122 / 306
第三章 カーナ王国の混迷
プロローグ〜優雅な朝食のはずだった
しおりを挟む
円環大陸の西の小国、カーナ王国は聖女アイシャを虐げた元王太子や一部の貴族たちの凶行が原因となって王家が崩壊した。
現在は王政から共和国制への移行の真っ只中だ。
とはいえ揺れ動いているのは主に政治の世界なので、大半の国民は王家が自滅する前とほとんど変わらない生活を今も送っている。
そう、青銀の髪に湖面の水色の瞳を持つ麗しの男前、ルシウス・リーストもその一人だ。
もっとも彼は他国の貴族なのだが、今ではすっかりカーナ王国に馴染んでいる。
この国に来ることになった当初の目的である、聖女アイシャに料理スキルを持たせること、彼女とその恋人トオンを環使いとして鍛えることに一区切りついたばかり。
そんなルシウスは王都内の高級ホテルのブッフェレストランで優雅に朝食を取っていた。
絶妙な茹で加減のポーチドエッグにオランデーズソースのかかったエッグベネディクトにはこんがり焼けたベーコンが添えられ、ハーブの混ざったフレッシュサラダ、そして新鮮なフルーツ。
食後は紅茶を楽しみながら、ゆっくりとレストラン内の人々を観察するつもりだった。
「ふふ。アイシャやトオンの世話も楽しかったが、それはそれ、これはこれ。貴族的な生活の基盤も作ることにしよう」
今後、共和制に移行するにしても、この国の上層は変わりなく存在し続けるだろう。
真の上流階級は自宅で食事しているだろうが、庶民が利用しないこの手のホテルのレストランには、また違う層が利用する。
ルシウスは空いた時間で商売を始めていたので、その伝手になりそうな人脈を探しに来たのだ。
ルシウスの白い肌や青銀の髪を引き立てるグレーのスーツとドレスシャツにスカーフ、一分の隙もなく磨き上げられた革靴。
スマートエレガンスにまとめた装いの見慣れぬ麗しい男はとにかく目立つ。
ルシウスは自分の容姿が人を惹きつけることをよく知っていた。
(後は適当な紳士に声をかけてまずは雑談を……)
のんびり平民層以外の人脈も作ろうと画策していたのだが、しかし。
「る、ルシウス様! ルシウス様、大変です! 店が、レストラン・サルモーネが!」
自分とよく似た遠縁の男が慌ててやってきて、見事に台無しとなった。
現在は王政から共和国制への移行の真っ只中だ。
とはいえ揺れ動いているのは主に政治の世界なので、大半の国民は王家が自滅する前とほとんど変わらない生活を今も送っている。
そう、青銀の髪に湖面の水色の瞳を持つ麗しの男前、ルシウス・リーストもその一人だ。
もっとも彼は他国の貴族なのだが、今ではすっかりカーナ王国に馴染んでいる。
この国に来ることになった当初の目的である、聖女アイシャに料理スキルを持たせること、彼女とその恋人トオンを環使いとして鍛えることに一区切りついたばかり。
そんなルシウスは王都内の高級ホテルのブッフェレストランで優雅に朝食を取っていた。
絶妙な茹で加減のポーチドエッグにオランデーズソースのかかったエッグベネディクトにはこんがり焼けたベーコンが添えられ、ハーブの混ざったフレッシュサラダ、そして新鮮なフルーツ。
食後は紅茶を楽しみながら、ゆっくりとレストラン内の人々を観察するつもりだった。
「ふふ。アイシャやトオンの世話も楽しかったが、それはそれ、これはこれ。貴族的な生活の基盤も作ることにしよう」
今後、共和制に移行するにしても、この国の上層は変わりなく存在し続けるだろう。
真の上流階級は自宅で食事しているだろうが、庶民が利用しないこの手のホテルのレストランには、また違う層が利用する。
ルシウスは空いた時間で商売を始めていたので、その伝手になりそうな人脈を探しに来たのだ。
ルシウスの白い肌や青銀の髪を引き立てるグレーのスーツとドレスシャツにスカーフ、一分の隙もなく磨き上げられた革靴。
スマートエレガンスにまとめた装いの見慣れぬ麗しい男はとにかく目立つ。
ルシウスは自分の容姿が人を惹きつけることをよく知っていた。
(後は適当な紳士に声をかけてまずは雑談を……)
のんびり平民層以外の人脈も作ろうと画策していたのだが、しかし。
「る、ルシウス様! ルシウス様、大変です! 店が、レストラン・サルモーネが!」
自分とよく似た遠縁の男が慌ててやってきて、見事に台無しとなった。
18
あなたにおすすめの小説
私と子供より、夫は幼馴染とその子供のほうが大切でした。
小野 まい
恋愛
結婚記念日のディナーに夫のオスカーは現れない。
「マリアが熱を出したらしい」
駆けつけた先で、オスカーがマリアと息子カイルと楽しげに食事をする姿を妻のエリザが目撃する。
「また裏切られた……」
いつも幼馴染を優先するオスカーに、エリザの不満は限界に達していた。
「あなたは家族よりも幼馴染のほうが大事なのね」
離婚する気持ちが固まっていく。
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
なぜ、私に関係あるのかしら?
シエル
ファンタジー
「初めまして、アシュフォード公爵家一女、セシリア・アシュフォードと申します」
彼女は、つい先日までこの国の王太子殿下の婚約者だった。
そして今日、このトレヴァント辺境伯家へと嫁いできた。
「…レオンハルト・トレヴァントだ」
非道にも自らの実妹を長年にわたり虐げ、婚約者以外の男との不適切な関係を理由に、王太子妃に不適格とされ、貴族学院の卒業式で婚約破棄を宣告された。
そして、新たな婚約者として、その妹が王太子本人から指名されたのだった。
「私は君と夫婦になるつもりはないし、辺境伯夫人として扱うこともない」
この判断によって、どうなるかなども考えずに…
※ 中世ヨーロッパ風の世界観です。
※ ご都合主義ですので、ご了承下さい、
※ 画像はAIにて作成しております
公爵令嬢は結婚式当日に死んだ
白雲八鈴
恋愛
今日はとある公爵令嬢の結婚式だ。幸せいっぱいの公爵令嬢の前に婚約者のレイモンドが現れる。
「今日の結婚式は俺と番であるナタリーの結婚式に変更だ!そのドレスをナタリーに渡せ!」
突然のことに公爵令嬢は何を言われたのか理解できなかった。いや、したくなかった。
婚約者のレイモンドは番という運命に出逢ってしまったという。
そして、真っ白な花嫁衣装を脱がされ、そのドレスは番だという女性に着させられる。周りの者達はめでたいと大喜びだ。
その場所に居ることが出来ず公爵令嬢は外に飛び出し……
生まれ変わった令嬢は復讐を誓ったのだった。
婚約者とその番という女性に
『一発ぐらい思いっきり殴ってもいいですわね?』
そして、つがいという者に囚われた者の存在が現れる。
*タグ注意
*不快であれば閉じてください。
存在感のない聖女が姿を消した後 [完]
風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは
永く仕えた国を捨てた。
何故って?
それは新たに現れた聖女が
ヒロインだったから。
ディアターナは
いつの日からか新聖女と比べられ
人々の心が離れていった事を悟った。
もう私の役目は終わったわ…
神託を受けたディアターナは
手紙を残して消えた。
残された国は天災に見舞われ
てしまった。
しかし聖女は戻る事はなかった。
ディアターナは西帝国にて
初代聖女のコリーアンナに出会い
運命を切り開いて
自分自身の幸せをみつけるのだった。
白い結婚の末、離婚を選んだ公爵夫人は二度と戻らない』
鍛高譚
恋愛
白い結婚の末、「白い結婚」の末、私は冷遇され、夫は愛人を溺愛していた――ならば、もう要らないわ」
公爵令嬢 ジェニファー・ランカスター は、王弟 エドワード・クラレンス公爵 のもとへ政略結婚として嫁ぐ。
だが、その結婚生活は冷たく空虚なものだった。夫は愛人 ローザ・フィッツジェラルド に夢中になり、公爵夫人であるジェニファーは侮辱され、無視され続ける日々。
――それでも、貴族の娘は耐えなければならないの?
何の愛もなく、ただ飾り物として扱われる結婚に見切りをつけたジェニファーは 「離婚」 を決意する。
しかし、王弟であるエドワードとの離婚は容易ではない。実家のランカスター家は猛反対し、王宮の重臣たちも彼女の決断を 「公爵家の恥」 と揶揄する。
それでも、ジェニファーは負けない。弁護士と協力し、着々と準備を進めていく。
そんな折、彼女は北方の大国 ヴォルフ公国の大公、アレクサンダー・ヴォルフ と出会う。
温かく誠実な彼との交流を通じて、ジェニファーは 「本当に大切にされること」 を知る。
そして、彼女の決断は、王都の社交界に大きな波紋を呼ぶこととなる――。
「公爵夫人を手放したことを、いつか後悔しても遅いわ」
「私はもう、あなたたちの飾り人形じゃない」
離婚を巡る策略、愛人の凋落、元夫の後悔――。
そして、新たな地で手にした 「愛される結婚」。
【完結】残酷な現実はお伽噺ではないのよ
綾雅(りょうが)要らない悪役令嬢
恋愛
「アンジェリーナ・ナイトレイ。貴様との婚約を破棄し、我が国の聖女ミサキを害した罪で流刑に処す」
物語でよくある婚約破棄は、王族の信頼を揺るがした。婚約は王家と公爵家の契約であり、一方的な破棄はありえない。王子に腰を抱かれた聖女は、物語ではない現実の残酷さを突きつけられるのであった。
★公爵令嬢目線 ★聖女目線、両方を掲載します。
【同時掲載】アルファポリス、カクヨム、エブリスタ、小説家になろう
2023/01/11……カクヨム、恋愛週間 21位
2023/01/10……小説家になろう、日間恋愛異世界転生/転移 1位
2023/01/09……アルファポリス、HOT女性向け 28位
2023/01/09……エブリスタ、恋愛トレンド 28位
2023/01/08……完結
わたくしがお父様に疎まれている?いいえ、目に入れても痛くない程溺愛されております。
織り子
ファンタジー
王国貴族院の卒業記念パーティーの場で、大公家の令嬢ルクレツィア・アーヴェントは王太子エドワードから突然の婚約破棄を告げられる。
父であるアーヴェント大公に疎まれている――
噂を知った王太子は、彼女を公衆の面前で侮辱する。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。