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番外編【外に出掛けましょう!】5実家に戻る
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「暇だあ」
大鷹さんに実家に帰ることを宣言して、実際に実家に戻ったのだが。
「だったら、家の手伝いくらいしなさい!洗濯とか、掃除とか」
「それはしたくないんだなあ」
実家に戻ったはいいが、やることがなく手持ち無沙汰だ。スマホは当然手元にあるが、無料漫画は読める話数に限界があるし、現在、小説投稿サイトでの無料で読める小説で追っているものは無い。
「まあ、ゲームでもしようかな。期間限定の鍛刀ガチャのキャラがまだ手に入っていないし」
それにしても、実家に居るとかなり楽ちんだ。家事は母親がやってくれるので、洗濯も掃除もしなくていい。さらにはご飯も作ってくれる。さすがにいつまでも実家にいては申し訳ないが、たまに息抜きで帰ってくる場所があるのは大いに助かっている。
実家の自室のベッドでゴロゴロしながら、刀剣の擬人化ゲームを開いてみる。そこには刀剣が擬人化したという、イケメンな男士が画面に映っていた。
「はあ、イケメンを見ると、癒されるなあ。ああ、グリムだってイケメンだよ」
急にタオルケットが引っ張られてベッドの下を見ると、口にタオルケットを加えたグリーンイグアナのグリムがいた。
「グリムがいたら、もしかしたら出るかも……」
この三連休で期間限定の鍛刀ガチャのイベントは終了する。なんとしてでも手に入れたいのだが、これが毎日やっているがなかなか鍛刀しなくて困っていた。
ベッドから下りて、床にクッションを敷く。グリムを自分の膝の間に引き寄せると、すり寄るように甘えてくる。なんとも可愛らしい行動である。
「さて、やってみますか」
時間は土曜日の午前10時。実家でも自分の家でもやっていることは変わらない。午前中いっぱい、私はグリムのそばで鍛刀ガチャをしながら、イベントの貝集めに勤しんでいた。
しかし、グリム効果はなく結果は惨敗に終わった。
「そうだ、お母さん。今、近くの美術館で刀剣とのコラボイベントをやっているんだけど、一緒に行かない?」
午前中をゲームに費やし、お昼ご飯が出来たという母親の言葉で一階に降りていく。なんとも自堕落な休日の過ごし方だろう。たまにはこういう日があってもいいと思う。
昼食はそうめんだった。夏の暑い時期にぴったりだ。外は猛暑の35超え。外に出る気にもならない。まあ、私の場合はたとえお出かけ日和だったとしても、家から出ないのだが。
とはいえ、せっかくの休日なので、館内が涼しい美術館ぐらいなら行ってもいいのかなと思った。ちょうどネットの海を漂っていたら、美術館コラボの宣伝を見つけた。
「そうなの?美術館なら暑くもないし、一緒に行ってもいいけど、お父さんはどうする?」
「私は遠慮しておくよ。おもしろかったら、じぶんひとりで行ってみる」
両親はすでに定年退職をしていて、父親は再雇用で週に2~3回ほど会社で働いている。母親はパートの仕事を辞めてこちらは新たな仕事はしていない。
「ていうか、私なんかと行かないで、大鷹さんと言ったらいいんじゃないの?大鷹さんは紗々が好きなゲームを知っているんでしょう?」
「ま、まあ知ってはいるけど……」
「また喧嘩でもしたの?」
喧嘩ではない、と思う。だからと言って、私から誘ってどこか行こうとは言い出せない。そもそも、私が実家に帰ります宣言をしたのだ。そんな私が実家から「一緒に出掛けよう」と誘うなどできない。
「夫婦の問題に口出ししても仕方ないから、これ以上は言わないけど。それで、行くのは良いけど、混みそうだから明日にしない?」
「確かにこの炎天下の中、外に出るのは危険だ」
リビングから見えるのは雲一つない青空だ。エアコンが入らない家の廊下でさえ熱いのだから、家から一歩出た外は地獄だろう。
今日一日は実家で過ごすことにして、私は明日の予定に心躍らせながら、ダラダラと残りの半日を過ごすのだった。
次の日、私の提案で母と私は隣の市にある美術館に向かった。次の日も昨日と同じく雲一つない快晴だった。混雑するということを踏まえて、私たちは美術館がはじまる開館時間に合わせてやってきた。午前10時から開館ということで、9時50分ごろ駐車場に到着したが、既に駐車場には半分くらいが埋まっていた。
母親と一緒だと何かと楽だ。私は車の運転免許こそ持っているが、基本的に会社と仕事の往復にしか使っていない。そもそも、引きこもり体質のせいで高速道路を運転した経験が一度か二度しかない。反対に母親は運転が好きで車の運転は自分がしたいというほどだ。
なので、母親と出かけるときは車の運転は任せることにしている。親孝行していない自覚はあるが、それは無視しておく。
「外に出るだけで暑すぎる……」
車を出ると、灼熱の太陽が私たちを出迎える。家を出るときも思ったが、これは確か外出が危険なレベルの暑さである。とはいえ、もう目的地に着いたのだから、美術館まで歩いていくしかない。私たちは日傘をさして、駐車場から美術館まで向かった。
美術館は休日ということもあり、混雑していた。ゲームのコラボと同時にドラマの企画展も行われていたのが原因だろう。美術館の中には、ドラマに出演している俳優のパネルとゲームのキャラクターのパネルが同じ場所に置かれていた。
当然、私のお目当ては刀剣の方なので、母親に私と刀剣男士のパネルのみの写真を撮ってもらった。
「暑い日はこういう、涼しい場所にしか来れないわあ」
「本当にそうね」
写真を撮り、私たちは受付でチケットを二枚購入する。さすがに誘ったのが私だったので入館料は私が支払った。
展示物はなかなかに見ごたえがあった。お目立ての刀剣は国宝級のモノで、見ても大したことがわからない私でも、きれいだなと思わせるものがあった。
「今回は2振りが展示されているかと思ったけど、1振りしかなかった……」
どうやら、展示期間中に展示物の入れ替えがあるようで、コラボしている刀のうち、1つが展示されていなかった。とはいえ、久しぶりの美術館は大いに楽しめたので満足だった。
日本史については詳しくはないが、それなりに楽しんだ私たちは、美術館併設のレストランで昼食を取り、実家に戻った。
「で、でたあああああああ!」
実家に戻り、昨日と同じように自室でグリムのそばで刀剣のゲームをしていたら、ようやく念願の鍛刀キャラが顕現した。待ちに待った権限に思わず大声を出してしまう。近くにいたグリムを驚かせてしまったが、期間内に出たのだから声ぐらい大目に見て欲しい。実はすでにこのガチャのために諭吉を使っているのだ。出てもらわないとわりに合わない。
こうして、私は美術館への来訪とゲームの鍛刀ガチャの戦果を得て夕方、大鷹さんと暮らす自分の家に帰った。外出もしたし、私的には充実した休日だったと言えよう。
大鷹さんに実家に帰ることを宣言して、実際に実家に戻ったのだが。
「だったら、家の手伝いくらいしなさい!洗濯とか、掃除とか」
「それはしたくないんだなあ」
実家に戻ったはいいが、やることがなく手持ち無沙汰だ。スマホは当然手元にあるが、無料漫画は読める話数に限界があるし、現在、小説投稿サイトでの無料で読める小説で追っているものは無い。
「まあ、ゲームでもしようかな。期間限定の鍛刀ガチャのキャラがまだ手に入っていないし」
それにしても、実家に居るとかなり楽ちんだ。家事は母親がやってくれるので、洗濯も掃除もしなくていい。さらにはご飯も作ってくれる。さすがにいつまでも実家にいては申し訳ないが、たまに息抜きで帰ってくる場所があるのは大いに助かっている。
実家の自室のベッドでゴロゴロしながら、刀剣の擬人化ゲームを開いてみる。そこには刀剣が擬人化したという、イケメンな男士が画面に映っていた。
「はあ、イケメンを見ると、癒されるなあ。ああ、グリムだってイケメンだよ」
急にタオルケットが引っ張られてベッドの下を見ると、口にタオルケットを加えたグリーンイグアナのグリムがいた。
「グリムがいたら、もしかしたら出るかも……」
この三連休で期間限定の鍛刀ガチャのイベントは終了する。なんとしてでも手に入れたいのだが、これが毎日やっているがなかなか鍛刀しなくて困っていた。
ベッドから下りて、床にクッションを敷く。グリムを自分の膝の間に引き寄せると、すり寄るように甘えてくる。なんとも可愛らしい行動である。
「さて、やってみますか」
時間は土曜日の午前10時。実家でも自分の家でもやっていることは変わらない。午前中いっぱい、私はグリムのそばで鍛刀ガチャをしながら、イベントの貝集めに勤しんでいた。
しかし、グリム効果はなく結果は惨敗に終わった。
「そうだ、お母さん。今、近くの美術館で刀剣とのコラボイベントをやっているんだけど、一緒に行かない?」
午前中をゲームに費やし、お昼ご飯が出来たという母親の言葉で一階に降りていく。なんとも自堕落な休日の過ごし方だろう。たまにはこういう日があってもいいと思う。
昼食はそうめんだった。夏の暑い時期にぴったりだ。外は猛暑の35超え。外に出る気にもならない。まあ、私の場合はたとえお出かけ日和だったとしても、家から出ないのだが。
とはいえ、せっかくの休日なので、館内が涼しい美術館ぐらいなら行ってもいいのかなと思った。ちょうどネットの海を漂っていたら、美術館コラボの宣伝を見つけた。
「そうなの?美術館なら暑くもないし、一緒に行ってもいいけど、お父さんはどうする?」
「私は遠慮しておくよ。おもしろかったら、じぶんひとりで行ってみる」
両親はすでに定年退職をしていて、父親は再雇用で週に2~3回ほど会社で働いている。母親はパートの仕事を辞めてこちらは新たな仕事はしていない。
「ていうか、私なんかと行かないで、大鷹さんと言ったらいいんじゃないの?大鷹さんは紗々が好きなゲームを知っているんでしょう?」
「ま、まあ知ってはいるけど……」
「また喧嘩でもしたの?」
喧嘩ではない、と思う。だからと言って、私から誘ってどこか行こうとは言い出せない。そもそも、私が実家に帰ります宣言をしたのだ。そんな私が実家から「一緒に出掛けよう」と誘うなどできない。
「夫婦の問題に口出ししても仕方ないから、これ以上は言わないけど。それで、行くのは良いけど、混みそうだから明日にしない?」
「確かにこの炎天下の中、外に出るのは危険だ」
リビングから見えるのは雲一つない青空だ。エアコンが入らない家の廊下でさえ熱いのだから、家から一歩出た外は地獄だろう。
今日一日は実家で過ごすことにして、私は明日の予定に心躍らせながら、ダラダラと残りの半日を過ごすのだった。
次の日、私の提案で母と私は隣の市にある美術館に向かった。次の日も昨日と同じく雲一つない快晴だった。混雑するということを踏まえて、私たちは美術館がはじまる開館時間に合わせてやってきた。午前10時から開館ということで、9時50分ごろ駐車場に到着したが、既に駐車場には半分くらいが埋まっていた。
母親と一緒だと何かと楽だ。私は車の運転免許こそ持っているが、基本的に会社と仕事の往復にしか使っていない。そもそも、引きこもり体質のせいで高速道路を運転した経験が一度か二度しかない。反対に母親は運転が好きで車の運転は自分がしたいというほどだ。
なので、母親と出かけるときは車の運転は任せることにしている。親孝行していない自覚はあるが、それは無視しておく。
「外に出るだけで暑すぎる……」
車を出ると、灼熱の太陽が私たちを出迎える。家を出るときも思ったが、これは確か外出が危険なレベルの暑さである。とはいえ、もう目的地に着いたのだから、美術館まで歩いていくしかない。私たちは日傘をさして、駐車場から美術館まで向かった。
美術館は休日ということもあり、混雑していた。ゲームのコラボと同時にドラマの企画展も行われていたのが原因だろう。美術館の中には、ドラマに出演している俳優のパネルとゲームのキャラクターのパネルが同じ場所に置かれていた。
当然、私のお目当ては刀剣の方なので、母親に私と刀剣男士のパネルのみの写真を撮ってもらった。
「暑い日はこういう、涼しい場所にしか来れないわあ」
「本当にそうね」
写真を撮り、私たちは受付でチケットを二枚購入する。さすがに誘ったのが私だったので入館料は私が支払った。
展示物はなかなかに見ごたえがあった。お目立ての刀剣は国宝級のモノで、見ても大したことがわからない私でも、きれいだなと思わせるものがあった。
「今回は2振りが展示されているかと思ったけど、1振りしかなかった……」
どうやら、展示期間中に展示物の入れ替えがあるようで、コラボしている刀のうち、1つが展示されていなかった。とはいえ、久しぶりの美術館は大いに楽しめたので満足だった。
日本史については詳しくはないが、それなりに楽しんだ私たちは、美術館併設のレストランで昼食を取り、実家に戻った。
「で、でたあああああああ!」
実家に戻り、昨日と同じように自室でグリムのそばで刀剣のゲームをしていたら、ようやく念願の鍛刀キャラが顕現した。待ちに待った権限に思わず大声を出してしまう。近くにいたグリムを驚かせてしまったが、期間内に出たのだから声ぐらい大目に見て欲しい。実はすでにこのガチャのために諭吉を使っているのだ。出てもらわないとわりに合わない。
こうして、私は美術館への来訪とゲームの鍛刀ガチャの戦果を得て夕方、大鷹さんと暮らす自分の家に帰った。外出もしたし、私的には充実した休日だったと言えよう。
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