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それは始まり
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「ッ!?」
ば、と勢いよく顔を上げる。
授業が終わり、ここの生徒であろう濃い青のブレザーがぞろぞろと教室を出ていく。
俺、俺は…。
「おい、リオ」
俺は驚いたように声のする方へ視線を向ける。
なんで俺の名前を知っているのか、とか、考えるより先に理解した。
あれは、俺の前世。そして目の前のこの光景が今の自分の世界。
「リオ?大丈夫か?」
「え…、あ、…大丈夫…」
その相手を見た時、俺は起きた時以上に驚いた。
何周もプレイしたから覚えてる。
規定のネクタイを緩め、第一ボタンを外したシャツ。
制服を着崩したその男はユーリ・アルデオン。
主人公の幼馴染だ。
という事はもしかしなくても…。
「異世界転生…」
俺はとんでもない事に気付いてしまったのだ。
─────────────────────
「なあリオ、本当に大丈夫なのか?お前少し変だぞ?」
「大丈夫だよ、ユーリ…。ちょっと寝惚けてるだけだから」
放課後で良かった。
分かった事は、今の俺には二つの人生の記憶が存在しているという事。
岬りおとしての人生。
そしてリオ・ウィルアスとしての人生。
リオはどうやらまだ16歳らしい。
16歳だなんて、25歳まで生きてた記憶のある俺からしたらまだ子供だ。
だけど元の知識は無意味に近い。
それ程常識や価値観、なんなら世界のルールすら違う。
…待てよ。
今ユーリと俺が高等部二年。
確かゲーム開始時も、ユーリは二年生だった。
主人公はユーリと幼馴染だけど一つ下の一年生。
主人公と幼馴染という事は、俺も知ってる…?
いや、それだったら記憶に何か欠片がある筈。無い、ということは俺と主人公に接点は無い。
そして物語は高等部一年の春から始まる。
外の景色を見れば赤い街路樹が見えた。
つまり今は、秋…。
「……もっと満喫したかったな…」
リオという名前の生徒の記憶は無い。
どう考えても、自分の立ち位置はモブだった。
生まれ変わるなら、せめて主人公が良かった。
そしたら、推し…王子に愛してもらえたかもしれない。
ユーリに先に帰ってもらって、紅葉の中ポツンと一つだけあるベンチに座った。
少しだけ寒いかもしれない。
それでも何故か、ここがとても落ち着く。
リオと俺の記憶が混ざる。
…そっか。此処は、リオの好きな場所だったんだ。
でもなんで、こんな所が?リオという少年は人目を気にするタイプなのだろうか?
さっき窓ガラスに映っていた俺は、黒い髪を肩口で切り揃え、エメラルドグリーンの瞳をしていた。
この配色…何処かで見たな。
ただのモブなのに、多少は整った顔と言えるだろう。
とりあえず、異世界転生出来たんだから何かしら出来るはず!
そう思って俺は、お決まりのステータス画面を出そうとした。
「えっと、ステータス!」
しん、と静まり返った林道に虚しく響いた。
何も起こらない。
「え?じ、じゃあメニュー!」
これも違う。
ううん、と唸りながら考える。
異世界転生ならありがちであろうメニューみたいなのは出なかった。
それとも詠唱がある?
呼び方が違う?
「オプション…?」
……これも違う。
あーもう分からない!
俺は手詰まり、項垂れた。
落ち込んでいると、かさりと葉を踏む音が聞こえてびくりと肩を揺らす。
誰か来た。
もしかして今のを見られたかと身構えていたら…。
「やっぱり此処にいた」
「……え、?」
聞いた事のある声。
いや、聞いた事のある、何てものじゃない。
死と直面するその前まで、聞いていた声が聞こえた。
座っている俺に影が落ちる。
上を見上げると、薄い青…、ベビーブルーが愛おしげにこちらを見ている。
垂れ下がる銀髪が俺の頬を擽った。
突然の事過ぎて、脳の処理が追い付かない。
「ある、ばーと……」
「なんだい、えらく他人行儀じゃないか。居眠りして、私の事も忘れたの?」
何でそれ知ってるの。
そんな事より、なんで此処にこの人が…。
『アル』
それは記憶。
リオの、リオとアルバートの記憶。
俺は思い出した。
此処がBLゲーム…恋愛前提の世界であることを。
メニューもステータスも無い。
それならば、残された選択肢は…。
(好感度)
頭にその三文字を浮かべれば、ハート形のアイコンが現れる。
目の前のその人は、Lv.MAXの99まで好感度が溜まっていた。
「……、あ、る…?」
「うん、そうだよ。急にどうしたのさ」
焦がれて、焦がれて、何年も想っていた人がそこに居る。
アルバート・ヴァン・フィアーノ王太子殿下。
俺が長年焦がれ続けた相手が、そこに存在していた。
「……、なんで好感度カンストしてんの!!?」
もう何が何だか訳が分からず、思わず叫んでしまったけれど。
ば、と勢いよく顔を上げる。
授業が終わり、ここの生徒であろう濃い青のブレザーがぞろぞろと教室を出ていく。
俺、俺は…。
「おい、リオ」
俺は驚いたように声のする方へ視線を向ける。
なんで俺の名前を知っているのか、とか、考えるより先に理解した。
あれは、俺の前世。そして目の前のこの光景が今の自分の世界。
「リオ?大丈夫か?」
「え…、あ、…大丈夫…」
その相手を見た時、俺は起きた時以上に驚いた。
何周もプレイしたから覚えてる。
規定のネクタイを緩め、第一ボタンを外したシャツ。
制服を着崩したその男はユーリ・アルデオン。
主人公の幼馴染だ。
という事はもしかしなくても…。
「異世界転生…」
俺はとんでもない事に気付いてしまったのだ。
─────────────────────
「なあリオ、本当に大丈夫なのか?お前少し変だぞ?」
「大丈夫だよ、ユーリ…。ちょっと寝惚けてるだけだから」
放課後で良かった。
分かった事は、今の俺には二つの人生の記憶が存在しているという事。
岬りおとしての人生。
そしてリオ・ウィルアスとしての人生。
リオはどうやらまだ16歳らしい。
16歳だなんて、25歳まで生きてた記憶のある俺からしたらまだ子供だ。
だけど元の知識は無意味に近い。
それ程常識や価値観、なんなら世界のルールすら違う。
…待てよ。
今ユーリと俺が高等部二年。
確かゲーム開始時も、ユーリは二年生だった。
主人公はユーリと幼馴染だけど一つ下の一年生。
主人公と幼馴染という事は、俺も知ってる…?
いや、それだったら記憶に何か欠片がある筈。無い、ということは俺と主人公に接点は無い。
そして物語は高等部一年の春から始まる。
外の景色を見れば赤い街路樹が見えた。
つまり今は、秋…。
「……もっと満喫したかったな…」
リオという名前の生徒の記憶は無い。
どう考えても、自分の立ち位置はモブだった。
生まれ変わるなら、せめて主人公が良かった。
そしたら、推し…王子に愛してもらえたかもしれない。
ユーリに先に帰ってもらって、紅葉の中ポツンと一つだけあるベンチに座った。
少しだけ寒いかもしれない。
それでも何故か、ここがとても落ち着く。
リオと俺の記憶が混ざる。
…そっか。此処は、リオの好きな場所だったんだ。
でもなんで、こんな所が?リオという少年は人目を気にするタイプなのだろうか?
さっき窓ガラスに映っていた俺は、黒い髪を肩口で切り揃え、エメラルドグリーンの瞳をしていた。
この配色…何処かで見たな。
ただのモブなのに、多少は整った顔と言えるだろう。
とりあえず、異世界転生出来たんだから何かしら出来るはず!
そう思って俺は、お決まりのステータス画面を出そうとした。
「えっと、ステータス!」
しん、と静まり返った林道に虚しく響いた。
何も起こらない。
「え?じ、じゃあメニュー!」
これも違う。
ううん、と唸りながら考える。
異世界転生ならありがちであろうメニューみたいなのは出なかった。
それとも詠唱がある?
呼び方が違う?
「オプション…?」
……これも違う。
あーもう分からない!
俺は手詰まり、項垂れた。
落ち込んでいると、かさりと葉を踏む音が聞こえてびくりと肩を揺らす。
誰か来た。
もしかして今のを見られたかと身構えていたら…。
「やっぱり此処にいた」
「……え、?」
聞いた事のある声。
いや、聞いた事のある、何てものじゃない。
死と直面するその前まで、聞いていた声が聞こえた。
座っている俺に影が落ちる。
上を見上げると、薄い青…、ベビーブルーが愛おしげにこちらを見ている。
垂れ下がる銀髪が俺の頬を擽った。
突然の事過ぎて、脳の処理が追い付かない。
「ある、ばーと……」
「なんだい、えらく他人行儀じゃないか。居眠りして、私の事も忘れたの?」
何でそれ知ってるの。
そんな事より、なんで此処にこの人が…。
『アル』
それは記憶。
リオの、リオとアルバートの記憶。
俺は思い出した。
此処がBLゲーム…恋愛前提の世界であることを。
メニューもステータスも無い。
それならば、残された選択肢は…。
(好感度)
頭にその三文字を浮かべれば、ハート形のアイコンが現れる。
目の前のその人は、Lv.MAXの99まで好感度が溜まっていた。
「……、あ、る…?」
「うん、そうだよ。急にどうしたのさ」
焦がれて、焦がれて、何年も想っていた人がそこに居る。
アルバート・ヴァン・フィアーノ王太子殿下。
俺が長年焦がれ続けた相手が、そこに存在していた。
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もう何が何だか訳が分からず、思わず叫んでしまったけれど。
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