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第1話 その職場との出会いから就職まで。

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 ある年、私は仕事を探していた。
 運悪く不景気の波にのまれ、中々仕事が決まらないでいた。
 面接を受けてはお断りされる、そんな日々が続き、私はかなり焦っていた。

 そんな時、ある一つの求人に出会った。
 それはとある個人病院の職員募集だった。
 個人が経営する職場…そういう所は初めてだ。
 少し不安はあったが、もうその頃には面接を受けることに疲れてきていて、採用を頂ければもうどこでもいい、という気持ちの方が強かった。

※※※

 そして面接当日。
 私を面接して下さったのは、そこの病院の奥さんだった。
 先生は患者かんじゃさんの診療中だから、奥さんが対応してくれたのかな…と思った。
 奥さんは笑顔が素敵で、とても優しそうな方だった。
 面接を行った場所は、待合室の一画だった。

 面接が始まって3分程した時、私の隣に1人の男性が座った。
 Tシャツにジャージ姿…患者さんかな?でもやけに近くに座るな、何だろ?
 しかし面接中なので、あまりそちらを気にするわけにいかない。
 
 そして一通り面接を終えた時、奥さんがこう言った。
「実はね、先に面接した人に採用の連絡を入れてしまって…今回は無理かもしれない。」
 ああ、お断わりか…また、一からスタートか、そう思った時だった。
「その子、、採用さいようしてあげな。」
 私の横に居た男の人が一言、そう言った。
「分かった。○○さんがそう言うなら、そうする。じゃあ、いつから来て欲しいかは、また電話連絡するね。」

 急転直下きゅうてんちょっか、その男の人の一言で、私は採用されたのだ。
 しかし、この私服の男性は、一体誰なんだろう…どうしてそんな影響力えいきょうりょくがあるんだろう…?
 私は採用された喜びを感じつつ、そんな疑問を抱いていた-。



 
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