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30章 豊穣祭
祭りの景色
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トモエとオユキにとってこの世界で参列者ではなく、観客として祭りを見て回るのはこれが初めて。もしくは、移動の時間の中で消化されないのは、これが初めて。何処か不思議な気持ちで、それでも楽しさは、浮つく心は互いに隠しようもなく。周囲をこれでもかと言う位に護衛に囲まれながらも乗馬にそれぞれに乗って、まずはとばかりに王都の目抜き通りを冷やかして回る。
王都については、中央に存在する白から各公爵が構える王都での屋敷に向けて五つ大きな道が整備されている。馬車にしてもかなり大型の物がすれ違うどころか、互いに三台並走しても問題がないほど。流石に磨き抜かれたなどとは呼べないのだが、それでも美しい石畳が敷かれたそこを暫く進んで、貴族街の先。そこには初期からという事も無いのだろうが、建て替えなども行われているようでそこまで明確な古さを感じる事は無いのだが、長く大戸に住んでいる者たち。もしくは、そういった場所に住むことを望む者たちが暮らす一角。流石に、この辺りから王都の外に出ようと考えれば、馬車を使うか馬に乗るのか。そうでもしない限りは、似たような速度で走らなければかなり時間がかかるため、流石に狩猟者として王都の周りで魔物を狩る者たちが暮らせるような場所ではない。
そんな場所を、ゆっくりとした、大きさが尋常ではないため、トモエやオユキが歩くよりも軽く走るよりもはやい速度で進みながら祭りの日らしい浮つきが支配する場をしばらく進む。そして、ようやく話に聞いたと言えばいいのだろうか。雨乞いの祭りとして、水と癒しが喜ぶに違いないからと市場にはそちらに連なる形で実に多くの品が用意されている。以前に、それこそファルコと少年たちと共に足を運んだ場所に、貴族街と呼べはしない場所、それでも区画としては貴族たちが暮らす場では間違いないだろう場所。そこに、存在している一角に。
「また、雰囲気ががらりと」
「そう、なのですか」
「そういえば、オユキさんはこの辺りを通る時は馬車の中ばかりでしたね」
トモエがそんな事をつぶやけば、心当たりなど平素に比べて賑やかだ位のオユキが思わずとばかりに尋ねてみる。
「そうですね。これまでであれば、やはりこの辺りは閉塞感に近い物がありましたが」
「ああ」
「後は、そうしたことがあったのでしょう。人手が減っているのですが」
これまで以上に賑やかな場所となっているのだと、そうトモエが語る。最も、こうして話していれば実に目立つ格好を、こちらではまず見ない格好をした者たちが揃って馬に乗っているのだ。当然目を引くと言うもの。そして、トモエもオユキも家紋を刺繍しているために目ざとい者たちと言うのはやはり気が付くのだ。近寄ってくる相手には、また何かあるのではないかとそう考える者たちには、護衛としてついてきてくれている騎士たちから説明がなされている。だが、どうにも期待とでもいえばいいのだろうか。筋違いとまではいわないのだが、王都でも一度纏めて洗礼などをしたこともあり今もそれが行われるのではないかと、そうした視線をオユキとしては感じるものだ。具体的に何かを行うつもりは今は無いのだが、今後少しくらいは等と。それこそ、新しく生まれた者たちが一気に増えるだろう豊穣祭の時には、また希望者を募ってなどとは考えている。
「オユキさん、あちら、面白い物を出しているようですよ」
「おや」
どうにも、こうして出てきてみたはいい物の。オユキの鼻に届くのはかなりきつい肉と脂の焼ける匂いが多い。勿論、こちらで暮らす者たちの多くが好むには違いない。だが、苦手とする者たちとて間違いなくいるはずなのだ。そんな事を考えながらだろうか、ついつい口元を檜扇で抑え勝がちにはなっている。オユキ自身、そうした自覚はあるのだが、せっかくの機会でもある。行儀が宜しくないと、そうした自覚はオユキにも確かにあるのだがそのあたりは堪えてほしい物だ。
「あれは、なんでしょう」
「腸詰の類かとは思いますが」
「それにしては、いえ、確かにこちらの生き物の大きさを考えれば、あの大きさにもなりますか」
科学的に合成したセルロースなども無い世界で、何やら随分な大きさを誇る円筒形の肉を焼いている。ハムのように丸めて成型しているのかと遠めに見ればそのようにも思えるのだが、だがそちらについてはそもそも軽くあぶるだけでよいはず。だというのに、すっかりとおなじみになっている屋外向けのコンロで細かく転がしながら焼き上げるそれは、確かにトモエの言う様にそちらの可能性も高く思える。
「トモエ様、オユキ様、宜しければ」
「流石に、この場でと言う訳にもいきませんので、そのまま屋敷へ。オユキさんは、こうした物であれば少しは」
「いえ、どうでしょうか。あれが腸詰だとすれば、かなり脂なども混ぜ込んでいるでしょうから」
生前の印象が強いオユキとしては、そう応えるしかない。トモエが話しているのは、以前にとある国に旅行で行った際にその国で有名な飲み物との相性も良く、随分と気に入ったいたからだろう。
「ヴィルヘルミナさんの生国の物ではありますから、そちら用にもとするのがいいでしょう」
「そうですね。流石に量は」
「ええと、工業化されていないのだとすれば、作るのには相応に手間もいりますから」
ただ、それようの魔道具とでもいえばいいのだろうか、手回しでも足踏みでもどうにかできない事は無いのだろうが。
「かつての事ですが、回転機の開発に心血を注いだ方がいたのですよね」
「その口ぶりでは」
「水車も風車も回らず、電機などもってのほか。そうした状況でも、思いつく限りを試したそうですが」
だが、位置エネルギーですら寄与しなかったため、いよいよ手の出せない領域であるとそんな結論も下りていたと聞いている。ただ、オユキとしても気になる事は過去にあったのだが、それが何かは今は思い出せずにいる。それこそ、今頃橋を作り終わり、確認までを終えたアマギあたりが心血を注いでいるのではないかと考えているのだが。
「何にせよ、ミズキリの願いが、目的が達成された時には、そのあたりの研究も進みそうですが」
「そのあたりは、また後でお伺いするとしましょうか」
「そうですね。それに、祭りの場として、以前には、その、食べ物ばかりではなく」
前に来た時には蔵出しの武器であったり、それこそ工芸品であったりを取り扱っている者たちもいたはずなのだ。この日ばかりは、商業ギルドにしても細かく統制などできぬと匙を投げて、いよいよもって販売した利益については各自でとなっている。勿論、ギルドに登録したうえで行っている者たちはあくまで一時の事として帳簿につけることが義務付けられてはいるのだが。要は、普段販売側にならない者たちが、この機会にとできるかつてでいえばフリーマーケットに近い物。
「そういった物は、もう少し先で固まっているようです」
「ああ。確かに、似た物でまとまるというのも自然な流れですか」
確かに、その方が買い手にも売り手にも利が多い物かとトモエは納得をして、オユキは少し考えた上で、それに頷く。こうした環境であれば、やはりそれぞれが思い思いに。つまりは、きちんと統制をとる者がいると言う事であるらしい。そういった人間は、きちんと見るものが見た上で然るべき場所に報告がいくのだろう。今は、何処でも集団を纏められる人間というのが求められている。特に、急激に規模の膨れ上がっている市場を取り仕切らねばならない商業ギルドなどは、尚の事。
「では、トモエさんのほうで満足したのであれば、そちらに向かうとしましょうか」
「オユキさんとしては、この辺りで何か気になる者はありませんか」
「流石に、既に朝食も十分以上に頂いていますし」
何より、衣装の圧迫感が強いために、オユキのほうではそこまで何かを口に入れたいと思えない。それを示すためにも、軽く帯に振れたりなどすれば、トモエのほうでもしっかりと理解が及んだようで、苦笑いと共に頷きが返ってくる。過去にしても、なんだかんだとトモエは洋装よりも和装を好んだことがあり慣れがあるのだが、オユキのほうでは流石にまだ色々難しいのだと理解もある。慣れれば楽、というよりもそれを当然とできるだけの素地が作られるという意味で、決して楽なという意味ではないことも含めて。
「では、いよいよそれぞれからいくらか買い上げて、屋敷にとして頂きましょうか」
「そうですね。食事の口はいくらでもありますから」
こうして、今日は実に目立つ位置に護衛もついてくれている。そして、それ以外の場所にも当然のように。しかし、それでもまだ屋敷の離れに暮らす者たちとているのだ。こうして大挙して外に出る。そんな機会だからこそとばかりに掃除に精を出しているだろう者達。今日の夜には、神殿に向かう事となっているオユキの衣装やトモエの装束を用意している者たちもいる。ヴィルヘルミナとカリンはそれぞれに祭りを楽しんでいるのだが、アルノーのほうでは明日の本祭に向けて神殿に納めるものをはじめ、振る舞いもせっかくだからお粉覆うという話にもなったために、参加が決まって以降は大量の仕込みに日々奮闘している。
晴れの日等と言えば勿論聞こえは良い。だが、やはりその日を整える役割を持つ者たちと言うのは、忙しくしている物だ。
「雑貨の類は、流石に細かく選ぼうとは思いますが」
「その、あまりこういった言い方は好みませんが」
「ええ、私にしてもここ暫くで気が付きましたから」
蓄財どころではないファンタズマ子爵家の現状。流石に、他所の貴族家の懐事情を聴いたりなどは出来ていないのだが、桁が二つほど違うのだ。入ってくる額と、出ていく額が。これで使用人たちに給金をきちんと払う様になれば多少は正常化もされるのだろうが、今はそれも叶わない。流石に、仕えようという人間を、あと三年ほどすればなくなるかもしれない家に縛り付けておくというのも、色々と問題がある。だからこそ、今は借り物の人員で固まっており、そちらは借りているからこそ支出として発生していない。
現在は、それこそファンタズマ子爵家を後につなぐかもしれないエステール位にしか、明確な支払先が生まれていないのだ。
「ただ、収入の六割近くが私たちの普段の狩りに依る物だというのは、かなり意外でしたが」
王都については、中央に存在する白から各公爵が構える王都での屋敷に向けて五つ大きな道が整備されている。馬車にしてもかなり大型の物がすれ違うどころか、互いに三台並走しても問題がないほど。流石に磨き抜かれたなどとは呼べないのだが、それでも美しい石畳が敷かれたそこを暫く進んで、貴族街の先。そこには初期からという事も無いのだろうが、建て替えなども行われているようでそこまで明確な古さを感じる事は無いのだが、長く大戸に住んでいる者たち。もしくは、そういった場所に住むことを望む者たちが暮らす一角。流石に、この辺りから王都の外に出ようと考えれば、馬車を使うか馬に乗るのか。そうでもしない限りは、似たような速度で走らなければかなり時間がかかるため、流石に狩猟者として王都の周りで魔物を狩る者たちが暮らせるような場所ではない。
そんな場所を、ゆっくりとした、大きさが尋常ではないため、トモエやオユキが歩くよりも軽く走るよりもはやい速度で進みながら祭りの日らしい浮つきが支配する場をしばらく進む。そして、ようやく話に聞いたと言えばいいのだろうか。雨乞いの祭りとして、水と癒しが喜ぶに違いないからと市場にはそちらに連なる形で実に多くの品が用意されている。以前に、それこそファルコと少年たちと共に足を運んだ場所に、貴族街と呼べはしない場所、それでも区画としては貴族たちが暮らす場では間違いないだろう場所。そこに、存在している一角に。
「また、雰囲気ががらりと」
「そう、なのですか」
「そういえば、オユキさんはこの辺りを通る時は馬車の中ばかりでしたね」
トモエがそんな事をつぶやけば、心当たりなど平素に比べて賑やかだ位のオユキが思わずとばかりに尋ねてみる。
「そうですね。これまでであれば、やはりこの辺りは閉塞感に近い物がありましたが」
「ああ」
「後は、そうしたことがあったのでしょう。人手が減っているのですが」
これまで以上に賑やかな場所となっているのだと、そうトモエが語る。最も、こうして話していれば実に目立つ格好を、こちらではまず見ない格好をした者たちが揃って馬に乗っているのだ。当然目を引くと言うもの。そして、トモエもオユキも家紋を刺繍しているために目ざとい者たちと言うのはやはり気が付くのだ。近寄ってくる相手には、また何かあるのではないかとそう考える者たちには、護衛としてついてきてくれている騎士たちから説明がなされている。だが、どうにも期待とでもいえばいいのだろうか。筋違いとまではいわないのだが、王都でも一度纏めて洗礼などをしたこともあり今もそれが行われるのではないかと、そうした視線をオユキとしては感じるものだ。具体的に何かを行うつもりは今は無いのだが、今後少しくらいは等と。それこそ、新しく生まれた者たちが一気に増えるだろう豊穣祭の時には、また希望者を募ってなどとは考えている。
「オユキさん、あちら、面白い物を出しているようですよ」
「おや」
どうにも、こうして出てきてみたはいい物の。オユキの鼻に届くのはかなりきつい肉と脂の焼ける匂いが多い。勿論、こちらで暮らす者たちの多くが好むには違いない。だが、苦手とする者たちとて間違いなくいるはずなのだ。そんな事を考えながらだろうか、ついつい口元を檜扇で抑え勝がちにはなっている。オユキ自身、そうした自覚はあるのだが、せっかくの機会でもある。行儀が宜しくないと、そうした自覚はオユキにも確かにあるのだがそのあたりは堪えてほしい物だ。
「あれは、なんでしょう」
「腸詰の類かとは思いますが」
「それにしては、いえ、確かにこちらの生き物の大きさを考えれば、あの大きさにもなりますか」
科学的に合成したセルロースなども無い世界で、何やら随分な大きさを誇る円筒形の肉を焼いている。ハムのように丸めて成型しているのかと遠めに見ればそのようにも思えるのだが、だがそちらについてはそもそも軽くあぶるだけでよいはず。だというのに、すっかりとおなじみになっている屋外向けのコンロで細かく転がしながら焼き上げるそれは、確かにトモエの言う様にそちらの可能性も高く思える。
「トモエ様、オユキ様、宜しければ」
「流石に、この場でと言う訳にもいきませんので、そのまま屋敷へ。オユキさんは、こうした物であれば少しは」
「いえ、どうでしょうか。あれが腸詰だとすれば、かなり脂なども混ぜ込んでいるでしょうから」
生前の印象が強いオユキとしては、そう応えるしかない。トモエが話しているのは、以前にとある国に旅行で行った際にその国で有名な飲み物との相性も良く、随分と気に入ったいたからだろう。
「ヴィルヘルミナさんの生国の物ではありますから、そちら用にもとするのがいいでしょう」
「そうですね。流石に量は」
「ええと、工業化されていないのだとすれば、作るのには相応に手間もいりますから」
ただ、それようの魔道具とでもいえばいいのだろうか、手回しでも足踏みでもどうにかできない事は無いのだろうが。
「かつての事ですが、回転機の開発に心血を注いだ方がいたのですよね」
「その口ぶりでは」
「水車も風車も回らず、電機などもってのほか。そうした状況でも、思いつく限りを試したそうですが」
だが、位置エネルギーですら寄与しなかったため、いよいよ手の出せない領域であるとそんな結論も下りていたと聞いている。ただ、オユキとしても気になる事は過去にあったのだが、それが何かは今は思い出せずにいる。それこそ、今頃橋を作り終わり、確認までを終えたアマギあたりが心血を注いでいるのではないかと考えているのだが。
「何にせよ、ミズキリの願いが、目的が達成された時には、そのあたりの研究も進みそうですが」
「そのあたりは、また後でお伺いするとしましょうか」
「そうですね。それに、祭りの場として、以前には、その、食べ物ばかりではなく」
前に来た時には蔵出しの武器であったり、それこそ工芸品であったりを取り扱っている者たちもいたはずなのだ。この日ばかりは、商業ギルドにしても細かく統制などできぬと匙を投げて、いよいよもって販売した利益については各自でとなっている。勿論、ギルドに登録したうえで行っている者たちはあくまで一時の事として帳簿につけることが義務付けられてはいるのだが。要は、普段販売側にならない者たちが、この機会にとできるかつてでいえばフリーマーケットに近い物。
「そういった物は、もう少し先で固まっているようです」
「ああ。確かに、似た物でまとまるというのも自然な流れですか」
確かに、その方が買い手にも売り手にも利が多い物かとトモエは納得をして、オユキは少し考えた上で、それに頷く。こうした環境であれば、やはりそれぞれが思い思いに。つまりは、きちんと統制をとる者がいると言う事であるらしい。そういった人間は、きちんと見るものが見た上で然るべき場所に報告がいくのだろう。今は、何処でも集団を纏められる人間というのが求められている。特に、急激に規模の膨れ上がっている市場を取り仕切らねばならない商業ギルドなどは、尚の事。
「では、トモエさんのほうで満足したのであれば、そちらに向かうとしましょうか」
「オユキさんとしては、この辺りで何か気になる者はありませんか」
「流石に、既に朝食も十分以上に頂いていますし」
何より、衣装の圧迫感が強いために、オユキのほうではそこまで何かを口に入れたいと思えない。それを示すためにも、軽く帯に振れたりなどすれば、トモエのほうでもしっかりと理解が及んだようで、苦笑いと共に頷きが返ってくる。過去にしても、なんだかんだとトモエは洋装よりも和装を好んだことがあり慣れがあるのだが、オユキのほうでは流石にまだ色々難しいのだと理解もある。慣れれば楽、というよりもそれを当然とできるだけの素地が作られるという意味で、決して楽なという意味ではないことも含めて。
「では、いよいよそれぞれからいくらか買い上げて、屋敷にとして頂きましょうか」
「そうですね。食事の口はいくらでもありますから」
こうして、今日は実に目立つ位置に護衛もついてくれている。そして、それ以外の場所にも当然のように。しかし、それでもまだ屋敷の離れに暮らす者たちとているのだ。こうして大挙して外に出る。そんな機会だからこそとばかりに掃除に精を出しているだろう者達。今日の夜には、神殿に向かう事となっているオユキの衣装やトモエの装束を用意している者たちもいる。ヴィルヘルミナとカリンはそれぞれに祭りを楽しんでいるのだが、アルノーのほうでは明日の本祭に向けて神殿に納めるものをはじめ、振る舞いもせっかくだからお粉覆うという話にもなったために、参加が決まって以降は大量の仕込みに日々奮闘している。
晴れの日等と言えば勿論聞こえは良い。だが、やはりその日を整える役割を持つ者たちと言うのは、忙しくしている物だ。
「雑貨の類は、流石に細かく選ぼうとは思いますが」
「その、あまりこういった言い方は好みませんが」
「ええ、私にしてもここ暫くで気が付きましたから」
蓄財どころではないファンタズマ子爵家の現状。流石に、他所の貴族家の懐事情を聴いたりなどは出来ていないのだが、桁が二つほど違うのだ。入ってくる額と、出ていく額が。これで使用人たちに給金をきちんと払う様になれば多少は正常化もされるのだろうが、今はそれも叶わない。流石に、仕えようという人間を、あと三年ほどすればなくなるかもしれない家に縛り付けておくというのも、色々と問題がある。だからこそ、今は借り物の人員で固まっており、そちらは借りているからこそ支出として発生していない。
現在は、それこそファンタズマ子爵家を後につなぐかもしれないエステール位にしか、明確な支払先が生まれていないのだ。
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