13 / 23
百花繚乱
「鬼灯」三
しおりを挟む
網戸の外から、コオロギの鳴く音が聞こえる。
自分の部屋のベッドの上で横になり、僕は、今日の出来事を反芻した。
「何考えているんだ?鬼退治の事か?」
用心棒の彼が、再び僕の部屋の物を物色しながら尋ねてきた。
「…応じるべきかな?」
「…俺はあんまり戦いたくないからそんなに気が乗らない」
「『可能性は少ないけど、戦闘に巻き込まれる場合も起こりうる』って言ってたしね…」
「…西の方の島に鬼がいて、そいつらのせいで異変が生じてるんだっけか」
「よくわかんなかったけどそうらしい」
「…というか、今時鬼なんているんだな。俺が生きていた時でも鬼なんてほとんど見なかったぞ」
「…君が生きてたのって、どのぐらい前なんだい?」
「…まあ、大昔だね」
そう言うと彼は何故かそっぽを向いて、ベランダのガラス製の風鈴に目を向けた。
「…ねえ、そういえば、ずっと気になってたんだけど、君の名前、なんていうんだい?」
「…俺の名前?知る必要なんてないだろ」
「…いやだって、名前知らんと不便じゃん」
「…そういう君は、なんて名前なんだ?山本っていう苗字だけは知れたけど」
「…君が言ってくれるまで言わない」
「なんだそれ」
「お互い様だよ」
ポケットの中から、携帯電話のバイブ音が聞こえた。
今日の市場で遭った、鬼灯六郎からメールが届いている。
『急かすようで悪いけど18日までに参加の可否を教えてくれると嬉しい』という旨が書いてあった。
…決めた。
「…参加したい。だから、君にも、僕と一緒についてきてほしい」
「…山本」
「…君に迷惑をかけるのは申し訳ないと思う。でも、人に見えないものが見えることで、誰かの役にたったことなんて、今までなかったんだ。…だから、」
「自分の力を使って誰かを助けたい、ってところか。いいぜ、つきあってやる、君のその奉仕の精神がなけりゃ俺は未だに鎖に繋がれたままだろうしな」
「…ありがとう。でもね、当たり前のように一緒に来てもらおうとしてるけど…、嫌だったり怖かったりしたらついてこないでもいいんだよ?」
「いや全くそんなことはないけど…」
彼は、キョトンとした目をこちらに向けた。
「…ありがとう、頼もしいね」
僕は、携帯電話を取り出し、「鬼退治に関わられる関係者各位」と書かれたメールに、「可」と記入して、返信した。
自分の部屋のベッドの上で横になり、僕は、今日の出来事を反芻した。
「何考えているんだ?鬼退治の事か?」
用心棒の彼が、再び僕の部屋の物を物色しながら尋ねてきた。
「…応じるべきかな?」
「…俺はあんまり戦いたくないからそんなに気が乗らない」
「『可能性は少ないけど、戦闘に巻き込まれる場合も起こりうる』って言ってたしね…」
「…西の方の島に鬼がいて、そいつらのせいで異変が生じてるんだっけか」
「よくわかんなかったけどそうらしい」
「…というか、今時鬼なんているんだな。俺が生きていた時でも鬼なんてほとんど見なかったぞ」
「…君が生きてたのって、どのぐらい前なんだい?」
「…まあ、大昔だね」
そう言うと彼は何故かそっぽを向いて、ベランダのガラス製の風鈴に目を向けた。
「…ねえ、そういえば、ずっと気になってたんだけど、君の名前、なんていうんだい?」
「…俺の名前?知る必要なんてないだろ」
「…いやだって、名前知らんと不便じゃん」
「…そういう君は、なんて名前なんだ?山本っていう苗字だけは知れたけど」
「…君が言ってくれるまで言わない」
「なんだそれ」
「お互い様だよ」
ポケットの中から、携帯電話のバイブ音が聞こえた。
今日の市場で遭った、鬼灯六郎からメールが届いている。
『急かすようで悪いけど18日までに参加の可否を教えてくれると嬉しい』という旨が書いてあった。
…決めた。
「…参加したい。だから、君にも、僕と一緒についてきてほしい」
「…山本」
「…君に迷惑をかけるのは申し訳ないと思う。でも、人に見えないものが見えることで、誰かの役にたったことなんて、今までなかったんだ。…だから、」
「自分の力を使って誰かを助けたい、ってところか。いいぜ、つきあってやる、君のその奉仕の精神がなけりゃ俺は未だに鎖に繋がれたままだろうしな」
「…ありがとう。でもね、当たり前のように一緒に来てもらおうとしてるけど…、嫌だったり怖かったりしたらついてこないでもいいんだよ?」
「いや全くそんなことはないけど…」
彼は、キョトンとした目をこちらに向けた。
「…ありがとう、頼もしいね」
僕は、携帯電話を取り出し、「鬼退治に関わられる関係者各位」と書かれたメールに、「可」と記入して、返信した。
0
あなたにおすすめの小説
告白ごっこ
みなみ ゆうき
BL
ある事情から極力目立たず地味にひっそりと学園生活を送っていた瑠衣(るい)。
ある日偶然に自分をターゲットに告白という名の罰ゲームが行われることを知ってしまう。それを実行することになったのは学園の人気者で同級生の昴流(すばる)。
更に1ヶ月以内に昴流が瑠衣を口説き落とし好きだと言わせることが出来るかということを新しい賭けにしようとしている事に憤りを覚えた瑠衣は一計を案じ、自分の方から先に告白をし、その直後に全てを知っていると種明かしをすることで、早々に馬鹿げたゲームに決着をつけてやろうと考える。しかし、この告白が原因で事態は瑠衣の想定とは違った方向に動きだし……。
テンプレの罰ゲーム告白ものです。
表紙イラストは、かさしま様より描いていただきました!
ムーンライトノベルズでも同時公開。
平凡ワンコ系が憧れの幼なじみにめちゃくちゃにされちゃう話(小説版)
優狗レエス
BL
Ultra∞maniacの続きです。短編連作になっています。
本編とちがってキャラクターそれぞれ一人称の小説です。
邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ
零
BL
鍛えられた肉体、高潔な魂――
それは選ばれし“供物”の条件。
山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。
見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。
誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。
心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
全寮制男子校でモテモテ。親衛隊がいる俺の話
みき
BL
全寮制男子校でモテモテな男の子の話。 BL 総受け 高校生 親衛隊 王道 学園 ヤンデレ 溺愛 完全自己満小説です。
数年前に書いた作品で、めちゃくちゃ中途半端なところ(第4話)で終わります。実験的公開作品
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる