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「小さな客室ですわね、まぁ子爵家ならこの程度かしら?」
「申し訳ありません、カミラ様を招く予定はありませんでしたので、手狭になっているかもしれませんね」
「それはどういった意味ですか?」
「他意はありません、どうぞお座りください」
挟んだ皮肉に、少しだけ反応したカミラ様をあしらいながら座ってもらう。
侍女が運んでくれた紅茶の香りが鼻を通り、私の気持ちを落ち着かせてくれる。
さて、この方達をどうしようか…
「それで、アメリアさん?貴方のお返事を聞かせてくれないかしら?ベンジャミンが病んでしまったのは、貴方のせいでもあるのです、責任を取って復縁しなさい」
「責任をとる必要なんてあるとは微塵も思えないため、お断りします」
「な!?貴方ね!?」
「鬱憤を吐き出す前に、こちらのご質問に答えてくださいますか?なぜ今になって復縁を望むのですか?」
単純に疑問だった、ベンジャミンが望んで離縁した
今更、真実の愛など、魅力がどうだの言っていたが、私は別の理由もあるのではと思っている。
その意味を聞きたくて、ベンジャミンを見ながら尋ねたのだけど
答えたのは、相変わらずカミラ様であった。
「ベンジャミンが言っていたでしょう!!貴方を愛していると!淑女であるのなら、それに答えなさい!」
「カミラ様、愛のない相手に無理に添い遂げる事が淑女であるのなら、私は淑女である必要を感じません」
「貴方ね!?生意気よ?公爵家の私達が言っているの!」
「まずはその傲慢な考えを改めてください、結婚に関して爵位の上下で無理強いする事が公爵家の総意なのですか?」
「な!?別に無理強いなんて…」
「ご自身の言動を一言一句、思い出してくだされば貴方の言っている事は命令に近いことだと分かると思いますが?色恋で思い通りにいかないから病んでしまい責任を取れなど不条理ではありませんか?」
「っ!………………」
無言になる癖まで一緒だったなんて、思わず頬を緩ませてしまいそうになった口元をきつく締める、今……笑みを見せるわけにはいかない、断固として復縁を受け入れる気はないと、目の前の公爵家の2人に理解して頂かないと………
そう思っていた私に向かって、カミラ様はまだ諦めないのか、身を乗り出すようにし、私へと口を開いた
「同じ女性として言いたくはなかったけど、貴方の態度があまりにも悪いので言わせてもらうわ」
「…なんでしょうか?カミラ様」
「私達、公爵家が子供も産めずに今後1人きりになってしまうであろう、哀れな貴方を迎え入れると言っているのよ?子を産めない時点で他の貴族達が名乗り上げる可能性はないの………天涯孤独の運命を私達が救ってあげると言っているのよ!」
「っ!」
自分では立ち直れた気でいたけど、こうして面と向かって言われてしまうと思わず動揺を表情に浮かべてしまう、その一瞬の私の怯みを目の前のカミラ様は見逃さずに攻めたてる。
「今の貴方に魅力を感じる貴族達はいませんわ!そんな惨めに生きるしかない貴方を心配して私達が引き取ると言っているの、感謝こそされ、拒否されるいわれはありませんわ!」
瞳を閉じて、ゆっくりと深呼吸をする。
言われた言葉を受け入れて、自分の中で答えを探す、動揺する必要なんてない
引きこもって、心を閉ざしている間にカミラ様に言われた事は何度も浮かんだ、そして私はその答えを見つけたんだ、一瞬の動揺を見せてしまったけど、もう大丈夫…
瞳を開けて、私の考えを伝える。
「確かに私は子を産めません…」
「ええ、その通りよ?だからこそ復縁を…………」
「話を最後まで聞いてください、確かに私は産めませんし妊娠も出来ないと診断を受けました」
再度、深呼吸をし考えを受け入れてから
ゆっくりとカミラ様を見て私は言葉を続ける。
「でも、それがどうしたというのですか?」
「は?」
「私は、それで自分の価値が変わるとは思えませんし、値踏みされる気もありません、ローズベル家の令嬢……アメリア・ローズベルとして恥じない人生を生きるだけです」
「で、でも女性としての生き方は…………」
「女性として生きるために意に沿わない相手と添い遂げよと?それこそプライドもなく、ローズベル家に泥を塗る生き方だと、私は思います……」
私は、カミラ様から目を逸らして
未だに一言も発することもない、ベンジャミンに向かって呟いた
「惨めに復縁を受け入れ、手に入れた仮初の幸せなど、ごめんです…そんな汚名をローズベル家として受け入れる気はありませんから」と
「申し訳ありません、カミラ様を招く予定はありませんでしたので、手狭になっているかもしれませんね」
「それはどういった意味ですか?」
「他意はありません、どうぞお座りください」
挟んだ皮肉に、少しだけ反応したカミラ様をあしらいながら座ってもらう。
侍女が運んでくれた紅茶の香りが鼻を通り、私の気持ちを落ち着かせてくれる。
さて、この方達をどうしようか…
「それで、アメリアさん?貴方のお返事を聞かせてくれないかしら?ベンジャミンが病んでしまったのは、貴方のせいでもあるのです、責任を取って復縁しなさい」
「責任をとる必要なんてあるとは微塵も思えないため、お断りします」
「な!?貴方ね!?」
「鬱憤を吐き出す前に、こちらのご質問に答えてくださいますか?なぜ今になって復縁を望むのですか?」
単純に疑問だった、ベンジャミンが望んで離縁した
今更、真実の愛など、魅力がどうだの言っていたが、私は別の理由もあるのではと思っている。
その意味を聞きたくて、ベンジャミンを見ながら尋ねたのだけど
答えたのは、相変わらずカミラ様であった。
「ベンジャミンが言っていたでしょう!!貴方を愛していると!淑女であるのなら、それに答えなさい!」
「カミラ様、愛のない相手に無理に添い遂げる事が淑女であるのなら、私は淑女である必要を感じません」
「貴方ね!?生意気よ?公爵家の私達が言っているの!」
「まずはその傲慢な考えを改めてください、結婚に関して爵位の上下で無理強いする事が公爵家の総意なのですか?」
「な!?別に無理強いなんて…」
「ご自身の言動を一言一句、思い出してくだされば貴方の言っている事は命令に近いことだと分かると思いますが?色恋で思い通りにいかないから病んでしまい責任を取れなど不条理ではありませんか?」
「っ!………………」
無言になる癖まで一緒だったなんて、思わず頬を緩ませてしまいそうになった口元をきつく締める、今……笑みを見せるわけにはいかない、断固として復縁を受け入れる気はないと、目の前の公爵家の2人に理解して頂かないと………
そう思っていた私に向かって、カミラ様はまだ諦めないのか、身を乗り出すようにし、私へと口を開いた
「同じ女性として言いたくはなかったけど、貴方の態度があまりにも悪いので言わせてもらうわ」
「…なんでしょうか?カミラ様」
「私達、公爵家が子供も産めずに今後1人きりになってしまうであろう、哀れな貴方を迎え入れると言っているのよ?子を産めない時点で他の貴族達が名乗り上げる可能性はないの………天涯孤独の運命を私達が救ってあげると言っているのよ!」
「っ!」
自分では立ち直れた気でいたけど、こうして面と向かって言われてしまうと思わず動揺を表情に浮かべてしまう、その一瞬の私の怯みを目の前のカミラ様は見逃さずに攻めたてる。
「今の貴方に魅力を感じる貴族達はいませんわ!そんな惨めに生きるしかない貴方を心配して私達が引き取ると言っているの、感謝こそされ、拒否されるいわれはありませんわ!」
瞳を閉じて、ゆっくりと深呼吸をする。
言われた言葉を受け入れて、自分の中で答えを探す、動揺する必要なんてない
引きこもって、心を閉ざしている間にカミラ様に言われた事は何度も浮かんだ、そして私はその答えを見つけたんだ、一瞬の動揺を見せてしまったけど、もう大丈夫…
瞳を開けて、私の考えを伝える。
「確かに私は子を産めません…」
「ええ、その通りよ?だからこそ復縁を…………」
「話を最後まで聞いてください、確かに私は産めませんし妊娠も出来ないと診断を受けました」
再度、深呼吸をし考えを受け入れてから
ゆっくりとカミラ様を見て私は言葉を続ける。
「でも、それがどうしたというのですか?」
「は?」
「私は、それで自分の価値が変わるとは思えませんし、値踏みされる気もありません、ローズベル家の令嬢……アメリア・ローズベルとして恥じない人生を生きるだけです」
「で、でも女性としての生き方は…………」
「女性として生きるために意に沿わない相手と添い遂げよと?それこそプライドもなく、ローズベル家に泥を塗る生き方だと、私は思います……」
私は、カミラ様から目を逸らして
未だに一言も発することもない、ベンジャミンに向かって呟いた
「惨めに復縁を受け入れ、手に入れた仮初の幸せなど、ごめんです…そんな汚名をローズベル家として受け入れる気はありませんから」と
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