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第三章 カーナ王国の混迷
プロローグ〜優雅な朝食のはずだった
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円環大陸の西の小国、カーナ王国は聖女アイシャを虐げた元王太子や一部の貴族たちの凶行が原因となって王家が崩壊した。
現在は王政から共和国制への移行の真っ只中だ。
とはいえ揺れ動いているのは主に政治の世界なので、大半の国民は王家が自滅する前とほとんど変わらない生活を今も送っている。
そう、青銀の髪に湖面の水色の瞳を持つ麗しの男前、ルシウス・リーストもその一人だ。
もっとも彼は他国の貴族なのだが、今ではすっかりカーナ王国に馴染んでいる。
この国に来ることになった当初の目的である、聖女アイシャに料理スキルを持たせること、彼女とその恋人トオンを環使いとして鍛えることに一区切りついたばかり。
そんなルシウスは王都内の高級ホテルのブッフェレストランで優雅に朝食を取っていた。
絶妙な茹で加減のポーチドエッグにオランデーズソースのかかったエッグベネディクトにはこんがり焼けたベーコンが添えられ、ハーブの混ざったフレッシュサラダ、そして新鮮なフルーツ。
食後は紅茶を楽しみながら、ゆっくりとレストラン内の人々を観察するつもりだった。
「ふふ。アイシャやトオンの世話も楽しかったが、それはそれ、これはこれ。貴族的な生活の基盤も作ることにしよう」
今後、共和制に移行するにしても、この国の上層は変わりなく存在し続けるだろう。
真の上流階級は自宅で食事しているだろうが、庶民が利用しないこの手のホテルのレストランには、また違う層が利用する。
ルシウスは空いた時間で商売を始めていたので、その伝手になりそうな人脈を探しに来たのだ。
ルシウスの白い肌や青銀の髪を引き立てるグレーのスーツとドレスシャツにスカーフ、一分の隙もなく磨き上げられた革靴。
スマートエレガンスにまとめた装いの見慣れぬ麗しい男はとにかく目立つ。
ルシウスは自分の容姿が人を惹きつけることをよく知っていた。
(後は適当な紳士に声をかけてまずは雑談を……)
のんびり平民層以外の人脈も作ろうと画策していたのだが、しかし。
「る、ルシウス様! ルシウス様、大変です! 店が、レストラン・サルモーネが!」
自分とよく似た遠縁の男が慌ててやってきて、見事に台無しとなった。
現在は王政から共和国制への移行の真っ只中だ。
とはいえ揺れ動いているのは主に政治の世界なので、大半の国民は王家が自滅する前とほとんど変わらない生活を今も送っている。
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もっとも彼は他国の貴族なのだが、今ではすっかりカーナ王国に馴染んでいる。
この国に来ることになった当初の目的である、聖女アイシャに料理スキルを持たせること、彼女とその恋人トオンを環使いとして鍛えることに一区切りついたばかり。
そんなルシウスは王都内の高級ホテルのブッフェレストランで優雅に朝食を取っていた。
絶妙な茹で加減のポーチドエッグにオランデーズソースのかかったエッグベネディクトにはこんがり焼けたベーコンが添えられ、ハーブの混ざったフレッシュサラダ、そして新鮮なフルーツ。
食後は紅茶を楽しみながら、ゆっくりとレストラン内の人々を観察するつもりだった。
「ふふ。アイシャやトオンの世話も楽しかったが、それはそれ、これはこれ。貴族的な生活の基盤も作ることにしよう」
今後、共和制に移行するにしても、この国の上層は変わりなく存在し続けるだろう。
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ルシウスは空いた時間で商売を始めていたので、その伝手になりそうな人脈を探しに来たのだ。
ルシウスの白い肌や青銀の髪を引き立てるグレーのスーツとドレスシャツにスカーフ、一分の隙もなく磨き上げられた革靴。
スマートエレガンスにまとめた装いの見慣れぬ麗しい男はとにかく目立つ。
ルシウスは自分の容姿が人を惹きつけることをよく知っていた。
(後は適当な紳士に声をかけてまずは雑談を……)
のんびり平民層以外の人脈も作ろうと画策していたのだが、しかし。
「る、ルシウス様! ルシウス様、大変です! 店が、レストラン・サルモーネが!」
自分とよく似た遠縁の男が慌ててやってきて、見事に台無しとなった。
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