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本編

87 お返しはスカートの中で ※R18

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「はーっ、はーっ、はあ……、ん、はぁ……っ」
「……いっぱい出たね。気持ち良かった?」
「…………」

 言葉も出ないらしい。エミリオにしては珍しいとスイは思った。
 あの魔力交換を含めた性的行為の日々を見ていると、エミリオは割かし絶倫なほうだ。まあ、魔力枯渇に陥っていた時は、生命の危機にさらされていたわけで、種を残さねばとばかりに生存本能のおかげで絶倫中の絶倫だっただけかもしれないけれど。
 そんな彼が、本番行為でもなく、ローション代わりのエミリオ自身のカウパー腺液にぐっしょぐしょに濡れたストッキングを履いたスイの足コキで、スイに縋り付きながら脱力するほど絶頂を迎えたなんて正直驚いている。
 ネットで調べたときはローションストッキングプレイは「やばすぎる」とは聞いていたけれど、実際のところ試したことがなかったのでここまですごいとは思わなかった。

 粘膜同士の触れ合いではない。セックスではなくただの愛撫だ。エミリオと最初に触れあったときのように魔力交換にはなっていない。
 けれど、エミリオは今魔力の大幅減少があるわけではなく、魔力交換を必要としていないから問題はないだろう。
 今認識阻害の魔法なんかかけてしまっているけれど、そこまで高度な魔法ではないらしいし。

 ――あれ、そういえば。

 今はエミリオは魔力消費がほぼない状態での発情であったのだから、今大量に放たれたエミリオの子種をスイが子宮に受けていたら、妊娠する確率が上がっていたのじゃないだろうか。
 しかも久しぶりの、この強烈な独特の匂いからしてかなり溜め込んだのではと思われる結構な濃い精液だ。自慰行為すら我慢していたのかもしれない。
 スイはふくらはぎまでドロッドロに精液とカウパー腺液で濡れたストッキングを見ながらそんなことを考えてしまった。

 ――いや、でも、そうかもしれないけど、場所的に無理があったし、今回は仕方ないよね。残念といえば残念だけれど。

 そんなことより。

 まだ息が荒く放心状態のエミリオの、生理的なのか心理的なのかわからない涙に濡れたターコイズブルーの瞳が、可哀想なのと可愛いのとが相まって、スイは胸の奥がきゅんとしてしまって辛い。

 ――泣かしちゃった。あー可哀想で可愛い。泣き顔可愛い。脱力しちゃってまあ。

 現代日本では滅多に出会えないオレンジブロンドの髪にターコイズブルーの瞳。整った顔つきに文系のくせして結構な男らしいがっちり体型。様々な高位魔法を使いこなす大魔術師様だけど、ちょっと運が悪いけどピュアで明るいし、その地位に驕らず仲間思いで、性格も穏やかで常識的。
 セックスのときはちょっとMっ気があって可愛いワンちゃんないし猫ちゃんになってしまったりする、本当に可愛いという言葉が具現化したような人。

 ――本当に本当に可愛い人。

 喉の奥てふふふと笑いが漏れてしまうのを抑えられない。その間もずっといい子いい子とエミリオの後頭部を抱きしめながら撫でていたのだが、しばらくしてふとこちらを見上げたエミリオが、少々むっとした表情をしてスイを睨んだのと目が合う。あんなによがって可愛かったのに今度は生意気そうな顔でやっぱり可愛い。

 エミリオはスイを睨んでから彼女のスカートのすそをぐいっとたくし上げてきた。

「きゃっ……なに、なになになに、エミさん?」

 エミリオはスイの裾広がりのドレスのスカートをばっさーとたくし上げてスイの太ももをぐわしと掴んで顔を近づけてきた。その拍子にエミリオの上半身にスカートがふわりと落ちてきて、すっかりスカートの中にエミリオは入ってしまった状態になる。

 柔らかな布を隔てた先で何が行われたのか、それはスイの下半身の感触だけでしか判断できない。
 ちろちろと生ぬるい物が太ももの内側を這いまわる感触に、スイは「おわっ!」とやや情けない声を出して思わず前かがみになってスカートごしにエミリオの後頭部を押さえてしまう。

「あっ……ちょ、あ、ああっ……」

 スカートの中でエミリオが先ほどの仕返しとばかりにスイの太ももを舌で愛撫している。膝頭あたりからどんどん上昇していく愛撫の位置が、だんだんときわどい部分まで達してくる感覚に、スイはくすぐったいのと変な気分になるのとで頭が混乱してきた。

 そのうち太ももを押さえていたエミリオの手がごそごそと動き出していく。満遍なく舌が這いまわる感触に嫌ともダメとも言えずにただ喘いでいたら、とうとうその場所をエミリオが見つけてしまったらしい。
 ひやりとする感覚、次に熱い舌がそこに到達してしまった。気が付くと足首まで落ちてしまったひも状の下着が見えている。一体いつの間に下着が下ろされてしまったのか。ついでに両足がどんどん開いていき、ついに片足をエミリオが自分の肩に担いでしまった。転びそうになるところをエミリオの力強い腕が腰にしっかりあてられている。

 何も障害物が無くなって露わになったスイの女性器に、エミリオの情欲に熱を持った分厚い舌が這いまわった。柔毛をかき分けて大陰唇を開き、蜜が滴る膣孔から尿道、クリトリスまでぐちゅりと音を響かせていやらしく舐めまわすものだから、スイは先ほどまでの余裕など全く雲散霧消して喘ぐしかなくなる。

「んひっ……あ、やば、そこ、ああっ……え、エミさん、たら、ああもう、ドスケベぇっ……!」
「ん、は、んちゅ、スイ、気持ちいい……?」

 ――ドスケベ魔術師がスカートの中で何かモゴモゴ言ってる。頭おかしい。

 喘ぎながら脳内でそんな悪態をつくけれど、そこで気持ちいいと感じてしまっている自分だって大概頭おかしいくせに何言ってんだお互い様じゃないかと自嘲するスイ。

 ――ああ、もう、だって、気持ちいい、気持ちいいよう、エミさん。

 スイだって本当はずっとエミリオとこうして触れ合いたかったのだ。二人きりになれればと思っていたのだが、今回はそうはいかない。ここは自分の家じゃなくエミリオの実家で、しかも向こうに彼の家族とシュクラが談笑しているというのに、いくら認識阻害の魔法をエミリオが掛けて安心してくれと言われても理性がなかなか安心させてくれない。

 片方の手を差し入れられて、膣孔にぐぷりと指を入れられて中をこね回された。中でくいっと指をまげて凸凹した部分を強めに刺激されてじゅくじゅくと愛液を垂れ流す。更にその上で同時にクリトリスを唇で挟まれて口の中で愛撫、吸引されてしまい、スイは口元を手で押さえながら、背を走るゾクゾクする感覚に必死で耐えた。

「んんっ! あ、ふぁ……ひ、あ、あぁ……!」
「……んむ……ちゅ、んふ、はぁ、スイ、気持ちいい……?」
「は、やば、これ、やばっ……クリだめ、あんっ……ふああ、クンニだめっ……」
「駄目……?」
「ダメ……あぁ気持ちぃ……、あ、ふぁ……でも、あ、ああ……!」

 エミリオと触れ合うのは気持ちいいし楽しいし、本当に愛おしくて大好きなのだけれど、こんなところでこんなこと。
 さんざんエミリオを煽って足でなんてやっておきながら、自分だけこんなことしちゃいけないと思うってかなり矛盾しているじゃないか。

 嫌だ、ダメだと思いながらも、与えられる刺激に子宮が彼を求めてキュンキュンと疼くのを感じる。先ほどエミリオの痴態を、悦楽を感じながら眺めていたからなおさらだ。

「あッ! あぁッ……! やば、やばいから、だめ、えみさ、えみ、さんてば……あ、あ、あ……っ」
「んあぁ……ん、スイ、ちゅ、ふ、あぁ、すごい、溢れてくる」
「もう、もうっ……そんな、あぁ、ダメ、イく、イッちゃう」

 チュパチュパ、グチュグチュと、粘性を帯びた淫らな水音と、お互いのくぐもった熱い吐息、口の端から漏れる呻きと喘ぎに背筋を駆け上るゾクゾクとした衝動。
 クリトリスを思いきり吸い上げられ、それと同時にGスポットを強引に押し上げられて、一気に絶頂を駆け上った。

「ひっ……うっ……んあぁっ……!」

 最終的にエミリオの肩に手を置いて仰け反るようにして絶頂を迎えたスイ。それでも理性の片鱗が片手を口元にあてて声を抑える。絶頂の叫びはくぐもった呻きに変わってスイの手の中に消えた。
 入りっぱなしのエミリオの太くて長い指を膣肉がぎゅうぎゅうと締め付ける。

「は……っ、はぁーっ……んん、ん、っふ、あぁ……っ」

 がくがくともう立っていられないほどの余韻に浸りながら、エミリオに体重を預けていると、エミリオは未だスカートに入り込んだままスイの腰に腕を回してぐいと抱き寄せる。ジュボッと指が膣から引き抜かれて、スイはびくりと震えた。

「エミさん……? あ、ちょ……! や、やめ……あ、あぁっ、や、まだ、あぁんっ」

 絶頂を迎えてごぽりと愛液を垂れ流す場所にふわりと何かが当たる感触。エミリオの唇だ。唇をつけて長い舌を強引にそこに割り入れてきた。熱くぬめぬめとした物が膣内を這いまわって愛液をじゅるりと啜り上げている音がしてくる。

「あぁん、だめ、エミさん、もう……い、だめ、ああん、だめだってば……!」
「ん、んんっ……んぐ、ふ、あ……あぁ、スイ……!」

 まだ終わらないらしい。エミリオはスイの足元で何やらごそごそと動作を始めた。その間もジュルジュルとスイの膣への舌先の愛撫をずっと続けていて、足元の動きとともに彼の息がどんどん荒くなっていくのが分かった。

 エミリオはスイのそこを啜りながら、自分で扱き上げているらしい。スイの下腹部と足元から別の淫らな水音が響いてきた。
 一応スイの気持ちを気遣ってナカには入れずにいてくれている。

 ――すごくシたいくせに、我慢して自分で慰めちゃって。アホ可愛い人。

「はっ……ん、んぅ、ん……ちゅ、はあ、スイ、ああっ……」
「もう、エミさんのバカ……! エッチ、あっ、あぁん……! バカ、好き、は、あ、あ……!」

 ――ああ、またイく。イきそう。でも。まって、でも。

「エ、エミさん、ね、エミさんちょっと聞いて、お願い。タイムアウト」
「ん……?」

 彼の背中をポンポンと叩いて一度止めさせると、エミリオはもぞもぞとスカートから顔を出した。口元がびちゃびちゃに濡れているのは彼の唾液だけじゃなくてスイの愛液がほぼ占めているはずで、それがスイは物凄く恥ずかしい。まあそれはともかく。

「に、認識阻害の魔法って、た、たくさん魔力使ったりするの……?」
「ん、いや……それほどじゃないけど」
「……ほ、ほんとに、周りに聞こえたりしない? 気が付かれたりしない?」
「それは問題ないはずだけど……どうかしたか?」
「ん……」

 ふうふうと息を吐きながら、未だエミリオの肩にかけられた片足をおろすと、エミリオの情欲にやや酩酊した顔を見てくすりと笑いが漏れた。
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