20 / 385
3章 おしゃべり貴族令嬢
4話 薬師志望と神官
しおりを挟む
みんなが出かけてしまい、砦はわたしとベルナデッタさん二人になった。
「何かやっておくことあるー? パンケーキはたくさん焼いとくけど」
「えっと、キャベツをたくさん千切りにしておいて、ハンバーグを作って冷凍します」
「ハンバーグってあのやたら大きいやつ?」
「はい」
「うへぇ……キャベツはどれくらい切るのかな」
「5玉くらい切れば大丈夫かな……」
「ご、5玉……」
「キャベツをいっぱい切ってお皿に盛っておくとご飯のかわりにそっちを食べてくれるから、ちょっと経済的だってジャミルが」
「なるほど……それにしてもホントによく食べるわねあの二人。あたしも傭兵団とか冒険者パーティーにいくつか同行したけどあんな大食漢そうそう見なかったな~。パワータイプのゴリマッチョ戦士みたい。ラーメンもあっという間になくなっちゃってビックリしたわ」
パンケーキミックスをカシャカシャ混ぜながらベルナデッタさんがため息をついた。
あのあとグレンさんとルカがラーメンを大量に食べていって、寸胴鍋いっぱいにあったラーメンスープは空っぽ寸前くらいになってしまったのだった。
「傭兵団に冒険者……やっぱり回復術師としてついていったんですか?」
「そそ。魔物討伐の依頼とかだと募集がよくかかるわね」
冒険者とか傭兵団……わたしの知らない世界だ。
ギルドに薬草を売りに行くとメンバー募集用の掲示板があって「僧侶のメンバー募集」はいつでも貼ってある。
ちなみに「薬師募集」もけっこうあって、武術や攻撃魔法の心得があるなら同伴できる。
僧侶は杖の維持費がかかるから、お給金も高め。
その上戦えない人が多いので守らないといけないらしく、腕に自信がなかったり少人数のパーティーだとけっこう負担になったりするとか……。
僧侶を雇うお金がなくて、かつ僧侶を守る余裕のない人は薬師を連れて行くって感じみたい。
わたしは魔法使えないし、冒険に興味がないから武術を覚えようと思ったこともない。
魔法が使えたら『冒険してみたい!』っていう気持ちになったのかなぁ。
「……すごいですねぇ。冒険って楽しいですか?」
「そうねー、未知の発見があるから楽しいわね。危険な冒険についてったことないからそう思うのかも。……あなたは普段何をしてるの? 学生さん?」
「あ、はい。ヒルデガルド薬学校って所に――」
「えっ……?」
それまでニコニコと話していたベルナデッタさんの顔が急に曇る。
「ど、どうかしましたか……?」
「あ……いえ、なんでもないわ。……ごめんね」
けれどまたパッと笑顔に戻って、パンケーキを焼き始めた。
「??」
なんでもないと言いつつもその日わたしに対しての口数は少なくなり、気のせいか目も合わせてくれなかった。
(わたし、何かしたかな……?)
「何かやっておくことあるー? パンケーキはたくさん焼いとくけど」
「えっと、キャベツをたくさん千切りにしておいて、ハンバーグを作って冷凍します」
「ハンバーグってあのやたら大きいやつ?」
「はい」
「うへぇ……キャベツはどれくらい切るのかな」
「5玉くらい切れば大丈夫かな……」
「ご、5玉……」
「キャベツをいっぱい切ってお皿に盛っておくとご飯のかわりにそっちを食べてくれるから、ちょっと経済的だってジャミルが」
「なるほど……それにしてもホントによく食べるわねあの二人。あたしも傭兵団とか冒険者パーティーにいくつか同行したけどあんな大食漢そうそう見なかったな~。パワータイプのゴリマッチョ戦士みたい。ラーメンもあっという間になくなっちゃってビックリしたわ」
パンケーキミックスをカシャカシャ混ぜながらベルナデッタさんがため息をついた。
あのあとグレンさんとルカがラーメンを大量に食べていって、寸胴鍋いっぱいにあったラーメンスープは空っぽ寸前くらいになってしまったのだった。
「傭兵団に冒険者……やっぱり回復術師としてついていったんですか?」
「そそ。魔物討伐の依頼とかだと募集がよくかかるわね」
冒険者とか傭兵団……わたしの知らない世界だ。
ギルドに薬草を売りに行くとメンバー募集用の掲示板があって「僧侶のメンバー募集」はいつでも貼ってある。
ちなみに「薬師募集」もけっこうあって、武術や攻撃魔法の心得があるなら同伴できる。
僧侶は杖の維持費がかかるから、お給金も高め。
その上戦えない人が多いので守らないといけないらしく、腕に自信がなかったり少人数のパーティーだとけっこう負担になったりするとか……。
僧侶を雇うお金がなくて、かつ僧侶を守る余裕のない人は薬師を連れて行くって感じみたい。
わたしは魔法使えないし、冒険に興味がないから武術を覚えようと思ったこともない。
魔法が使えたら『冒険してみたい!』っていう気持ちになったのかなぁ。
「……すごいですねぇ。冒険って楽しいですか?」
「そうねー、未知の発見があるから楽しいわね。危険な冒険についてったことないからそう思うのかも。……あなたは普段何をしてるの? 学生さん?」
「あ、はい。ヒルデガルド薬学校って所に――」
「えっ……?」
それまでニコニコと話していたベルナデッタさんの顔が急に曇る。
「ど、どうかしましたか……?」
「あ……いえ、なんでもないわ。……ごめんね」
けれどまたパッと笑顔に戻って、パンケーキを焼き始めた。
「??」
なんでもないと言いつつもその日わたしに対しての口数は少なくなり、気のせいか目も合わせてくれなかった。
(わたし、何かしたかな……?)
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
62
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる