけないのだと、誇らしそうに。 結婚を間近に控え、アメリアは不安だった。 指輪選びや衣装決めにはじまり、結婚に関する大事な話し合いの全てにおいて、ミュスカーはリリィの呼び出しに応じて行ってしまう。 そんな彼を見続けて、とうとうアメリアは彼との結婚生活を諦めた。 けれど正式に婚約の解消を求めてミュスカーの父親に相談すると、少し時間をくれと言って保留にされてしまう。 仕方なく保留を承知した一ヵ月後、国外視察で家を空けていたミュスカーの兄、アーロンが帰ってきてアメリアにこう告げた。 「必ず幸せにすると約束する。どうか俺と結婚して欲しい」 ずっと好きで、けれど他に好きな女性がいるからと諦めていたアーロンからの告白に、アメリアは戸惑いながらも頷くことしか出来なかった。

何もできない王妃と言うのなら、出て行くことにします

天宮有
恋愛
国王ドスラは、王妃の私エルノアの魔法により国が守られていると信じていなかった。 側妃の発言を聞き「何もできない王妃」と言い出すようになり、私は城の人達から蔑まれてしまう。 それなら国から出て行くことにして――その後ドスラは、後悔するようになっていた。

もう、愛はいりませんから

さくたろう
恋愛
 ローザリア王国公爵令嬢ルクレティア・フォルセティに、ある日突然、未来の記憶が蘇った。  王子リーヴァイの愛する人を殺害しようとした罪により投獄され、兄に差し出された毒を煽り死んだ記憶だ。それが未来の出来事だと確信したルクレティアは、そんな未来に怯えるが、その記憶のおかしさに気がつき、謎を探ることにする。そうしてやがて、ある人のひたむきな愛を知ることになる。

愛を求めることはやめましたので、ご安心いただけますと幸いです!

風見ゆうみ
恋愛
わたしの婚約者はレンジロード・ブロフコス侯爵令息。彼に愛されたくて、自分なりに努力してきたつもりだった。でも、彼には昔から好きな人がいた。 結婚式当日、レンジロード様から「君も知っていると思うが、私には愛する女性がいる。君と結婚しても、彼女のことを忘れたくないから忘れない。そして、私と君の結婚式を彼女に見られたくない」と言われ、結婚式を中止にするためにと階段から突き落とされてしまう。 レンジロード様に突き落とされたと訴えても、信じてくれる人は少数だけ。レンジロード様はわたしが階段を踏み外したと言う上に、わたしには話を合わせろと言う。 こんな人のどこが良かったのかしら??? 家族に相談し、離婚に向けて動き出すわたしだったが、わたしの変化に気がついたレンジロード様が、なぜかわたしにかまうようになり――

婚約者は、今月もお茶会に来ないらしい。

白雪なこ
恋愛
婚約時に両家で決めた、毎月1回の婚約者同士の交流を深める為のお茶会。だけど、私の婚約者は「彼が認めるお茶会日和」にしかやってこない。そして、数ヶ月に一度、参加したかと思えば、無言。短時間で帰り、手紙を置いていく。そんな彼を……許せる?  *6/21続編公開。「幼馴染の王女殿下は私の元婚約者に激おこだったらしい。次期女王を舐めんなよ!ですって。」 *外部サイトにも掲載しています。(1日だけですが総合日間1位)

処理中です...