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初めての触れ合い
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外はまだ陽が高いはずなのに部屋が薄暗いのはカーテンが引かれているからか、覆いかぶさってきた武尊を受けとめながら周平はなぜかそんなことを考えていた。
耳朶をすりすりと撫でられ我が物顔で動く舌に翻弄されながら、このままではいけないと周平はカッと目を見開いた。
「武さん!」
「ん?」
歌舞伎役者のような切れ長の目はとろりと優しく細められ、するりと頬を撫でる手に絆されそうになってしまう。
「卒業アルバム見たい」
「…それは今、必要なこと?」
うんうんと周平は首を振り、いつか自分に恋人ができた時にやってみたかったことを話した。
初めてのお宅訪問では卒業アルバム等を見て、若いねとかなんとか言ったりしてみたい。
ベッドの下や本棚に巧妙に隠されたエロ本を見つけてみたい。
恋愛映画なんかを見てドキドキしながら、ちゅっとキスなんかもしてみたい。
美味しくなかったらごめんね、と手料理をふるまってみたい。
「卒業アルバムは実家だし、エロ本は無いし、テレビも無い。シュウのご飯が美味しいのはよく知ってるけど?」
「そんな…ちょっと憧れだったのに」
「えっと、なんかごめんね?」
もういい?とTシャツの裾から手が入ってきて首筋にキスをされながら、いいわけあるか!と周平は身を起こした。
カーテンを開けて陽の光を取り込んで部屋を見渡して、クローゼットを開ける。
スーツが何着かとクリーニング屋のビニールがかかったままのコートがぶら下がっていて、あとは三段の整理ボックスしか無かった。
次に簡易キッチン備え付けの小さな冷蔵庫を開けるとビールと栄養機能ゼリー飲料しか入っていない。
調理器具も調味料も、もちろん炊飯器もない。
無い無い尽くしのガランとした部屋。
「どうやって生活してたんだ」
ベッドで胡座をかいて座る武尊を見て、周平はハッとした。
両手で頬を挟んであらゆる角度から武尊を見てみる。
「『眠眠破壊』買いに来てた頃より顔色がいい。隈も無くなってるし、ちょっとふっくらしてきてる」
「シュウが美味しいもの食べさせてくれるし、薬の影響で眠いのか自分自身が眠いのかもわからなかったのがシュウが傍にいると思えばぐっすり眠れるし、朝は陽を浴びてマナベで体動かしてるから」
「武さん…」
「もうシュウが居ないと生きていけない」
そう言って武尊は周平の腰に手を回し腹にぐりぐりと顔を押し付けた。
これはずるい、ずるすぎる、母性本能いや父性本能?いやそんなのどっちでもいい。
きゅうと胸が締め付けられて何でもしてあげたくなってしまう。
「言ってくれたら鍋くらい持ってきたのに」
「持ってきても作れないよ」
「んー、パスタくらいなら作れそうだけど…あ、包丁もないと駄目か」
うんうんと考え込む周平の匂いをすんすんと嗅ぎながら武尊はベッドに押し倒した。
眉間に寄った皺にキスを落として、真一文字に結ばれた唇にもキスを落とす。
「シュウ、もう触りたい」
Tシャツの裾から入ってきた手は腰を撫でながらするすると上っていく。
薄い胸にたどり着くと手のひらでくるくると撫でさすられた。
「くすぐったい」
「ここ触ってシない?」
しないよ、と周平はくすくすと笑う。
それでも乳首をカリカリと爪で引っかかれるようにされて、摘まれると鳥肌が立ったようにゾワッとした。
「気持ち良くない?」
「んっ、なんか変な感じ」
そう、とにんまりと笑う武尊に背筋が凍った気がした。
なんだか怖い、自分は一体どうなってしまうのか。
授業で一人でする時、そこを触って高めておくようにと言われたが自分で触ってもくすぐったいか痛いかのどちらかで全く気持ちよくなかった。
「怖い?」
「ちょっと…」
「ゆっくりする」
耳が溶けてしまいそうなくらい熱い舌が輪郭をなぞり、手はずっと胸を触られていつの間にか高い声が出た。
自分じゃないみたいな甘えた声、恥ずかしいのに抑えられない。
下腹部に熱が集まってきてじんじんする。
いつの間にか脱がされて下着一枚で、それが持ち上がり染みを作っているような気がする。
触ってもらえないのがもどかしい、自然と腰が揺れてそこに手が伸びるのに払われて手が届かない。
耳を這っていた舌は今は胸に吸い付いていて、舌で乳首を転がされるように舐められ吸われ押し潰されもうわけがわからない。
「たけさんっ、さわりたい」
触りたいの?と口が胸から外れると触れた空気がひんやりしてビクッと体が跳ねた。
「僕のも触ってくれる?」
「さわるっ、さわるからぁ…もうやだ」
「意地悪だった?ごめんね」
対面座位のように膝に乗せられて髪から額こめかみ頬、顔中にキスを落とされてやっと下着を下ろしてもらえた。
すっかり勃ちあがってしまったそれからはタラタラと先走りが零れていて、同じように下着から取り出した武尊のモノと自分のモノの違いに周平は目を見張った。
「え、これ、同じもの?」
「うん」
「いや、違うでしょ、なにもかも違う」
大きさも長さも色も、浮かび上がる血管が妙に卑猥で傘の部分も出っ張っていて周平は生唾を飲んだ。
そっと触ってみると硬くて弾力があって熱い。
「シュウのは可愛い」
それは褒め言葉なのか、ぽかんと開いた口が覆われてあっという間に二人のものをまとめて握り込まれた。
グチグチという音は口内を動き回る舌なのか、すり合わせた二人のモノなのか周平にはもうわからなかった。
はぁはぁという武尊の声も自分のどこから出てくるのかわからない甘えた声も、なにもかもが初めてで気持ち良い。
「あぁっ、ん"ん"ッッ、たけさん、たけさん、出ちゃう、出そう」
「うん、いいよ。出して」
「たけさんは?あぁ…たけさんも出る?きもちい?」
「うん、僕もイクよ」
びくびくと周平の体が跳ねて吐精し、遅れて武尊も目の前の腹に白濁をかけた。
「お腹、熱い」
「うん、ごめん」
武尊はぐったりと力が抜けた周平を肩口に凭れさせ汗ばんだ髪を撫でた。
「ね、ご飯作れないでしょ?」
そうだね、とは言えなかった。
耳朶をすりすりと撫でられ我が物顔で動く舌に翻弄されながら、このままではいけないと周平はカッと目を見開いた。
「武さん!」
「ん?」
歌舞伎役者のような切れ長の目はとろりと優しく細められ、するりと頬を撫でる手に絆されそうになってしまう。
「卒業アルバム見たい」
「…それは今、必要なこと?」
うんうんと周平は首を振り、いつか自分に恋人ができた時にやってみたかったことを話した。
初めてのお宅訪問では卒業アルバム等を見て、若いねとかなんとか言ったりしてみたい。
ベッドの下や本棚に巧妙に隠されたエロ本を見つけてみたい。
恋愛映画なんかを見てドキドキしながら、ちゅっとキスなんかもしてみたい。
美味しくなかったらごめんね、と手料理をふるまってみたい。
「卒業アルバムは実家だし、エロ本は無いし、テレビも無い。シュウのご飯が美味しいのはよく知ってるけど?」
「そんな…ちょっと憧れだったのに」
「えっと、なんかごめんね?」
もういい?とTシャツの裾から手が入ってきて首筋にキスをされながら、いいわけあるか!と周平は身を起こした。
カーテンを開けて陽の光を取り込んで部屋を見渡して、クローゼットを開ける。
スーツが何着かとクリーニング屋のビニールがかかったままのコートがぶら下がっていて、あとは三段の整理ボックスしか無かった。
次に簡易キッチン備え付けの小さな冷蔵庫を開けるとビールと栄養機能ゼリー飲料しか入っていない。
調理器具も調味料も、もちろん炊飯器もない。
無い無い尽くしのガランとした部屋。
「どうやって生活してたんだ」
ベッドで胡座をかいて座る武尊を見て、周平はハッとした。
両手で頬を挟んであらゆる角度から武尊を見てみる。
「『眠眠破壊』買いに来てた頃より顔色がいい。隈も無くなってるし、ちょっとふっくらしてきてる」
「シュウが美味しいもの食べさせてくれるし、薬の影響で眠いのか自分自身が眠いのかもわからなかったのがシュウが傍にいると思えばぐっすり眠れるし、朝は陽を浴びてマナベで体動かしてるから」
「武さん…」
「もうシュウが居ないと生きていけない」
そう言って武尊は周平の腰に手を回し腹にぐりぐりと顔を押し付けた。
これはずるい、ずるすぎる、母性本能いや父性本能?いやそんなのどっちでもいい。
きゅうと胸が締め付けられて何でもしてあげたくなってしまう。
「言ってくれたら鍋くらい持ってきたのに」
「持ってきても作れないよ」
「んー、パスタくらいなら作れそうだけど…あ、包丁もないと駄目か」
うんうんと考え込む周平の匂いをすんすんと嗅ぎながら武尊はベッドに押し倒した。
眉間に寄った皺にキスを落として、真一文字に結ばれた唇にもキスを落とす。
「シュウ、もう触りたい」
Tシャツの裾から入ってきた手は腰を撫でながらするすると上っていく。
薄い胸にたどり着くと手のひらでくるくると撫でさすられた。
「くすぐったい」
「ここ触ってシない?」
しないよ、と周平はくすくすと笑う。
それでも乳首をカリカリと爪で引っかかれるようにされて、摘まれると鳥肌が立ったようにゾワッとした。
「気持ち良くない?」
「んっ、なんか変な感じ」
そう、とにんまりと笑う武尊に背筋が凍った気がした。
なんだか怖い、自分は一体どうなってしまうのか。
授業で一人でする時、そこを触って高めておくようにと言われたが自分で触ってもくすぐったいか痛いかのどちらかで全く気持ちよくなかった。
「怖い?」
「ちょっと…」
「ゆっくりする」
耳が溶けてしまいそうなくらい熱い舌が輪郭をなぞり、手はずっと胸を触られていつの間にか高い声が出た。
自分じゃないみたいな甘えた声、恥ずかしいのに抑えられない。
下腹部に熱が集まってきてじんじんする。
いつの間にか脱がされて下着一枚で、それが持ち上がり染みを作っているような気がする。
触ってもらえないのがもどかしい、自然と腰が揺れてそこに手が伸びるのに払われて手が届かない。
耳を這っていた舌は今は胸に吸い付いていて、舌で乳首を転がされるように舐められ吸われ押し潰されもうわけがわからない。
「たけさんっ、さわりたい」
触りたいの?と口が胸から外れると触れた空気がひんやりしてビクッと体が跳ねた。
「僕のも触ってくれる?」
「さわるっ、さわるからぁ…もうやだ」
「意地悪だった?ごめんね」
対面座位のように膝に乗せられて髪から額こめかみ頬、顔中にキスを落とされてやっと下着を下ろしてもらえた。
すっかり勃ちあがってしまったそれからはタラタラと先走りが零れていて、同じように下着から取り出した武尊のモノと自分のモノの違いに周平は目を見張った。
「え、これ、同じもの?」
「うん」
「いや、違うでしょ、なにもかも違う」
大きさも長さも色も、浮かび上がる血管が妙に卑猥で傘の部分も出っ張っていて周平は生唾を飲んだ。
そっと触ってみると硬くて弾力があって熱い。
「シュウのは可愛い」
それは褒め言葉なのか、ぽかんと開いた口が覆われてあっという間に二人のものをまとめて握り込まれた。
グチグチという音は口内を動き回る舌なのか、すり合わせた二人のモノなのか周平にはもうわからなかった。
はぁはぁという武尊の声も自分のどこから出てくるのかわからない甘えた声も、なにもかもが初めてで気持ち良い。
「あぁっ、ん"ん"ッッ、たけさん、たけさん、出ちゃう、出そう」
「うん、いいよ。出して」
「たけさんは?あぁ…たけさんも出る?きもちい?」
「うん、僕もイクよ」
びくびくと周平の体が跳ねて吐精し、遅れて武尊も目の前の腹に白濁をかけた。
「お腹、熱い」
「うん、ごめん」
武尊はぐったりと力が抜けた周平を肩口に凭れさせ汗ばんだ髪を撫でた。
「ね、ご飯作れないでしょ?」
そうだね、とは言えなかった。
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