99 / 234
番外編【GWの過ごし方】4浮気案件
しおりを挟む
「私服は相変わらず派手なんですね……」
「前も言ったと思いますが、今私の中でピンクが流行っているんです。だから、服も靴もカバンもメイクも何もかもピンクにしないと気が済まないんです!」
「はあ」
目に痛いショッキングピンクのワンピースの河合さんと一緒に店内に入っていく。予約していたのですぐに席に案内される。昨日見たHPの内装と同じでソファがあり、店内は広々としてゆったりとくつろげそうだ。席のソファに座ってすぐに河合さんはメニュー表を広げた。
「なに注文しますか?私はいつも、本日のおすすめのランチセットを頼みますけど……。今日は明太子パスタがメインですね。それとサラダとパン、スープがついています」
「明太子はちょっと苦手なので、こちらのキノコのカルボナーラにします」
「わかりました。飲み物はどうします?私はアイスコーヒーを頼もうかと」
「じゃあ、私はアイスティーで」
「すいませーん」
偶然かどうかはわからないが、河合さんは明太子というピンク色の食べ物を注文していた。ここまでくると、いっそ尊敬してしまうほどの徹底ぶりだ。
店員に注文を終えると、河合さんは改めて私と向きなおる。そして、真剣な瞳で私を見つめてくる。あまりにもじっと見つめられるので、思わず身構えてしまう。せっかく休日に一緒にランチにきたというのに、和やかな雰囲気は一気になくなってしまった。
「先輩、GWはどういう風に過ごしました?」
「エエト?」
「私は高校と大学の友達と一緒にランチしたり、友達の家に遊びに行ったりしました。あとは、好きな声優のライブにも行きました。先輩は?」
何か深刻な悩みでも打ち明けられるのかと思いきや、休みの過ごし方を聞かれてしまった。私が答えないのをみかねて、河合さん自ら先に休みの過ごし方を話し始める。これは、新手のいじめだろうか。
確かに私は休日引きこもりのコミュ障で腐女子であるが、わざわざそんな私の前で友達と遊んだことを自慢しないで欲しい。
「もしかして、せっかくの長期休暇を何もせず、家でごろごろしていただけなんてこと、ありませんよね?」
「いや、休みの過ごし方は人それぞれでしょう?河合さんにバカにされるいわれはないと思うけど」
「いやいや、私は先輩のことを心配しているんですよ」
「心配?」
「はい、私、見ちゃったんです。おおたかっちが、見知ら女性と二人きりで歩いているところを……」
「はあ」
もったいぶって話し出した内容にあきれてため息が出てしまう。そんな、典型的な浮気案件、あるいは誤解案件に引っかかる私ではない。大鷹さんのことだ。歩いていてナンパされたか、元カノと会ってしまったかのどちらかだろう。河合さんが心配するようなことではない。
「先輩、私だって、おおたかっちが先輩のことをめちゃくちゃ好きなのは知っていますが、今回ばかりはわかりませんよ。実は……」
「ご注文の品をお持ちしました」
河合さんが神妙な顔で話を続けようとしたら、店員が料理を運んできた。浮気案件かどうかはいったん置いておくとして、大鷹さんの行動が気になったので、私は料理を食べながら河合さんの話を聞くことにした。
「前も言ったと思いますが、今私の中でピンクが流行っているんです。だから、服も靴もカバンもメイクも何もかもピンクにしないと気が済まないんです!」
「はあ」
目に痛いショッキングピンクのワンピースの河合さんと一緒に店内に入っていく。予約していたのですぐに席に案内される。昨日見たHPの内装と同じでソファがあり、店内は広々としてゆったりとくつろげそうだ。席のソファに座ってすぐに河合さんはメニュー表を広げた。
「なに注文しますか?私はいつも、本日のおすすめのランチセットを頼みますけど……。今日は明太子パスタがメインですね。それとサラダとパン、スープがついています」
「明太子はちょっと苦手なので、こちらのキノコのカルボナーラにします」
「わかりました。飲み物はどうします?私はアイスコーヒーを頼もうかと」
「じゃあ、私はアイスティーで」
「すいませーん」
偶然かどうかはわからないが、河合さんは明太子というピンク色の食べ物を注文していた。ここまでくると、いっそ尊敬してしまうほどの徹底ぶりだ。
店員に注文を終えると、河合さんは改めて私と向きなおる。そして、真剣な瞳で私を見つめてくる。あまりにもじっと見つめられるので、思わず身構えてしまう。せっかく休日に一緒にランチにきたというのに、和やかな雰囲気は一気になくなってしまった。
「先輩、GWはどういう風に過ごしました?」
「エエト?」
「私は高校と大学の友達と一緒にランチしたり、友達の家に遊びに行ったりしました。あとは、好きな声優のライブにも行きました。先輩は?」
何か深刻な悩みでも打ち明けられるのかと思いきや、休みの過ごし方を聞かれてしまった。私が答えないのをみかねて、河合さん自ら先に休みの過ごし方を話し始める。これは、新手のいじめだろうか。
確かに私は休日引きこもりのコミュ障で腐女子であるが、わざわざそんな私の前で友達と遊んだことを自慢しないで欲しい。
「もしかして、せっかくの長期休暇を何もせず、家でごろごろしていただけなんてこと、ありませんよね?」
「いや、休みの過ごし方は人それぞれでしょう?河合さんにバカにされるいわれはないと思うけど」
「いやいや、私は先輩のことを心配しているんですよ」
「心配?」
「はい、私、見ちゃったんです。おおたかっちが、見知ら女性と二人きりで歩いているところを……」
「はあ」
もったいぶって話し出した内容にあきれてため息が出てしまう。そんな、典型的な浮気案件、あるいは誤解案件に引っかかる私ではない。大鷹さんのことだ。歩いていてナンパされたか、元カノと会ってしまったかのどちらかだろう。河合さんが心配するようなことではない。
「先輩、私だって、おおたかっちが先輩のことをめちゃくちゃ好きなのは知っていますが、今回ばかりはわかりませんよ。実は……」
「ご注文の品をお持ちしました」
河合さんが神妙な顔で話を続けようとしたら、店員が料理を運んできた。浮気案件かどうかはいったん置いておくとして、大鷹さんの行動が気になったので、私は料理を食べながら河合さんの話を聞くことにした。
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
学園の美人三姉妹に告白して断られたけど、わたしが義妹になったら溺愛してくるようになった
白藍まこと
恋愛
主人公の花野明莉は、学園のアイドル 月森三姉妹を崇拝していた。
クールな長女の月森千夜、おっとり系な二女の月森日和、ポジティブ三女の月森華凛。
明莉は遠くからその姿を見守ることが出来れば満足だった。
しかし、その情熱を恋愛感情と捉えられたクラスメイトによって、明莉は月森三姉妹に告白を強いられてしまう。結果フラれて、クラスの居場所すらも失うことに。
そんな絶望に拍車をかけるように、親の再婚により明莉は月森三姉妹と一つ屋根の下で暮らす事になってしまう。義妹としてスタートした新生活は最悪な展開になると思われたが、徐々に明莉は三姉妹との距離を縮めていく。
三姉妹に溺愛されていく共同生活が始まろうとしていた。
※他サイトでも掲載中です。
身体だけの関係です‐三崎早月について‐
みのりすい
恋愛
「ボディタッチくらいするよね。女の子同士だもん」
三崎早月、15歳。小佐田未沙、14歳。
クラスメイトの二人は、お互いにタイプが違ったこともあり、ほとんど交流がなかった。
中学三年生の春、そんな二人の関係が、少しだけ、動き出す。
※百合作品として執筆しましたが、男性キャラクターも多数おり、BL要素、NL要素もございます。悪しからずご了承ください。また、軽度ですが性描写を含みます。
12/11 ”原田巴について”投稿開始。→12/13 別作品として投稿しました。ご迷惑をおかけします。
身体だけの関係です 原田巴について
https://www.alphapolis.co.jp/novel/711270795/734700789
作者ツイッター: twitter/minori_sui
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。
true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。
それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。
これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。
日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。
彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。
※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。
※内部進行完結済みです。毎日連載です。
日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる