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番外編【GWの過ごし方】5それは面白そうですね
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「おおたかっちと謎の女性が二人きりで歩いているのを見たのは、GW初日のことでした……」
河合さんはその日のことを頭に思い浮かべるように、宙を見つめながら話し出す。どうやら、今回のランチは大鷹さんの浮気現場らしきものを私に話したいがために開催したようだ。せっかく会社の同僚と二人きりのランチで楽しいひと時を過ごせるかと思ったのに残念である。
大鷹さんは浮気などしないが、だからと言って女性と二人きりで会っていたのを人づてに聞くのは気分が良いものではない。
「某大手コーヒーチェーンで友達と一緒に新作の飲み物を飲んでいたところ、おおたかっちと例の女性が店に入ってきたんです。ここでおおたかったちに声をかけても良かったんですが、証拠をつかむためにはもう少し泳がせた方が良いと思って、そのまま様子を見ることにしました」
面倒なことになってきた。浮気の証拠をつかむのだったら現行犯でその場で大鷹さんを取り締まればよかったのではないか。そうすれば、浮気ではないとすぐに証明できただろう。勝手に様子なんて見守るからこじれていくのだ。
二次元の話には会話が足りずに誤解が生じて、恋人関係にあった二人の仲がこじれていくということがある。其れと今の状況がよく似ている。大事なことをお互いに伝えていない、もしくは確認しあっていないからおかしくなるのだ。
「その辺にしておきましょう。ほら、河合さんの分の料理が冷めてしまいますよ。今日はランチをしながら楽しく同僚トークをしに来たんですから。少しくらい私ともっと有意義な話をして盛り上がりましょう!」
「えええ!これだって十分有意義な話ですよ。私、浮気とかって許せないですけど、おおたかっちに限っていえば、浮気しないと思っています。だから、今回も事情があるなと踏んでいます」
「だったら、私に話す必要ないですよね……」
「浮気しないとわかっているからこそ、可能性を考えていきましょう!」
「可能性?」
河合さんは何を言い出すのか。浮気しないとわかっているのなら、可能性など考える必要もない。私の怪訝そうな顔を見て、河合さんは自分の言葉を補足する。
「だって、どうせ先輩はこの後、おおたかっちに誰と会っていたのか聞いてみるでしょう?おおたかっちは先輩に対して嘘をつけないと思うので正直に話す。そうしたら、浮気でないことがわかってしまう。これは浮気じゃないとわかるまでの遊びだと思ってくれれば」
「はあ」
面白いことを言いだすものだ。普通なら、夫の浮気などないほうがいいに決まっている。それなのにあえて、浮気の可能性を考えるなどおかしな話だ。それでも、浮気などしなさそうな大鷹さんが二人きりで女性と会っていた。これは確かにその女性との関係を想像したくなる。
「ほらほら、先輩も興味あるでしょ?とりあえず、食事を終えてからゆっくり議論していきましょう。ここはデザートもおいしいし、飲み物は追加で頼みますよ。こんなに面白い話はないから、今回は私のおごりにします!」
河合さんは自分の言いたいことを言えて満足したのか、一度グラスの水を飲んで、運ばれてきた明太子パスタを口に運ぶ。私もそれに倣って食事を再開する。
店内はGWの昼間ということもあり、混みだしていた。
河合さんはその日のことを頭に思い浮かべるように、宙を見つめながら話し出す。どうやら、今回のランチは大鷹さんの浮気現場らしきものを私に話したいがために開催したようだ。せっかく会社の同僚と二人きりのランチで楽しいひと時を過ごせるかと思ったのに残念である。
大鷹さんは浮気などしないが、だからと言って女性と二人きりで会っていたのを人づてに聞くのは気分が良いものではない。
「某大手コーヒーチェーンで友達と一緒に新作の飲み物を飲んでいたところ、おおたかっちと例の女性が店に入ってきたんです。ここでおおたかったちに声をかけても良かったんですが、証拠をつかむためにはもう少し泳がせた方が良いと思って、そのまま様子を見ることにしました」
面倒なことになってきた。浮気の証拠をつかむのだったら現行犯でその場で大鷹さんを取り締まればよかったのではないか。そうすれば、浮気ではないとすぐに証明できただろう。勝手に様子なんて見守るからこじれていくのだ。
二次元の話には会話が足りずに誤解が生じて、恋人関係にあった二人の仲がこじれていくということがある。其れと今の状況がよく似ている。大事なことをお互いに伝えていない、もしくは確認しあっていないからおかしくなるのだ。
「その辺にしておきましょう。ほら、河合さんの分の料理が冷めてしまいますよ。今日はランチをしながら楽しく同僚トークをしに来たんですから。少しくらい私ともっと有意義な話をして盛り上がりましょう!」
「えええ!これだって十分有意義な話ですよ。私、浮気とかって許せないですけど、おおたかっちに限っていえば、浮気しないと思っています。だから、今回も事情があるなと踏んでいます」
「だったら、私に話す必要ないですよね……」
「浮気しないとわかっているからこそ、可能性を考えていきましょう!」
「可能性?」
河合さんは何を言い出すのか。浮気しないとわかっているのなら、可能性など考える必要もない。私の怪訝そうな顔を見て、河合さんは自分の言葉を補足する。
「だって、どうせ先輩はこの後、おおたかっちに誰と会っていたのか聞いてみるでしょう?おおたかっちは先輩に対して嘘をつけないと思うので正直に話す。そうしたら、浮気でないことがわかってしまう。これは浮気じゃないとわかるまでの遊びだと思ってくれれば」
「はあ」
面白いことを言いだすものだ。普通なら、夫の浮気などないほうがいいに決まっている。それなのにあえて、浮気の可能性を考えるなどおかしな話だ。それでも、浮気などしなさそうな大鷹さんが二人きりで女性と会っていた。これは確かにその女性との関係を想像したくなる。
「ほらほら、先輩も興味あるでしょ?とりあえず、食事を終えてからゆっくり議論していきましょう。ここはデザートもおいしいし、飲み物は追加で頼みますよ。こんなに面白い話はないから、今回は私のおごりにします!」
河合さんは自分の言いたいことを言えて満足したのか、一度グラスの水を飲んで、運ばれてきた明太子パスタを口に運ぶ。私もそれに倣って食事を再開する。
店内はGWの昼間ということもあり、混みだしていた。
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