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本編
#13 人見知り
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ほんとにこんなに無言でいいのかしら。入ってから二言位しか喋ってない。
そんな入ってからろくに会話を交わしていない私たちに痺れを切らしたのか、ウィンの従者らしき人が話そうと口を開けた。けれど流石にそのまま話すことは躊躇したようでひそひそと目の前でウィンと話し出す。
うーん、私なにしてようかな。これといったお茶の準備がある訳でもないのでお茶も飲めないし、手持ち無沙汰だ。
ぼーっとしばし待つと、一段落ついたみたいで、ウィンが口を開いた。私もちゃんとしなきゃと思って姿勢をただす。
「い、良いぉぉお天気ですね? 」
「そ、そうですねぇ?? 」
ふふふ~って、居づらい。すごく居づらい。空気がとても重たいわ。ウィンの、いや私も棒読み感が半端ない。思っていたのと違うわね、いつも通り話したはずなのに。語尾とか変に上がっちゃった。何とかいつものペースに戻さなきゃ。令嬢スイッチON、起動して。
「本日はお日柄もよく」
「えぇ・・・・・・最近は温かくなっていて、過ごしやすいですよね」
「はい」
大変、大変だわ。硬すぎる。会話が広がらない。
私って俗に言う人見知りなのかもしれないわ。だって分かんないもの。それによく考えたら私家族、友達以外の人と楽しく弾むような会話をしたことない。関わりは必要最低限にして生きてきたし。わ~侯爵令嬢として失格ね。あの仮面舞踏会の夜のことなんて幻みたい。あの時はもっとスラスラ話せたのに……!今は気恥ずかしすぎる。
第一さっきから典型的な挨拶。どうしたらいいのかしら。上手いこと返せないしなぁと中々弾まない会話にモヤモヤを抱えながらもどうしようも出来ないでいると、突如こんこん、いやどんどん?重く閉じられたドアがたたかれた。扉の向こうから微かに声がする。
「おじょーさまっ! そこにいらっしゃいますかぁ!? ここを開けてください! 」
あっ、もしかしてサリー!? いや、もしかしなくてもサリー! あ、ぁあ~うわぁ忘れてた。完全に忘れてたわ。これはやらかしちゃったかも。絶対後でグチグチ言われるわ。
「1人じゃダメ、何があるからわからないですから。絶対一緒に行きましょうね」って何度も何度も念押しして言われてたのに。待ち合わせ場所まで決めてたのに。ここに来ることに必死で、夢中で!全部忘れてた。 うぅ~言い訳だってサリーに怒られるよね。
「お知り合いの方ですか? どうされます? 」
「多分私の侍女だと思うの、差し支えなければここに呼んでもらってもいいかしら」
「承知しました」
ドアが開くと同時に、にこぉっと微笑みながら入って来たサリー。キレッキレのあゆみでこちらへ近付いてきて。にこにこ、にこにこと微笑みの下でかわされる会話。これは相当怒ってるわね、サリー。
「はじめまして、こんにちは。まぁこれはこれは、ダメダメですね」
「ちょっとサリー何を言ってるの、失礼よ」
「お茶もお菓子も用意されていないなんて。そこのお方キッチンはどこでしょう」
サリーの強いオーラを感じたのかウィンの従者の方がサリーを急いで案内して行った。
15分後、ようやくまともなお茶会の雰囲気になった。これもサリーの頑張りね。けれど何も始まらない。
先程までのようにじっとウィンを見続けるわけにも行かず、カップを手に取った。
ん~っ!! わぁこれってリルルス産の紅茶じゃない!?
かぐわしい爽やかな香り。久しぶりに飲んだわ。この紅茶はとても貴重で高いしめったに手に入らない。ミルクを足すと香りが変化し、パッと咲きほこるフローラルな甘い香りがする。お、美味しい。久々に飲めて嬉しいわ。
飲みやすい程よい温かさにほっとした。身体の隅々まで染み渡る。あふれ出てくる幸せをかみ締めていると、急にサリーが自己紹介しましょうかと話し始めた。
いつの間にかサリーは、当たり前のような動作で自然と席に着いている。サリーのペースでこの場が動いているわ。
ここ学校だしね、うんうん、いいんじゃない。もうここまで来たらね。いちおう身分関係ないって言ってくれてるし。うんうん。
「まずは私から。私は侍女科2年のサリーです。お嬢様の侍女兼親友です」
「!!」
静かながらも動揺がよく伝わる。
「さぁ、次はお嬢様です」
「私はク⋯⋯」
隣席から足をぶつけられる。サリー、やりすぎじゃない? でも流石に本名はまずかったわね。危ない、危ない。じゃあ
「⋯⋯リリーですわ。淑女科2年です」
「じゃあ次は僕いきますね! 騎士科3年のカインっす。従者してます! 」
あ、この方第一印象と違う。全然違う。はじめは丁寧な人だなと思っていたけれど、めちゃくちゃ明るい人だったわ。ウィンにそっと睨まれてる。猫被ってたのとっちゃったから、ふふふっ。
「貴族科3年のウィン」
さらりと自己紹介を終えたウィン、1つ年上だったのね。言葉使いももっとかしこまったものにしなきゃダメね。それに先輩ということは、
「ウィン、先輩」
ってよばなきゃダメかし。
⋯⋯ゆるーい沈黙。あれれ、あれどうしたの? 時間止まった? きょとんとして隣のサリーを見る。一息ついたサリーは、衝撃の事実をはなった。
「お嬢様、言いにくいけれど言葉に出てましたよ。先輩って」
「ふぇっ!? なぁ、ぁあっ、、、」
「出てました。しっかりと」
「くっ、、、うぅぅ~」
追い討ち、かけないで。サリーやめて。もう分かったから。久々に見た満面の笑みだ。う、嬉しいのね! 酷いわ。軽くつっついてもどこ吹く風のようで、なんでもないような顔をする。あまつさえ
「お嬢様。⋯⋯出てました。ふふっ」
また言い出す始末。もう、ためないでよ!笑うなぁ~。相当ツボってるな。
というかよく見たら、向かいのカインさんも肩震えてる。も、ほんとに恥ずかしい。私の顔は慌ててさぐり寄せた扇で隠しているものの真っ赤に染まっている。
「別に気にしてはいないが。・・・・・・その、言葉使いとかはこないだと同じで構わない」
「わかり、ました」
恥ずかしくって、もう、ダメ。家に家に帰りたいぃぃ。ドレスいっぱいのクローゼットに入り込みたいぃ。まぁまぁって覚えときなさいよ。サリー。
☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆
↓皆が座っているところのイメージです↓
ウィン→〇〇←カイン
█机█
リリアナ→〇〇←サリー
そんな入ってからろくに会話を交わしていない私たちに痺れを切らしたのか、ウィンの従者らしき人が話そうと口を開けた。けれど流石にそのまま話すことは躊躇したようでひそひそと目の前でウィンと話し出す。
うーん、私なにしてようかな。これといったお茶の準備がある訳でもないのでお茶も飲めないし、手持ち無沙汰だ。
ぼーっとしばし待つと、一段落ついたみたいで、ウィンが口を開いた。私もちゃんとしなきゃと思って姿勢をただす。
「い、良いぉぉお天気ですね? 」
「そ、そうですねぇ?? 」
ふふふ~って、居づらい。すごく居づらい。空気がとても重たいわ。ウィンの、いや私も棒読み感が半端ない。思っていたのと違うわね、いつも通り話したはずなのに。語尾とか変に上がっちゃった。何とかいつものペースに戻さなきゃ。令嬢スイッチON、起動して。
「本日はお日柄もよく」
「えぇ・・・・・・最近は温かくなっていて、過ごしやすいですよね」
「はい」
大変、大変だわ。硬すぎる。会話が広がらない。
私って俗に言う人見知りなのかもしれないわ。だって分かんないもの。それによく考えたら私家族、友達以外の人と楽しく弾むような会話をしたことない。関わりは必要最低限にして生きてきたし。わ~侯爵令嬢として失格ね。あの仮面舞踏会の夜のことなんて幻みたい。あの時はもっとスラスラ話せたのに……!今は気恥ずかしすぎる。
第一さっきから典型的な挨拶。どうしたらいいのかしら。上手いこと返せないしなぁと中々弾まない会話にモヤモヤを抱えながらもどうしようも出来ないでいると、突如こんこん、いやどんどん?重く閉じられたドアがたたかれた。扉の向こうから微かに声がする。
「おじょーさまっ! そこにいらっしゃいますかぁ!? ここを開けてください! 」
あっ、もしかしてサリー!? いや、もしかしなくてもサリー! あ、ぁあ~うわぁ忘れてた。完全に忘れてたわ。これはやらかしちゃったかも。絶対後でグチグチ言われるわ。
「1人じゃダメ、何があるからわからないですから。絶対一緒に行きましょうね」って何度も何度も念押しして言われてたのに。待ち合わせ場所まで決めてたのに。ここに来ることに必死で、夢中で!全部忘れてた。 うぅ~言い訳だってサリーに怒られるよね。
「お知り合いの方ですか? どうされます? 」
「多分私の侍女だと思うの、差し支えなければここに呼んでもらってもいいかしら」
「承知しました」
ドアが開くと同時に、にこぉっと微笑みながら入って来たサリー。キレッキレのあゆみでこちらへ近付いてきて。にこにこ、にこにこと微笑みの下でかわされる会話。これは相当怒ってるわね、サリー。
「はじめまして、こんにちは。まぁこれはこれは、ダメダメですね」
「ちょっとサリー何を言ってるの、失礼よ」
「お茶もお菓子も用意されていないなんて。そこのお方キッチンはどこでしょう」
サリーの強いオーラを感じたのかウィンの従者の方がサリーを急いで案内して行った。
15分後、ようやくまともなお茶会の雰囲気になった。これもサリーの頑張りね。けれど何も始まらない。
先程までのようにじっとウィンを見続けるわけにも行かず、カップを手に取った。
ん~っ!! わぁこれってリルルス産の紅茶じゃない!?
かぐわしい爽やかな香り。久しぶりに飲んだわ。この紅茶はとても貴重で高いしめったに手に入らない。ミルクを足すと香りが変化し、パッと咲きほこるフローラルな甘い香りがする。お、美味しい。久々に飲めて嬉しいわ。
飲みやすい程よい温かさにほっとした。身体の隅々まで染み渡る。あふれ出てくる幸せをかみ締めていると、急にサリーが自己紹介しましょうかと話し始めた。
いつの間にかサリーは、当たり前のような動作で自然と席に着いている。サリーのペースでこの場が動いているわ。
ここ学校だしね、うんうん、いいんじゃない。もうここまで来たらね。いちおう身分関係ないって言ってくれてるし。うんうん。
「まずは私から。私は侍女科2年のサリーです。お嬢様の侍女兼親友です」
「!!」
静かながらも動揺がよく伝わる。
「さぁ、次はお嬢様です」
「私はク⋯⋯」
隣席から足をぶつけられる。サリー、やりすぎじゃない? でも流石に本名はまずかったわね。危ない、危ない。じゃあ
「⋯⋯リリーですわ。淑女科2年です」
「じゃあ次は僕いきますね! 騎士科3年のカインっす。従者してます! 」
あ、この方第一印象と違う。全然違う。はじめは丁寧な人だなと思っていたけれど、めちゃくちゃ明るい人だったわ。ウィンにそっと睨まれてる。猫被ってたのとっちゃったから、ふふふっ。
「貴族科3年のウィン」
さらりと自己紹介を終えたウィン、1つ年上だったのね。言葉使いももっとかしこまったものにしなきゃダメね。それに先輩ということは、
「ウィン、先輩」
ってよばなきゃダメかし。
⋯⋯ゆるーい沈黙。あれれ、あれどうしたの? 時間止まった? きょとんとして隣のサリーを見る。一息ついたサリーは、衝撃の事実をはなった。
「お嬢様、言いにくいけれど言葉に出てましたよ。先輩って」
「ふぇっ!? なぁ、ぁあっ、、、」
「出てました。しっかりと」
「くっ、、、うぅぅ~」
追い討ち、かけないで。サリーやめて。もう分かったから。久々に見た満面の笑みだ。う、嬉しいのね! 酷いわ。軽くつっついてもどこ吹く風のようで、なんでもないような顔をする。あまつさえ
「お嬢様。⋯⋯出てました。ふふっ」
また言い出す始末。もう、ためないでよ!笑うなぁ~。相当ツボってるな。
というかよく見たら、向かいのカインさんも肩震えてる。も、ほんとに恥ずかしい。私の顔は慌ててさぐり寄せた扇で隠しているものの真っ赤に染まっている。
「別に気にしてはいないが。・・・・・・その、言葉使いとかはこないだと同じで構わない」
「わかり、ました」
恥ずかしくって、もう、ダメ。家に家に帰りたいぃぃ。ドレスいっぱいのクローゼットに入り込みたいぃ。まぁまぁって覚えときなさいよ。サリー。
☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆
↓皆が座っているところのイメージです↓
ウィン→〇〇←カイン
█机█
リリアナ→〇〇←サリー
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