ユニークスキルで異世界マイホーム ~俺と共に育つ家~

楠富 つかさ

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008 装備を回収

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「さぁて、レベルが3になったわけで……」

 マリーもレベル3だが、鑑定したところ上がっていない。そういえば鑑定スキルを強化したおかげで年齢が分かるようになった。本人の申告通り16歳のようだ。
 戦闘には参加しているけれど、経験値の配分は一定じゃないってことかな。……そもそも経験値ってなんだよって思わずにはいられないけど、このあたりは気にしないことにする。そうするとスキルとか魔法とか、世界のあり方そのものを考えないといけなくなってしまうから。だから気にしない。
 とにもかくにも、ホームポイントが20になった。15ポイント使って拡張……するぞ!!

「え、なにが起きるんですか!?」

 部屋全体が白く光りだす。マリーが慌てて立ち上がるが、光はすぐにおさまった。

「あ、あれ……?」
「まぁ、やっぱそうだよな」
「ちょっとだけ……広くなりました?」

 三畳一間の空間がいきなり広々とした快適な空間になるとは思っていなかったからな、予想通り四畳半に進化したのにも納得だ。
 どうやら次の拡張には30ポイント必要になるようだ。一応5ポイント残っているが、スキルを育成するよりも温存しておいた方が吉だろう。……さて、少しとはいえ急に広くなった部屋にマリーは呆然としている。説明するのも難しいが……。

「えっと……聞かない方がいいですよね?」
「まあ、そうしてもらえると助かるよ」

 マリーがいい子で本当によかった。俺は部屋が三畳だった時に壁際にあった布団を、四畳半になった壁際へと動かす。……洋間に布団っていうのはやっぱり変だなぁ。俺がレベルアップしてこの家を大きくしていったら、いつか和室も作れるだろうか。

「さて、そろそろ出発しよう」
「はいっ」

 川沿いに森を進む。マリーらは水の確保のために、川沿いで野営をしていたらしい。が、俺のスキルさえあれば喉が渇いた時には部屋に戻って水道の水を飲めばいいわけで、そう思うと本当に旅に向いたスキルだな、マイホームって。
 その後もマリーが石を投げて敵の注意を逸らし、背後からククリでぶった斬るという戦法で進んでいく。

「あ、ここ……です……」

 しばらく歩くと少しだけ開けた場所に辿り着いた。そこにあったのは焚火の後と、三人の死体。

「ひ、ひでえな……」
「はい……」

 おそらくは魔物に襲われたのだろう。一人は上半身が完全に食い殺されていて、残り二人は刃物で何度も刺されたような跡がある。

「これは……コボルトですね。フォレストウルフより遥かに危険な相手です。ゴブリンに襲われた後、きっとそれらは撃退できたんでしょう。ゴブリンのドロップアイテムも落ちてますし。……多分、その血の匂いでコボルトが集まってきたんだと思います」
「…………」

 マリー、意外と気丈に振る舞ってるな。俺はけっこうしんどいぞ……。だがまあ、年上として俺もここは踏ん張りどころだな。

「レックスさん?」
「……いや、なんでもない。持ち物、残ってるか?」
「はい」

 俺は死体に手を合わせてからその場を離れた。マリーの持ち物は簡単に張られたテント内にあった。

「剣と防具、それから下着……あの、身に着けるので外を見張っていてください」
「お、おう……」

 ……待て待て、マリーって今の今まで下着を身に着けていなかったってことか。ていうか、その下着ってどっちだ、パンツそれともブラ? いや異世界にブラジャーなんてあるわけ……いや、異世界だからこそあるかもしれないな。いや、仮にパンツだったとして……お、俺ノーパンの女の子に膝枕してもらったってことか。今朝は寝ぼけていて逆に冷静だったが、わりと思い出したら恥ずかしくなってきたぞ???

「お待たせしました」

 テントから出てきたマリーは革っぽい防具を身に着け、ベルトに剣を佩いて冒険者らしい姿になっていた。革の胸当てはおっぱいが揺れないようにするためか、下からがっつりホールドして押し上げているからちょっと目のやり場に困る。

「お金も少しありますよ。あぁでも、宿代も食費もかからないですよね。うーん」
「まぁ、普段着とか何か必要な日用品に使おう」
「はい。じゃあ、その……この男の人たちの遺品から、使えそうなものを剥ぎましょう」

 ……え? マリーってそういうところドライなんだな。いやまぁ、日本でも山の中で死んだ人の服を剥ぐとか聞くけどさ。いや、うん、ごめんなさい……俺もそれはどうかと思うわ。でもな、しょうがないよな。ここ、異世界なんだから。俺の価値観が甘いんだ。

「……えっと、どうしたんですか?」
「いや、なんでもない。そうだな、彼らの遺品を回収しよう」
「はい」

 めぼしいものは俺のククリより攻撃力が高い粗鉄の長剣と、鉄で外周を補強してある丸盾、それからこの地域の地図だ。他にもナイフやロープなど、サバイバル用の道具類とポーションなどの薬品があった。

「これくらいで充分でしょう」
「なあマリー、この死体は……その、どうする?」
「……いずれフォレストウルフが食べてしまうでしょう。ここは闇魔力が高くないので、アンデッド化することはないと思います」
「そうなのか?」
「はい。とにかく今はここを去りましょう。スタル村までは道案内できます。行きましょう」

 マリーにもまだ思うところはあるだろう。だが、俺は聞かない。俺は歩き出すマリーを追ってスタル村を目指し始めた。
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