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015 元気出してよ

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 その日、普段より少し遅い時間でシフトに入った私。メンバーは私とマカさんとメグさんにユラちゃんだ。私と交代で上がるアミさんに挨拶してホールに入ると、

「あ、ランちゃーん!」

 どこか悲し気な顔を浮かべながらジンジャエールをちびちび飲んでいるお客さんに声をかけられた。あの人は……やっぱり、ミホちゃんだ。
 ミホちゃんは私に初めてチップをくれたお客さんで、いれば指名で隣につかせてくれる。二十六歳のOLさんなのだが……以前は推しているアイドルが薬物で捕まったということで落ち込んでいたが……今日はどうしたんだろう。そういえばそのアイドルは書類送検されたんだっけなあ。そのことかなぁ……。

「ミホちゃん、今日も指名ありがとうね。今度はどうしたの?」
「あうぅ、夏のボーナスがさぁ、過去最ぃぃぃ底の金額でさぁ、あんなん寸志だよねぇ」
「す……寸志?」

 聞きなれない言葉だが、どうやら心ばかりのお金ということらしい。ボーナスなんて大層な金額じゃないよと零すミホちゃん。。よく聞くボーナスと言えば月給の一ヵ月とか一ヵ月半とかに相当する額なんて聞くけど……。

「二万円って……二万ってなんだよ……!!」
「え、えっと……それなのにここ来てて大丈夫?」

 まぁシルキストはあくまでコンセプトカフェであって、高価なお酒とかは一切ないからここの支払いでヤバいってことはないんだろうけど……それとは別のものが一つあって。

「いいのいいの、ここでがっつり使うために働いているだからさぁ。今日のチップだよぉ」

 ガサガサっと紙幣が私の谷間へと挿し込まれる。ひょっとしてだけど、ミホちゃんちょっとお酒飲んでからここ来たのかな。一応、お店としては泥酔しているお客さんは入店拒否しているけど、ほのかに飲酒しているくらいじゃお断りはしていない。
 なんとなくそれを尋ねると、どうやら会社の付き合いで飲みに行ったがあまり楽しくなくてこちらに来たようだ。

「職場の人と飲んでも楽しくないんだよねぇ……やっぱり仕事そろそろやめようかなぁ」
「ふふ、じゃあここで働きますか?」
「そりゃあ……私の胸に手を当てて考えてごらんよ。無理だよ。小さいもん」

 まぁまぁ華奢なミホちゃんは確かにここで働こうと思ってもそうはいかないかもしれない。

「やっぱりおっぱいだよ。おっぱいは全てを解決する」

 そう言って私の胸に顔を埋めるミホちゃん。さっき挿し込まれたチップは既に場所を移しており、ミホちゃんに思う存分癒しを提供する。

「ありがと、ちょっとだけ触るね」

 私がおっぱいを揉まれているのに、次第にミホちゃんの表情がほぐれていっているように思えた。

「うん、やっぱりまだ頑張れそう」
「そっか。じゃあ、元気が足りなくなったらまた来てね」
「ランちゃんのおかげだよ。またよろしくね」

 最初に来た時は変わったお店だと思ったけど、こうしてお客さんが元気になってくれるとやっぱり嬉しいものだね。
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