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5秘密にしたいこと~男性の生態はよくわかりません③~
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「トントン。」
すぐに行動開始だ。大鷹さんの部屋をノックする。すぐにどうぞという返事があったので、遠慮なく入らせてもらう。そこには読書をしている大鷹さんの姿があった。
大鷹さんは今時珍しい、両目視力1.2の絶滅危惧種であり、メガネやコンタクトを使用する必要がない。むろん、私は二次元にしか興味がなく、かつ引きこもり体質なので、当然、メガネやコンタクトなどの視力補強がないと生活できないほどのド近眼だ。
メガネをかけている人に萌える「メガネ女子、男子」なるものの魅力がいまいち理解できなかったが、最近わかるようになった。確かに普段メガネを必要としていない大鷹さんが、メガネをかけている姿を見たいと思うことがある。これがメガネ萌えだろうか。。
そんなこんなで、今の大鷹さんはメガネをかけずに黙って読書をしていた。いかがわしい本でも読んでいれば、何かしらの冗談で会話をつなげることも可能だが、読んでいる本は小説であり、さらにはハードカバーで分厚いものだった。
「紗々さんが僕の部屋に用事があるのは珍しいですね。」
「大鷹さんはいったい何で抜いているのですか。」
「えっ。」
「だから、大鷹さんはいったい………。」
「わかりました。二度も同じことを言わないでください。」
もう一度、質問してみる。オカズの女性は巨乳か貧乳か、スレンダーかグラマラスか。熟女か幼女、少女か同年代か。いや、もしかしたら、男性という可能性も捨てきれない。否定はしているが、本当は男で抜いているという場合も考えられる。
「先ほどから何を言っているのか、いや、言葉の意味は理解できますが、質問の意図がわかりません。何か会社でありましたか。」
「私は、いたって大丈夫です。NLもBLでもいけます。ただし、GL(ガールズラブ)、百合ものはいまいち萌えませんので、オカズにはしませんね。」
「だから。」
「だから、大鷹さんのおすすめは何ですか。ああ、でもAVとかの三次元のものはダメです。どうも、生身は苦手みたいで、オススメの漫画やアニメはありますか。二次元なら大抵大丈夫だと思います。あ、でも、グロい系はダメです。」
どうしても話したくないというなら、こちらの情報を話すまで。「こちらが話したのだから、お前も話せよ」理論の発動である。さらに、秘策を発動するまでである。
「えいっ。」
大鷹さんはイスに座って本を読んでいた。今は、私に話しかけられたので、本を閉じて、私と向き合っている。本は膝の上に置いている。
本を取り上げて、近くのベッドに押し倒してみる。私の行動に驚いてなのか、反応は一瞬遅れて、大鷹さんと私は一緒にベッドに倒れこむ。
大鷹さんがベッドに横たわっている、そして私がその上に覆いかぶさっている。これは、なかなかな構図である。今度、BL小説のシチュエーションにでも使うとしよう。襲い受けだ。
「話してくれないなら、実力行使をするまでです。」
顔を覗き込むと、なぜか顔を真っ赤にした大鷹さんがいた。ふむ、何がそんなに恥ずかしいのか。
「いきなりこんなことされては心の準備が。でも、紗々さんがいいというなら、いただきます。」
いただきますとは、いったい何なのか。この襲い掛かられている状況でのセリフではない気がする。それに、そのセリフは、好きな人に襲いかかられて、「据え膳食わぬは男の恥」的な意味を持つセリフなはずだ。
「心の準備が必要なほど、やばいオカズがあるのですか。それから、いただきますという意味がわかりません。」
私が大鷹さんの言葉を問いただすと、素直に答えてくれた。
「オカズ、オカズといいますけど、僕にとってのオカズは紗々さんと出会ってからは決まっているでしょう。さ、」
「わかりました。それ以上は言わないで。」
最後まで言わせたら、こちらの顔も赤くなってしまう。いったいこの男は何を言い出すのだろうか。
「だって、それが聞きたかったのでしょう。紗々さんは僕を使ってくれたりはしないのですか。」
「いやいや、誰もそんな話はしていないでしょう。」
「でも、せっかく僕がいるのに、想像の中の僕がオカズだったら、それはそれでむなしい。」
急に自分の行動が恥ずかしくなってきて、慌てて大鷹さんから離れようとしたが、時すでに遅し。腕をつかまれてしまい、逃げることはかなわない。にっこりとほほ笑まれてしまっては、もうどうすることもできない。
「さて、普通、こうやって押し倒されたら、その後の行動は一つだけでしょう。『据え膳食わねば男の恥』です。」
「ぎゃー。」
その夜、とあるマンションの一室で、色気もない、ただの騒音である女性の声が響き渡るのだった。
私は自分の行動を後悔していた。幸い、大鷹さんは私と離婚したくないのか、最後まですることはなかった。それでも、一晩中、私に抱き着いたまま離してはくれなかった。なぜか、一緒に寝ようということになり、狭いベッドで一緒に眠る羽目になった。
「そういえば、私のことをオカズといったわりに、最後までしなくて大丈夫なのですか。」
夜中に、大鷹さんに抱き着かれたままの私はそんな疑問が頭をよぎり、大鷹さんに質問しようとしたが、当の本人はすでに寝息を立てていた。ぐっすりと睡眠中のようだ。私の声は独り言として、部屋に響き渡った。
他人が隣にいて、そこで一緒に寝るという体験は久しぶりだ。学生時代は修学旅行、小さい頃は家族と一緒に寝たことはあったが、それきりだ。
なんだか懐かしい気分になり、私も大鷹さんにつられてすぐに眠たくなって、寝てしまった。いつもなら、他人に抱き着かれでもしたら、鳥肌ものだが、今日はなんだか抱き着かれているところから伝わる体温が温かくて気持ちがいい。
私が寝息を立ててぐっすりと夢の中という頃に、大鷹さんはむくりと起き上がり、トイレに駆け込む姿があったことは、私は残念ながら知ることはなかった。
すぐに行動開始だ。大鷹さんの部屋をノックする。すぐにどうぞという返事があったので、遠慮なく入らせてもらう。そこには読書をしている大鷹さんの姿があった。
大鷹さんは今時珍しい、両目視力1.2の絶滅危惧種であり、メガネやコンタクトを使用する必要がない。むろん、私は二次元にしか興味がなく、かつ引きこもり体質なので、当然、メガネやコンタクトなどの視力補強がないと生活できないほどのド近眼だ。
メガネをかけている人に萌える「メガネ女子、男子」なるものの魅力がいまいち理解できなかったが、最近わかるようになった。確かに普段メガネを必要としていない大鷹さんが、メガネをかけている姿を見たいと思うことがある。これがメガネ萌えだろうか。。
そんなこんなで、今の大鷹さんはメガネをかけずに黙って読書をしていた。いかがわしい本でも読んでいれば、何かしらの冗談で会話をつなげることも可能だが、読んでいる本は小説であり、さらにはハードカバーで分厚いものだった。
「紗々さんが僕の部屋に用事があるのは珍しいですね。」
「大鷹さんはいったい何で抜いているのですか。」
「えっ。」
「だから、大鷹さんはいったい………。」
「わかりました。二度も同じことを言わないでください。」
もう一度、質問してみる。オカズの女性は巨乳か貧乳か、スレンダーかグラマラスか。熟女か幼女、少女か同年代か。いや、もしかしたら、男性という可能性も捨てきれない。否定はしているが、本当は男で抜いているという場合も考えられる。
「先ほどから何を言っているのか、いや、言葉の意味は理解できますが、質問の意図がわかりません。何か会社でありましたか。」
「私は、いたって大丈夫です。NLもBLでもいけます。ただし、GL(ガールズラブ)、百合ものはいまいち萌えませんので、オカズにはしませんね。」
「だから。」
「だから、大鷹さんのおすすめは何ですか。ああ、でもAVとかの三次元のものはダメです。どうも、生身は苦手みたいで、オススメの漫画やアニメはありますか。二次元なら大抵大丈夫だと思います。あ、でも、グロい系はダメです。」
どうしても話したくないというなら、こちらの情報を話すまで。「こちらが話したのだから、お前も話せよ」理論の発動である。さらに、秘策を発動するまでである。
「えいっ。」
大鷹さんはイスに座って本を読んでいた。今は、私に話しかけられたので、本を閉じて、私と向き合っている。本は膝の上に置いている。
本を取り上げて、近くのベッドに押し倒してみる。私の行動に驚いてなのか、反応は一瞬遅れて、大鷹さんと私は一緒にベッドに倒れこむ。
大鷹さんがベッドに横たわっている、そして私がその上に覆いかぶさっている。これは、なかなかな構図である。今度、BL小説のシチュエーションにでも使うとしよう。襲い受けだ。
「話してくれないなら、実力行使をするまでです。」
顔を覗き込むと、なぜか顔を真っ赤にした大鷹さんがいた。ふむ、何がそんなに恥ずかしいのか。
「いきなりこんなことされては心の準備が。でも、紗々さんがいいというなら、いただきます。」
いただきますとは、いったい何なのか。この襲い掛かられている状況でのセリフではない気がする。それに、そのセリフは、好きな人に襲いかかられて、「据え膳食わぬは男の恥」的な意味を持つセリフなはずだ。
「心の準備が必要なほど、やばいオカズがあるのですか。それから、いただきますという意味がわかりません。」
私が大鷹さんの言葉を問いただすと、素直に答えてくれた。
「オカズ、オカズといいますけど、僕にとってのオカズは紗々さんと出会ってからは決まっているでしょう。さ、」
「わかりました。それ以上は言わないで。」
最後まで言わせたら、こちらの顔も赤くなってしまう。いったいこの男は何を言い出すのだろうか。
「だって、それが聞きたかったのでしょう。紗々さんは僕を使ってくれたりはしないのですか。」
「いやいや、誰もそんな話はしていないでしょう。」
「でも、せっかく僕がいるのに、想像の中の僕がオカズだったら、それはそれでむなしい。」
急に自分の行動が恥ずかしくなってきて、慌てて大鷹さんから離れようとしたが、時すでに遅し。腕をつかまれてしまい、逃げることはかなわない。にっこりとほほ笑まれてしまっては、もうどうすることもできない。
「さて、普通、こうやって押し倒されたら、その後の行動は一つだけでしょう。『据え膳食わねば男の恥』です。」
「ぎゃー。」
その夜、とあるマンションの一室で、色気もない、ただの騒音である女性の声が響き渡るのだった。
私は自分の行動を後悔していた。幸い、大鷹さんは私と離婚したくないのか、最後まですることはなかった。それでも、一晩中、私に抱き着いたまま離してはくれなかった。なぜか、一緒に寝ようということになり、狭いベッドで一緒に眠る羽目になった。
「そういえば、私のことをオカズといったわりに、最後までしなくて大丈夫なのですか。」
夜中に、大鷹さんに抱き着かれたままの私はそんな疑問が頭をよぎり、大鷹さんに質問しようとしたが、当の本人はすでに寝息を立てていた。ぐっすりと睡眠中のようだ。私の声は独り言として、部屋に響き渡った。
他人が隣にいて、そこで一緒に寝るという体験は久しぶりだ。学生時代は修学旅行、小さい頃は家族と一緒に寝たことはあったが、それきりだ。
なんだか懐かしい気分になり、私も大鷹さんにつられてすぐに眠たくなって、寝てしまった。いつもなら、他人に抱き着かれでもしたら、鳥肌ものだが、今日はなんだか抱き着かれているところから伝わる体温が温かくて気持ちがいい。
私が寝息を立ててぐっすりと夢の中という頃に、大鷹さんはむくりと起き上がり、トイレに駆け込む姿があったことは、私は残念ながら知ることはなかった。
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