インフィニティ・オンライン～ネタ職「商人」を選んだもふもふワンコは金の力(銭投げ)で無双する～

第2章

第36話【アキンドーの実力】

「なにこれウケる。名前もショーニンに対してアキンドーって」
「きゃー！　白いショーニンですわ！　素敵ですわ！！」
「わはは！　これは面白いな。運営も粋なことを思いつく！」

　それぞれ好き勝手言っているが、俺は全く別のことを考えていた。
　見た目は完全に俺だ。ならばスキルやステータスは？

　アキンドーの頭の上に目をやる。
　そこには何・も・表・示・さ・れ・て・い・な・か・っ・た・。

　名前が【アキンドー】だということも、ここに来る間に出会ったNPCから聞いたから知っているだけ。
　知識が高いと情報を知ることができるというのは、実は相対的な問題らしい。

　相手より高ければそれに応じて様々な情報が見えるが、同じだと名前すら見れないんだとか。
　以前ロキにも言われたが、普通は俺ほどなんでも見えるってことなんて無い。

　今回初めてパーティを組んだ三人も面白そうに色々と教えてくれたが、今の現状を考えると、少なくとも目の前の敵は、俺と同等以上の知識を持ってるってことだ。
　そう考えると、おそらく見た目じゃなく、ステータスも俺をトレースしてると考えるのが普通だろう。

「なぁ。キャップ解放ボスのレベルって他の職業だとどのくらいなんだ？」
「詳しくは知らないけど、なんか掲示板で見かけたのは60だって。普通はキャップレベルより高いのに珍しいって少しだけ賑わってたよ」

　つまり今の俺と全く一緒ってことか。
　勘弁してくれよ……自分で言うのもなんだけど、俺を倒すのなんてほぼ無理だろ。

　ダンジョンクリア報酬で得た装飾品のおかげで、俺は防御よりもHP重視の装備にしている。
　防御無視の固定ダメージを与える【銭投げ】が主体の俺には、はっきり言って相性が悪い。

　しかもプレイヤーからの嫌がらせを受けていた際に、受けたダメージを反射する効果を装備に付けている。
　下手に攻撃したらカウンターでこっちが大ダメージを受けるって寸法だ。

「これ……絶対運営の嫌がらせだろ……」

　近付かないと攻撃を仕掛けてこないようで、話している間も【アキンドー】は動かずに佇んでいるだけ。
　倒さないとレベル上げもろくに出来ないのだから、ひとまず事前にかけられるバフなどをかけてもらう。

　試しに気を逸らすことが可能なのか確認するために、相手の近くに【金にものを言わせる】を使ってみた。
　任意の場所に音を発生させるコインを起き、モンスターのターゲットを取るスキルだ。

『儲かりまっか？　ぼちぼちでんなー！』

　コインが話すと、今までこっちを向いていた【アキンドー】はすぐ横に現れたコインに向かって【銭投げ】を放った。
　その結果に俺は驚く。

　今まで何度となくモンスターが出現したコインに向かって攻撃するのを見たことがある。
　表示は全て0、コインは破壊できないと勝手に思い込んでた。

　しかし【銭投げ】を食らったコインの上にダメージを示す5桁の数字が二・回・表示された。
　そしてコインは消滅する。

　効果時間は長めに一分も取っていたから、明らかに早すぎる。
　自分の使うスキルだが、マジで強すぎだろ防御無視の固定ダメージ！

「こいつ洒落になんないぞ。相手の線上に二人以上並ぶな！　貫通も多分持ってるぞ！」
「おい。なんだよ今のダメージ。洒落にならんぞ……」

　トンヌラがコインが受けたダメージを見て、心底嫌そうな顔を見せる。
　モンスターなら桁がもうひとつ上なはずだから、コインもプレイヤー判定なんだろうな。

　ひとまず二回攻撃を使ってきてるってことは、幸い広範囲全体魔法の【ヘルフレイム】は使ってこないってことだな。
　さすがに俺を一撃ってことは無いだろうが、他の三人は一撃死があるからそれは良かった。

　と、思ってたら目の前にいきなり白い俺が二人に増えた。
　【ドッペルゲンガー】、自分と全く同じ性能のキャラを発生させ、直後の行動を繰り返させるスキルだ。

　しかし、使った後は瀕死になる諸刃のスキルで、ここぞと行った時しか使い道が難しい。
　まぁ、俺の場合は【金を食う】があるから問題ないんだが。

「ミーシャ！　でかいの来るぞ！　俺以外食らったら蘇生薬使えるよう準備して！」
「りょーかい！！」

　叫んだ瞬間、辺りに炎に包まれた。
　この空間の広さはせいぜい20畳程度の正方形、つまり中心にいる【アキンドー】から半径10メートルを灼熱の炎を発生させる【ヘルフレイム】から逃れる術はない。

「きゃあああああ！」
「うそっ！　無理よこんなん！！」
「ぐあぁぁぁぁぁ！！」

　三人も炎に焼かれ、恐ろしいほどのダメージを受ける。
　知識が俺ほど高くない三人は【ドッペルゲンガー】の追撃を食らうまでもなく床を舐める。

　一方の俺も少なくないダメージを受け、かなりのダメージを受けた。
　炎が消えるまでの間、俺は取るべき行動を迷う。

　相手はスキルの効果で瀕死のはずだが、予想外の出来事に行動が遅れた俺の攻撃が当たる前に既に【金を食う】で回復している可能性が高い。
　だから取るべき行動は俺自身を回復させるか、仲間を復活させるかのどちらかだ。

　どっちも一長一短、敵対してみて俺の凄さを改めて思い知らされる。
　自分を褒めてる場合じゃないな、さっさとどっちにするか決めなくては。

「は……？」

　焦ってた俺は間抜けな声を上げてしまった。
　炎が消えると、視界に現れた【アキンドー】はポリゴンになって消えてしまった。

　どうやら、瀕死になったすぐ後に俺のカウンターのダメージを受けて、倒れたらしい。
　結果だけ見れば間抜けだが、正直あれを普通のプレイヤーが耐え切るのは不可能だろう。

　カウンターだって普通は持ってない。
　まさにたまたま運が良かったと言っていい勝利だった。

　まぁ、勝ちは勝ちだ。
　ありがたくもらっておこう。

　ダンジョンクリアのおかげで生き返った三人も微妙な顔をしているが、俺のせいじゃないからな。
　ひとまずこれでクエストクリアだ、先へ進むぞ。

☆☆☆

【無限】インフィニティ・オンライン攻略【アップデート】Part48

254名無しさんファイト
商人オワコン、ワロタwwww

255名無しさんファイト
>>254
くやしく

256名無しさんファイト
ショーニンに憧れて商人で始めたんだが、
キャップクエストのボスが鬼畜過ぎるw

257名無しさんファイト
>>256
ちゃんと>>255のコメ読んでやれよ

258名無しさんファイト
あ、すまん
商人なんて無理だぁぁぁぁ！
ちくしょおおおぉぉぉぉぉ！！

259名無しさんファイト
>>258
もっとくやしく

260名無しさんファイト
うおあぁぁぁぁ！
商人なんてオワコンだぁぁぁ！！
無理だァァァァァ！！！
こんちくしょーーーーーー！！

261名無しさんファイト
話が進まんさっさと詳しく

262名無しさんファイト
いや、キャップクエストのボスが、例のショーニンの見た目なんだけど
性能も同じらしく炎に焼かれて死ぬwwww
それに耐えても、HPを全回復する鬼畜仕様
無理だろこれwwww

263名無しさんファイト
ショーニン潰しに来たか
運営も考えたな
自分が自分に勝てないってのなら文句言えんもんな

264名無しさんファイト
てかショーニンって引退したんじゃねぇの？
全然見ないけど

265名無しさんファイト
>>264
この前復帰したらしいぞ
動画載ってた
まぁ、最近は掲示板でもその名前出ること無かったな

266名無しさんファイト
待たせたな
ショーニンだ
俺に会えずに寂しかったか？
うん？

267名無しさんファイト
この流れ久々に見たなwwww