98 / 234
番外編【GWの過ごし方】3服を新調する理由
しおりを挟む
次の日、私は河合さんとランチするために外出する支度をしていた。基本的に土日祝日の休日は、どこかに出掛ける時以外は化粧をすることはない。一日ぶりの化粧である。
「さすがにそろそろ私服を新調したほうがいいよなあ」
化粧をして部屋着から着替えようとしたとき、自分の私服事情にため息が出た。
私は自ら外出することが好きではない。旅行自体は嫌いではないが、計画するのは面倒くさいと思うタイプだ。友達も皆無なので、旅行と言えば家族が計画したものに乗っかる形で行くか、学校行事の修学旅行にしか行ったことがない。あとは、大鷹さんくらいだ。
旅行に行ったら、大抵写真を撮るだろう。そのため、出来る限りオシャレしたいものだ。しかし、最近旅行に出掛けないので服を新しく買う理由がなかった。そしてそのままずるずると月日が経過してしまった。仕事は銀行で支給された制服があって私服を気にする必要はない。仕事の行き帰りは、家と会社の往復か買い物くらいなのでおしゃれするほどではない。
つまり、新しい服を買っていない。
今日、河合さんと休日に会うということで初めて、自分の私服状況のやばさに気づいた。とはいえ、河合さんは私のダメさ加減を知っているので気にしなくていいのかもしれない。いや、気にする気にしない以前に新しく新調した服がないのだから、あるものを着ていくしかない。
仕方ないので、長そでの千鳥柄の長袖のブラウスにベージュのワイドパンツというTシャツ、ジーパンよりはましな格好で河合さんと会う事にした。ちなみに新調しなくてはいけないのは服だけではない。靴もカバンも新しいオシャレなものはない。
スニーカーに肩掛けバックをもって家を出た。天気はどんよりとした曇りで、雨ではなかったが、せっかく外に出たのに残念な天気だ。
昨日の夕方にようやく河合さんから連絡がきた。もしかしたら、ランチの話は河合さんの冗談だったのかとやきもきしていたので、連絡がきたときは心底ほっとした。
『明日のランチですけど、いくつか候補を出しておきました』
メッセージとともに、お店のURLが張り付けられたものが届いた。やはり彼女は今時の若者である。私の知らないオシャレなお店が並んでいた。
『こことかどうですか?椅子がソファで座り心地よさそうだし、店内が広そうで長く話せそうですよね?駐車場もありますよ。何回か行ったことがあるんですがおすすめです』
候補の中の一つが河合さんのおススメらしい。私にお店を選ぶセンスがあるとは思えない。河合さんおすすめのランチの店のURLをクリックして確認してみる。
確かに内装は彼女の言った通り、ソファが合って広そうだった。メニューも値段が良心的でおいしそうだ。
『河合さんがおすすめならそれでいいよ。何時からにする?』
私が返信すると、すぐに返事がきた。どうやら、河合さんはGW中だというのに、私に返信する暇があるらしい。
『では、11時にネットで予約を入れておきます』
目的地には11時5分前に到着した。駐車場はGWということもあって混みあっていたが、停められないほどではなかった。河合さんが到着しているか確認する方法は簡単だ。ピンクの派手な色の車を探せばよい。
「相変わらず、目に痛いショッキングピンク……」
仕事で使う駐車場で止まっている光景は見慣れてしまったが、他の駐車場で改めてみると、目立つ色である。
「先輩!こっちですよ!」
車に目をむけていたが、河合さんは既にカフェの入り口で私を待っていた。車だけでなく、彼女の今日の服装もショッピングピンクのワンピースだった。
「さすがにそろそろ私服を新調したほうがいいよなあ」
化粧をして部屋着から着替えようとしたとき、自分の私服事情にため息が出た。
私は自ら外出することが好きではない。旅行自体は嫌いではないが、計画するのは面倒くさいと思うタイプだ。友達も皆無なので、旅行と言えば家族が計画したものに乗っかる形で行くか、学校行事の修学旅行にしか行ったことがない。あとは、大鷹さんくらいだ。
旅行に行ったら、大抵写真を撮るだろう。そのため、出来る限りオシャレしたいものだ。しかし、最近旅行に出掛けないので服を新しく買う理由がなかった。そしてそのままずるずると月日が経過してしまった。仕事は銀行で支給された制服があって私服を気にする必要はない。仕事の行き帰りは、家と会社の往復か買い物くらいなのでおしゃれするほどではない。
つまり、新しい服を買っていない。
今日、河合さんと休日に会うということで初めて、自分の私服状況のやばさに気づいた。とはいえ、河合さんは私のダメさ加減を知っているので気にしなくていいのかもしれない。いや、気にする気にしない以前に新しく新調した服がないのだから、あるものを着ていくしかない。
仕方ないので、長そでの千鳥柄の長袖のブラウスにベージュのワイドパンツというTシャツ、ジーパンよりはましな格好で河合さんと会う事にした。ちなみに新調しなくてはいけないのは服だけではない。靴もカバンも新しいオシャレなものはない。
スニーカーに肩掛けバックをもって家を出た。天気はどんよりとした曇りで、雨ではなかったが、せっかく外に出たのに残念な天気だ。
昨日の夕方にようやく河合さんから連絡がきた。もしかしたら、ランチの話は河合さんの冗談だったのかとやきもきしていたので、連絡がきたときは心底ほっとした。
『明日のランチですけど、いくつか候補を出しておきました』
メッセージとともに、お店のURLが張り付けられたものが届いた。やはり彼女は今時の若者である。私の知らないオシャレなお店が並んでいた。
『こことかどうですか?椅子がソファで座り心地よさそうだし、店内が広そうで長く話せそうですよね?駐車場もありますよ。何回か行ったことがあるんですがおすすめです』
候補の中の一つが河合さんのおススメらしい。私にお店を選ぶセンスがあるとは思えない。河合さんおすすめのランチの店のURLをクリックして確認してみる。
確かに内装は彼女の言った通り、ソファが合って広そうだった。メニューも値段が良心的でおいしそうだ。
『河合さんがおすすめならそれでいいよ。何時からにする?』
私が返信すると、すぐに返事がきた。どうやら、河合さんはGW中だというのに、私に返信する暇があるらしい。
『では、11時にネットで予約を入れておきます』
目的地には11時5分前に到着した。駐車場はGWということもあって混みあっていたが、停められないほどではなかった。河合さんが到着しているか確認する方法は簡単だ。ピンクの派手な色の車を探せばよい。
「相変わらず、目に痛いショッキングピンク……」
仕事で使う駐車場で止まっている光景は見慣れてしまったが、他の駐車場で改めてみると、目立つ色である。
「先輩!こっちですよ!」
車に目をむけていたが、河合さんは既にカフェの入り口で私を待っていた。車だけでなく、彼女の今日の服装もショッピングピンクのワンピースだった。
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
学園の美人三姉妹に告白して断られたけど、わたしが義妹になったら溺愛してくるようになった
白藍まこと
恋愛
主人公の花野明莉は、学園のアイドル 月森三姉妹を崇拝していた。
クールな長女の月森千夜、おっとり系な二女の月森日和、ポジティブ三女の月森華凛。
明莉は遠くからその姿を見守ることが出来れば満足だった。
しかし、その情熱を恋愛感情と捉えられたクラスメイトによって、明莉は月森三姉妹に告白を強いられてしまう。結果フラれて、クラスの居場所すらも失うことに。
そんな絶望に拍車をかけるように、親の再婚により明莉は月森三姉妹と一つ屋根の下で暮らす事になってしまう。義妹としてスタートした新生活は最悪な展開になると思われたが、徐々に明莉は三姉妹との距離を縮めていく。
三姉妹に溺愛されていく共同生活が始まろうとしていた。
※他サイトでも掲載中です。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
身体だけの関係です‐三崎早月について‐
みのりすい
恋愛
「ボディタッチくらいするよね。女の子同士だもん」
三崎早月、15歳。小佐田未沙、14歳。
クラスメイトの二人は、お互いにタイプが違ったこともあり、ほとんど交流がなかった。
中学三年生の春、そんな二人の関係が、少しだけ、動き出す。
※百合作品として執筆しましたが、男性キャラクターも多数おり、BL要素、NL要素もございます。悪しからずご了承ください。また、軽度ですが性描写を含みます。
12/11 ”原田巴について”投稿開始。→12/13 別作品として投稿しました。ご迷惑をおかけします。
身体だけの関係です 原田巴について
https://www.alphapolis.co.jp/novel/711270795/734700789
作者ツイッター: twitter/minori_sui
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。
true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。
それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。
これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。
日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。
彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。
※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。
※内部進行完結済みです。毎日連載です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる