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052 受け取り
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昨日行った武器屋へ行くと店主はすぐに奥から鞘に入った剣を持ってきてくれた。
「おう、できてるぜ」
マリーは剣を受け取り鞘から抜いて構えたり軽く振ったりしているが、その表情を見るに満足のいく出来のようだ。研ぎ以外にも調整をするって言っていたような気がするけど、どういった内容なんだろうか。
「店主、剣の調整って何をするんだ?」
「なに、柄の握りを調整したり重心の偏りを修正したりだ。より真っすぐ振るえるようになるだろう」
なるほど。柄の握りは素人の技術では調整できそうにないし、重心の偏りだって俺にはさっぱりだ。マリーも剣を鞘に納めて腰につけ、店主にお礼を言う。
剣は消耗品かもしれないけれど、命を預けるものだからな……できるだけ丁寧に扱って手入れもちゃんとするようにしよう。そう思いながら店を後にし、今度はギルドへと向かった。
「解体は終わってるかな」
「おう、あんちゃんたちじゃないか。今さっき終わったぜ」
建物に入った途端にギルツのおっちゃんがいて、解体が終わったことを知らせてくれた。早速ギルツのおっちゃんと一緒に解体場へ行く。
今回依頼した解体はクイックリザード七体とビッグホーンブルが五体、ブラウンホーンも五体で、ファンギーゾルは三体、そしてビッグホーンディアが一体だ。
「早速だがクイックリザード、爪と革はそれぞれ武具になるからな、それぞれ大銅貨1枚で合わせて14枚、爪の品質がけっこういいからおまけに1枚、尻尾がいわゆる討伐証明部位だな。こいつは一体につき小銅貨3枚で合計21枚、内臓は薬品の素材として使えて小銅貨7枚だが、状態がいいから8枚で換算するぜ。大銅貨5枚に小銅貨6枚だな」
サトン村で聞いた相場通りって感じか。まぁ、売却するとしよう。俺は頷いて説明の続きを促す。
「ビッグホーンブルだが肉は小銅貨5枚が一体あたりだな。全部買い取っていいのか? ちなみに肉とは別にベロだけで小銅貨1枚だぜ」
なるほど異世界でも牛タンは人気があるのかぁ。セフィリアの風魔術でバラバラになったビッグホーンブルを収納しているが、食糧は大いに越したことはないだろう。二人と相談した上で、タンを除いて二体分は引き取ることにした。量を優先した形だ。
「革は武器傷が多少あるがまぁ均して大銅貨3枚だな。で、角は一対で小銅貨8枚ってことで合計で大銅貨4枚か。ファンギーゾルは牙と尻尾がそれぞれ小銅貨6枚で毛皮は小銅貨9枚、ブラウンホーンは角が五本で大銅貨2枚と小銅貨5枚で、甲殻は大銅貨2枚だな」
サトン村での買い取りとほぼ変わらない。やはりギルドがきちんと相場を定めているんだなぁ。異世界だけど、そういう連絡や共有ってどうやっているんだろうか。
「今回の目玉でもあるビッグホーンディアなんだが、角は一対で大銅貨3枚、革も2枚でどうだろう。肉は小銅貨3枚だが買い取りも可能だ。あっさりしすぎて人気はないが調理の仕方によってはそれなりに食える」
鹿肉といえばジビエの定番、ブルやらボアやらを食うんだからディアだって食えるわな。肉はこちらで引き取ることとして、今回の買い取りの合計を確認する。
「クイックリザードは小銀貨2枚に大銅貨2枚、小銅貨7枚。ビッグホーンブルは大銅貨9枚、ファンギーゾルは大銅貨2枚と小銅貨1枚、ブラウンホーンは大銅貨4枚と小銅貨5枚、ビッグホーンディアが大銅貨5枚、てなわけで小銀貨4枚大銅貨3枚小銅貨3枚だな。手数料で大銅貨1枚と小銅貨3枚をもらうぜ」
手元に来たのは小銀貨5枚。これは買い取りに加えてクイックリザード討伐報酬の大銅貨8枚が加算されたためだ。
結構まとまった金額になったなぁと思いつつ、これがあの店で売っていた鋼の長剣と同じ金額かぁ。さすがにあれを買いはしないが、あれを装備できるだけの実力者になればもっと金は稼げるってことか。
「んじゃ、次の依頼を探すとするか」
ギルツに挨拶をして俺たちは依頼の張られた掲示板を見に行くことにした。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
レックスたちの所持金
前:小金貨1枚 大銀貨4枚 小銀貨5枚 大銅貨13枚 小銅貨12枚
収入:小銀貨5枚 (素材の買い取りと討伐報酬)
支出:大銅貨2枚 小銅貨5枚(宿代と食事代)
後:小金貨1枚 大銀貨4枚 小銀貨10枚 大銅貨11枚 小銅貨7枚
「おう、できてるぜ」
マリーは剣を受け取り鞘から抜いて構えたり軽く振ったりしているが、その表情を見るに満足のいく出来のようだ。研ぎ以外にも調整をするって言っていたような気がするけど、どういった内容なんだろうか。
「店主、剣の調整って何をするんだ?」
「なに、柄の握りを調整したり重心の偏りを修正したりだ。より真っすぐ振るえるようになるだろう」
なるほど。柄の握りは素人の技術では調整できそうにないし、重心の偏りだって俺にはさっぱりだ。マリーも剣を鞘に納めて腰につけ、店主にお礼を言う。
剣は消耗品かもしれないけれど、命を預けるものだからな……できるだけ丁寧に扱って手入れもちゃんとするようにしよう。そう思いながら店を後にし、今度はギルドへと向かった。
「解体は終わってるかな」
「おう、あんちゃんたちじゃないか。今さっき終わったぜ」
建物に入った途端にギルツのおっちゃんがいて、解体が終わったことを知らせてくれた。早速ギルツのおっちゃんと一緒に解体場へ行く。
今回依頼した解体はクイックリザード七体とビッグホーンブルが五体、ブラウンホーンも五体で、ファンギーゾルは三体、そしてビッグホーンディアが一体だ。
「早速だがクイックリザード、爪と革はそれぞれ武具になるからな、それぞれ大銅貨1枚で合わせて14枚、爪の品質がけっこういいからおまけに1枚、尻尾がいわゆる討伐証明部位だな。こいつは一体につき小銅貨3枚で合計21枚、内臓は薬品の素材として使えて小銅貨7枚だが、状態がいいから8枚で換算するぜ。大銅貨5枚に小銅貨6枚だな」
サトン村で聞いた相場通りって感じか。まぁ、売却するとしよう。俺は頷いて説明の続きを促す。
「ビッグホーンブルだが肉は小銅貨5枚が一体あたりだな。全部買い取っていいのか? ちなみに肉とは別にベロだけで小銅貨1枚だぜ」
なるほど異世界でも牛タンは人気があるのかぁ。セフィリアの風魔術でバラバラになったビッグホーンブルを収納しているが、食糧は大いに越したことはないだろう。二人と相談した上で、タンを除いて二体分は引き取ることにした。量を優先した形だ。
「革は武器傷が多少あるがまぁ均して大銅貨3枚だな。で、角は一対で小銅貨8枚ってことで合計で大銅貨4枚か。ファンギーゾルは牙と尻尾がそれぞれ小銅貨6枚で毛皮は小銅貨9枚、ブラウンホーンは角が五本で大銅貨2枚と小銅貨5枚で、甲殻は大銅貨2枚だな」
サトン村での買い取りとほぼ変わらない。やはりギルドがきちんと相場を定めているんだなぁ。異世界だけど、そういう連絡や共有ってどうやっているんだろうか。
「今回の目玉でもあるビッグホーンディアなんだが、角は一対で大銅貨3枚、革も2枚でどうだろう。肉は小銅貨3枚だが買い取りも可能だ。あっさりしすぎて人気はないが調理の仕方によってはそれなりに食える」
鹿肉といえばジビエの定番、ブルやらボアやらを食うんだからディアだって食えるわな。肉はこちらで引き取ることとして、今回の買い取りの合計を確認する。
「クイックリザードは小銀貨2枚に大銅貨2枚、小銅貨7枚。ビッグホーンブルは大銅貨9枚、ファンギーゾルは大銅貨2枚と小銅貨1枚、ブラウンホーンは大銅貨4枚と小銅貨5枚、ビッグホーンディアが大銅貨5枚、てなわけで小銀貨4枚大銅貨3枚小銅貨3枚だな。手数料で大銅貨1枚と小銅貨3枚をもらうぜ」
手元に来たのは小銀貨5枚。これは買い取りに加えてクイックリザード討伐報酬の大銅貨8枚が加算されたためだ。
結構まとまった金額になったなぁと思いつつ、これがあの店で売っていた鋼の長剣と同じ金額かぁ。さすがにあれを買いはしないが、あれを装備できるだけの実力者になればもっと金は稼げるってことか。
「んじゃ、次の依頼を探すとするか」
ギルツに挨拶をして俺たちは依頼の張られた掲示板を見に行くことにした。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
レックスたちの所持金
前:小金貨1枚 大銀貨4枚 小銀貨5枚 大銅貨13枚 小銅貨12枚
収入:小銀貨5枚 (素材の買い取りと討伐報酬)
支出:大銅貨2枚 小銅貨5枚(宿代と食事代)
後:小金貨1枚 大銀貨4枚 小銀貨10枚 大銅貨11枚 小銅貨7枚
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