百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ

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本編

014 地元グルメ

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 今日も今日とてバイトなのだが、シフトのメンバーとしては私とサラさんとミキさんとモエちゃんだ。
 来週には初めてのお給料日がやってくるのだが、月末に締めて10日に支払いということで、7月から働き始めた私の初任給は金額的にはそこまで多くはなさそうだ。
 それはさておき、なにやら今日から新メニューが始まるらしい。

「じゃじゃーん、サイダーかんだよ!」
「あぁ、サイダーかんかぁ。久々に見るや」

 サイダーを寒天で固めたそのデザートはこの辺りのローカルなデザートとしてそれなりにの知名度で、個人的にはけっこう好きな一品だ。学校給食とかでしか食べる機会がないし、中学から私立に通っていた私としては本当に小学校の思い出って感じだ。
 そんなサイダーかんに対して、初めましてって感じのリアクションを取ったのはサラさんだった。

「これは……なんで緑色なんですか?」

 サイダーって言われると青っぽいイメージがあるかもしれないが、個人的にはサイダーかんと言えば緑っぽいこの色のイメージがあるが、初めて見る人からすると違和感があるのかな?
 もっとも、私も正直なんで緑色なのかと問われれば答えは知らないのだけれど。

「これはシンプルにかき氷とかで使うメロンのシロップを入れているからだよ。ブルーハワイを使って青いやつも用意してあるよ。これからの時期、かき氷も出すからついでにもう一品くらい簡単に用意できないかなぁと思って作ってみたんだ。レシピはキッチンの他の子たちとも共有してあるから、誰がシフトに入っても作れるよ」

 なるほどなぁ。新商品を出すってことは、キッチンメンバーが誰でも作れるようにしておかないといけないんだなぁ。まぁ、ここのお店の場合、キッチンに入る人次第で出せる料理が違う時もあるけど。得手不得手があるってことなんだろうけど、それで言えばサイダーかんは簡単だし、誰にとっても作りやすいのかも。
 開店前に試食ということで、私とサラさんとミキさんでいただく。炭酸のシュワっとした爽やかさと、ゼリーにいっぱい含まれた気泡がもたらす独特の食感が、まさに懐かしいって感じさせてくれる。

「すごい……初めて食べるのにどこか懐かしい……」
「お、サラも分かる? 学校給食の定番って感じだったなぁ」

 ミキさんも食べるのは久しぶりなのか、感慨深げにうなずく。

「まぁ、牛乳寒天の方が好きなんだけどさ」

 ミキさんのコメントの続きに思わず脱力。確かに牛乳寒天も美味しいけどさ。

「そういえばさっきかき氷を出すって言ってましたよね?」
「まぁね。焼きそばも出すよ。気分は海の家ってね。まぁ、内装があまりにも海とか夏とかと無縁だから、いつも通り下着でのお給仕になるんだけどさ」

 ミキさん……普通は喫茶店の内装がされた空間を下着で過ごすこともおかしいはずなんだけど、やっぱり4Mの人はハナエさんと付き合いが長くてそういう感覚が鈍っているのかなぁ……。
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