上 下
94 / 194

番外編【妄想】4大鷹視点で書いてみた

しおりを挟む
 僕は女性が苦手だ。女性は僕の容姿を見て突撃してくる。今までどれだけの女性が僕に言い寄ってきたことか。

「大鷹君って彼女いる?もしいなかったら」
「お断りします」

 いい加減、僕の事は放っておいて欲しい。世の中、僕よりもいい男は山ほどいると思う。彼女達は容姿に目がくらんで大事なことを見落としている。僕の近くにいる彼とかどうだろう。女子受けはしないだろうが、性格はよさそうだ。この前、落とし物を警察に届けているのを見たことがある。

「大鷹君って、君だよね?」

 食堂で昼食を取っていたら、女性に声をかけられた。僕にとっては日常の光景だ。今日だって、既に彼女の有無を問いかけてきた女性がいた。おちおちゆっくり昼食をとることもできない。

「ええと、教授がさ、君のことを探しているみたい。そんな嫌な顔しないで、本当だって。あそこに教授がいるでしょう?自分で声をかけるのが嫌で、私が頼まれちゃった。私、あの教授のゼミを取っているの。ほら、行ってあげなよ」

 女性が指さした方向には確かに教授がいた。彼が僕を探している理由は何だろう。

「あっ、忘れてた」

 そういえば、今日が締め切りのレポートがあった。

「よかった。じゃあ、私はこれで失礼するね」

「昼食は取りましたか?」

 つい、女性を引き止めてしまった。女性は驚いたように目を見開いていたが、にっこり微笑んで僕の正面の椅子に腰を下ろす。僕に突撃してくる女性とは違い、メイクも服もおとなしい感じだ。おとなしい女性は基本的に僕のような見た目の男に自ら声をかけてこない。自ら面倒ごとに関わりたくないのは当然だろう。

「大鷹君なら、一緒に食事してくれる人はたくさんいると思うけどなあ。まあいいよ。わたしまだお昼食べていないから」

 女性はカバンからお弁当を取り出して食べ始めた。僕は彼女の食事する様子を観察することにした。

 それが僕と紗々さんとの出会いである。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

セレナの居場所 ~下賜された側妃~

緑谷めい
恋愛
 後宮が廃され、国王エドガルドの側妃だったセレナは、ルーベン・アルファーロ侯爵に下賜された。自らの新たな居場所を作ろうと努力するセレナだったが、夫ルーベンの幼馴染だという伯爵家令嬢クラーラが頻繁に屋敷を訪れることに違和感を覚える。

後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~

菱沼あゆ
キャラ文芸
 突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。  洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。  天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。  洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。  中華後宮ラブコメディ。

五歳の時から、側にいた

田尾風香
恋愛
五歳。グレースは初めて国王の長男のグリフィンと出会った。 それからというもの、お互いにいがみ合いながらもグレースはグリフィンの側にいた。十六歳に婚約し、十九歳で結婚した。 グリフィンは、初めてグレースと会ってからずっとその姿を追い続けた。十九歳で結婚し、三十二歳で亡くして初めて、グリフィンはグレースへの想いに気付く。 前編グレース視点、後編グリフィン視点です。全二話。後編は来週木曜31日に投稿します。

子持ちの私は、夫に駆け落ちされました

月山 歩
恋愛
産まれたばかりの赤子を抱いた私は、砦に働きに行ったきり、帰って来ない夫を心配して、鍛錬場を訪れた。すると、夫の上司は夫が仕事中に駆け落ちしていなくなったことを教えてくれた。食べる物がなく、フラフラだった私は、その場で意識を失った。赤子を抱いた私を気の毒に思った公爵家でお世話になることに。

下っ端妃は逃げ出したい

都茉莉
キャラ文芸
新皇帝の即位、それは妃狩りの始まりーー 庶民がそれを逃れるすべなど、さっさと結婚してしまう以外なく、出遅れた少女は後宮で下っ端妃として過ごすことになる。 そんな鈍臭い妃の一人たる私は、偶然後宮から逃げ出す手がかりを発見する。その手がかりは府庫にあるらしいと知って、調べること数日。脱走用と思われる地図を発見した。 しかし、気が緩んだのか、年下の少女に見つかってしまう。そして、少女を見張るために共に過ごすことになったのだが、この少女、何か隠し事があるようで……

皇太子夫妻の歪んだ結婚 

夕鈴
恋愛
皇太子妃リーンは夫の秘密に気付いてしまった。 その秘密はリーンにとって許せないものだった。結婚1日目にして離縁を決意したリーンの夫婦生活の始まりだった。 本編完結してます。 番外編を更新中です。

裏切りの先にあるもの

マツユキ
恋愛
侯爵令嬢のセシルには幼い頃に王家が決めた婚約者がいた。 結婚式の日取りも決まり数か月後の挙式を楽しみにしていたセシル。ある日姉の部屋を訪ねると婚約者であるはずの人が姉と口づけをかわしている所に遭遇する。傷つくセシルだったが新たな出会いがセシルを幸せへと導いていく。

断る――――前にもそう言ったはずだ

鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」  結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。  周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。  けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。  他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。 (わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)  そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。  ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。  そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

処理中です...