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27章 雨乞いを
雨乞いに臨む
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結局のところ、今回の顛末と言うのは本当に根の深い話にはなってくるのだ。
雨が降ることを望んでいるのは、この世界の水量を増やすことを望んでいるのは水と癒し。それだけであれば、まだ先送りにすることもできた。だが、トモエとオユキがどうにか期間内に神殿をめぐることが出来る様にと、そこで使わなければならない道具を与える事とした。そして、それらをもう少し細かくと考えているのは、やはりトモエとオユキもなのだ。そうであれば、手を借りなければいけない相手が、この世界でそうした物を確かに司る相手に頼まねばならない。それこそ、上位の存在であれば問答無用でとできることもあるのだろう。だが、それを人に与えようと考えたときに、そこに今は縛られている役割という物が出てくることになる。
風翼の門、その名前が与えられた、人の移動の制約を軽減するための門は、やはり異空と流離の神が中心を司っている。その相手が望むことを、対価を得るためには差し出さねばならないものがある。神々は、基本として人を助ける存在ではあるのだが、積極的にと望むのであれば容赦なく対価を求める存在でもある。
「要は、かつての世界、そこでの関係性と言いましょうか」
「オユキ様、何か」
「何と言うほどでもありませんが、とかくこの世はと言う話でしょうか」
「一体何を言っているのか、私にもわかる様に話してもらいたいものですね」
そして、オユキのボヤキに対しては、この決断を待っていたとばかりに舞い戻ってきたフスカが実に見事に挑発を。流石に、己がミリアムに対して行った物、それが返ってきているだけだと言う自覚もあれば、先ごろの事でどうにも遺恨が残っているのも理解している。とかく、オユキとこのフスカと言う人物は相性が良くない。いや、フスカと言うよりも、言ってしまえばカナリア以外の翼人種と上手くやれないのだとそれがよく分かる。要は、ことごとく彼女たちが嫌う物をオユキが備えていると言う、そういう事になるのだが。
「自覚は、あるのですね、意外にも」
「あの、一応何度となく繰り返してそう申し上げさせて頂いているかと」
「であるならば、と、そう考えてしまうのですよ」
我欲に、妄執。そうした物を抱えているのだと理解して、何故それらからの脱却を求めぬかが分からぬと、実に気軽にそう話をされる。そんな相手にしても、散々に食欲に忠実なところを見たようなと、オユキとしてはそのようについつい考えて。
「確かに、私たちの裔にしてもまだまだという物たちもいますが」
「フスカ様も、いえ、言われてみれば確かにという物ですか」
この人物は、確かにこれまでを振り返ってみれば対価として求める事はあってもそれ以上は無かったようにも思える。もしくは、彼女の崇める神、異空と流離の求めに応じる形で、こちらに対して。他の料理や、食材を求めて舞い降りてきていたのは、彼女の同族ばかり。そして、度々こうしてオユキの前に姿を現しているのは。
「目をつけられているのでしょうね」
「もう少し早く気が付くかとも考えていましたが」
「その、カナリアさんからですね」
「あの子は、随分と遠い子ですから。今のままだと、後三千年程はいるのでしょうね」
それはまた、気の長い事で。ため息とともに、オユキはそう返して今は雨乞いの為にとフスカに言われた所作でだろう、水と癒しの教会から借り受けた人員たちと共に、何やら粛々と祭祀を進めている。流れとしては、基本的にどうと言う事の無い物ではある。
然るべき形に薪をくみ上げ、中央に小山のようにとしか言いようは無いのだが、その実かなりあれこれとカナリアが口を出し、それでも不足があるとフスカの監修が入った箇所。そしてその周囲に七つ程が水と癒しの教会から手伝いに来た者たちがあれこれと指示をしながらくみ上げられている。上空から見れば、成程と思う形になっているのだろう。地を歩くオユキとしては、散々に学んだ聖印、それの要所とされている箇所を抑えている物なのだとそうした認識ができる程度。
「さて、豊穣祭は、やはり王都での参加になりそうですね」
困ったことだと。
それこそ、あの子供たちに案内してもらいたいと、始まりの町で行うあの子供たちにとっての大事。それを一度くらいはと、オユキとしても考えはするのだが。それこそ、新しく行うと決めた祭り、その時には色々とみることが出来たのだが、これまで大事にしてきた物が、慣れ親しんだものがと、それくらいには考えるのだ。
「あら、意外ですね」
「クレリー家で行ってもと考えはするのですが、どうにも」
今は、オユキがただ決めた事、今後必要になるからとカルラにしてもどうにかカナリアの手伝いを今行ている最中なのだ。どの程度の規模かはわからないのだが、正直、二か所で行う必要もあるだろうと、やはりオユキはそのように考えている。始まりの町、そちらで行う事は流石に今回ばかりは無いだろうが、それでもと思う所ではやらねばならないだろう。
「気が進まないと」
「いえ、こう新たな火種を作りかねないと言いますか」
一応は、救うと決めた。そんな場所に、ふらりと元凶が行ったうえでまた何かこれまでになかったことを。そんなことを行ってしまえば、実に面倒な事を色々と引き起こすには違いない。今後、改めて訪れるときは来るのだろうが、それにしてもなかなかに愉快な護衛体制を整えた上で。もしくは、完全にカルラが全てを掌握した後に。
「それに、領主としてクレリー家子女が立つのが先ですから」
「あの子、ですか」
「名前からして、よもやとは考えていましたが」
「既に血もだいぶ薄れています」
全く、このフスカなる人物にしてもつくづく隠し事が多い。いや、隠していると言うよりも、話せぬ様にとされていることが多いと言うべきなのだろう。
「この世界には、どの程度」
「数億程でしょうか、把握しているのは」
「この大陸に限った話では、無いのでしょうね」
「ええ。この大陸にと限るのであれば、薄れているのだとしても、血族と呼んでよいのは数万程度でしょう」
そして、フスカの語る話には、随分とオユキとしてもわかりやすいヒントが得られるものだと。この大陸、十分すぎる程に広大なこの大陸。今はこの大陸で暮らしている者たちにとっては、途方もない話だと言うのに、この翼人種の長を名乗る人物は平然と普く全てを把握できるのだと言ってのける。それで、神では無いと言うのがいよいよもって座を持つ相手の途方も無さと言う所なのだろう。カナリアが長老方と複数いる事を隠しもしないと言うのに、少なくともオユキの認識している範囲ではそれに類する人物としてこのフスカ以外に出会ったことがないのだ。
「貴女は、どうでしょうか。私たちは、見た目がそこまで大きく違うと言う訳でもないですから」
「魔国の王妃様にしても、フスカ様にしても」
「一度、翼を、炎を交えたのです。色々と、分かるようになるという物ですよ。それに、気が付いているのでしょうが」
「ええ」
どうやら、オユキの内に未だに残されている火を指しているのだと、流石にそれくらいは。
「てっきり、それを使って今回と考えていたのですが」
「貴女では、どうでしょうか」
そう、残っているそれを使って、今回オユキが火をつけるのだろうかなどと考えていたのだが、どうにもそうでは無いらしい。そして、それについてフスカが考えるそぶりを見せていると言う事は、要は今回得体結果とはまた違う物が得られると言う事らしい。
「あの、問題になると言うのであれば」
「問題と言えば問題でしょう。ですが、私がどうこうするほどの物かと言われると」
「つまりは、降る雨の特性が変わると言う事ですか」
オユキの核となっている物、それについては魔国の王妃から示唆されたものがある。たとえ外から加えられたものなのだとしても、外に出そうと思えば乗る物もあるのだろう。確かに、馴染めば分けられるなどとは聞いているのだが、オユキ自身今己がそれを行えるのかと言われれば無理だと応えるしかない。
「ええ。自覚もあるようですし、そうした景観を好む者もいるのでしょうが」
しかして、フスカの言葉を聞く限り、少々異なる結果が得られるようであるらしい。ただ、言われて、そう言われてようやく気が付いたことにしても今こちらで実際にと行ってしまえば問題ばかりを引き起こす。オユキが雨を乞うのならば、そこで振るのは雨ではない。物質として、かつてでは同じものが少々形態を変えている、それで済んでいたのだがこちらでは間違いなく違う物。
魔国の王妃が使った奇跡、それで新たになった情報。こちらの世界では、原子論が支配しているのではないのだと。かつてであれば、これまでであれば、イドとオドという名前の電子と陽子か等と考えたのだろうが、そう聞こえなかった以上は全く異なるのだとようやく理解も及んだ。故に、かつての世界とは根本から異なる法則がこの世界を、宇宙を支配しているのだと。万有引力が無い、つまりは特異点も存在しない。つまり、この世界には観測範囲を超える宇宙、それが定める宇宙の果て等と言う言葉よりもあまりに明確な果てが存在しているのだろう。
「この空の果て、そこには何があるのでしょうか」
オユキたちの目の前では、動作に不慣れがはっきりと出ているカルラと、どうにか取り繕えているカナリアがそれぞれに雨を乞う相手を湛える言葉を紡いでいる。オユキは、そうした式次第なのだと聞いてはいる。そんな姿を見ながらも、やはり空から落ちてくるものがあるのだと考えれば、そちらにどうしても意識が向かう。
「翼をもっていても、難しいですよ」
「ああ、ご存じなのですね」
オユキのつぶやきに、やはりそれが当然とばかりにフスカから回答が。
「あの果てには、やはり神々の世界があるのです」
「座、ですか」
「いえ、そちらは世界樹の中にある、物質界とは全く異なる相におけるものです」
そうして、フスカが変わらぬ調子でさらなる説明を加えてくれているのだろうが、生憎それがオユキの耳に届く事は無い。教示の奇跡、それが残っているのであればこの機会に、そんなことを僅かに考えての事ではあったのだが、そこまで甘いものではないのだと。
雨が降ることを望んでいるのは、この世界の水量を増やすことを望んでいるのは水と癒し。それだけであれば、まだ先送りにすることもできた。だが、トモエとオユキがどうにか期間内に神殿をめぐることが出来る様にと、そこで使わなければならない道具を与える事とした。そして、それらをもう少し細かくと考えているのは、やはりトモエとオユキもなのだ。そうであれば、手を借りなければいけない相手が、この世界でそうした物を確かに司る相手に頼まねばならない。それこそ、上位の存在であれば問答無用でとできることもあるのだろう。だが、それを人に与えようと考えたときに、そこに今は縛られている役割という物が出てくることになる。
風翼の門、その名前が与えられた、人の移動の制約を軽減するための門は、やはり異空と流離の神が中心を司っている。その相手が望むことを、対価を得るためには差し出さねばならないものがある。神々は、基本として人を助ける存在ではあるのだが、積極的にと望むのであれば容赦なく対価を求める存在でもある。
「要は、かつての世界、そこでの関係性と言いましょうか」
「オユキ様、何か」
「何と言うほどでもありませんが、とかくこの世はと言う話でしょうか」
「一体何を言っているのか、私にもわかる様に話してもらいたいものですね」
そして、オユキのボヤキに対しては、この決断を待っていたとばかりに舞い戻ってきたフスカが実に見事に挑発を。流石に、己がミリアムに対して行った物、それが返ってきているだけだと言う自覚もあれば、先ごろの事でどうにも遺恨が残っているのも理解している。とかく、オユキとこのフスカと言う人物は相性が良くない。いや、フスカと言うよりも、言ってしまえばカナリア以外の翼人種と上手くやれないのだとそれがよく分かる。要は、ことごとく彼女たちが嫌う物をオユキが備えていると言う、そういう事になるのだが。
「自覚は、あるのですね、意外にも」
「あの、一応何度となく繰り返してそう申し上げさせて頂いているかと」
「であるならば、と、そう考えてしまうのですよ」
我欲に、妄執。そうした物を抱えているのだと理解して、何故それらからの脱却を求めぬかが分からぬと、実に気軽にそう話をされる。そんな相手にしても、散々に食欲に忠実なところを見たようなと、オユキとしてはそのようについつい考えて。
「確かに、私たちの裔にしてもまだまだという物たちもいますが」
「フスカ様も、いえ、言われてみれば確かにという物ですか」
この人物は、確かにこれまでを振り返ってみれば対価として求める事はあってもそれ以上は無かったようにも思える。もしくは、彼女の崇める神、異空と流離の求めに応じる形で、こちらに対して。他の料理や、食材を求めて舞い降りてきていたのは、彼女の同族ばかり。そして、度々こうしてオユキの前に姿を現しているのは。
「目をつけられているのでしょうね」
「もう少し早く気が付くかとも考えていましたが」
「その、カナリアさんからですね」
「あの子は、随分と遠い子ですから。今のままだと、後三千年程はいるのでしょうね」
それはまた、気の長い事で。ため息とともに、オユキはそう返して今は雨乞いの為にとフスカに言われた所作でだろう、水と癒しの教会から借り受けた人員たちと共に、何やら粛々と祭祀を進めている。流れとしては、基本的にどうと言う事の無い物ではある。
然るべき形に薪をくみ上げ、中央に小山のようにとしか言いようは無いのだが、その実かなりあれこれとカナリアが口を出し、それでも不足があるとフスカの監修が入った箇所。そしてその周囲に七つ程が水と癒しの教会から手伝いに来た者たちがあれこれと指示をしながらくみ上げられている。上空から見れば、成程と思う形になっているのだろう。地を歩くオユキとしては、散々に学んだ聖印、それの要所とされている箇所を抑えている物なのだとそうした認識ができる程度。
「さて、豊穣祭は、やはり王都での参加になりそうですね」
困ったことだと。
それこそ、あの子供たちに案内してもらいたいと、始まりの町で行うあの子供たちにとっての大事。それを一度くらいはと、オユキとしても考えはするのだが。それこそ、新しく行うと決めた祭り、その時には色々とみることが出来たのだが、これまで大事にしてきた物が、慣れ親しんだものがと、それくらいには考えるのだ。
「あら、意外ですね」
「クレリー家で行ってもと考えはするのですが、どうにも」
今は、オユキがただ決めた事、今後必要になるからとカルラにしてもどうにかカナリアの手伝いを今行ている最中なのだ。どの程度の規模かはわからないのだが、正直、二か所で行う必要もあるだろうと、やはりオユキはそのように考えている。始まりの町、そちらで行う事は流石に今回ばかりは無いだろうが、それでもと思う所ではやらねばならないだろう。
「気が進まないと」
「いえ、こう新たな火種を作りかねないと言いますか」
一応は、救うと決めた。そんな場所に、ふらりと元凶が行ったうえでまた何かこれまでになかったことを。そんなことを行ってしまえば、実に面倒な事を色々と引き起こすには違いない。今後、改めて訪れるときは来るのだろうが、それにしてもなかなかに愉快な護衛体制を整えた上で。もしくは、完全にカルラが全てを掌握した後に。
「それに、領主としてクレリー家子女が立つのが先ですから」
「あの子、ですか」
「名前からして、よもやとは考えていましたが」
「既に血もだいぶ薄れています」
全く、このフスカなる人物にしてもつくづく隠し事が多い。いや、隠していると言うよりも、話せぬ様にとされていることが多いと言うべきなのだろう。
「この世界には、どの程度」
「数億程でしょうか、把握しているのは」
「この大陸に限った話では、無いのでしょうね」
「ええ。この大陸にと限るのであれば、薄れているのだとしても、血族と呼んでよいのは数万程度でしょう」
そして、フスカの語る話には、随分とオユキとしてもわかりやすいヒントが得られるものだと。この大陸、十分すぎる程に広大なこの大陸。今はこの大陸で暮らしている者たちにとっては、途方もない話だと言うのに、この翼人種の長を名乗る人物は平然と普く全てを把握できるのだと言ってのける。それで、神では無いと言うのがいよいよもって座を持つ相手の途方も無さと言う所なのだろう。カナリアが長老方と複数いる事を隠しもしないと言うのに、少なくともオユキの認識している範囲ではそれに類する人物としてこのフスカ以外に出会ったことがないのだ。
「貴女は、どうでしょうか。私たちは、見た目がそこまで大きく違うと言う訳でもないですから」
「魔国の王妃様にしても、フスカ様にしても」
「一度、翼を、炎を交えたのです。色々と、分かるようになるという物ですよ。それに、気が付いているのでしょうが」
「ええ」
どうやら、オユキの内に未だに残されている火を指しているのだと、流石にそれくらいは。
「てっきり、それを使って今回と考えていたのですが」
「貴女では、どうでしょうか」
そう、残っているそれを使って、今回オユキが火をつけるのだろうかなどと考えていたのだが、どうにもそうでは無いらしい。そして、それについてフスカが考えるそぶりを見せていると言う事は、要は今回得体結果とはまた違う物が得られると言う事らしい。
「あの、問題になると言うのであれば」
「問題と言えば問題でしょう。ですが、私がどうこうするほどの物かと言われると」
「つまりは、降る雨の特性が変わると言う事ですか」
オユキの核となっている物、それについては魔国の王妃から示唆されたものがある。たとえ外から加えられたものなのだとしても、外に出そうと思えば乗る物もあるのだろう。確かに、馴染めば分けられるなどとは聞いているのだが、オユキ自身今己がそれを行えるのかと言われれば無理だと応えるしかない。
「ええ。自覚もあるようですし、そうした景観を好む者もいるのでしょうが」
しかして、フスカの言葉を聞く限り、少々異なる結果が得られるようであるらしい。ただ、言われて、そう言われてようやく気が付いたことにしても今こちらで実際にと行ってしまえば問題ばかりを引き起こす。オユキが雨を乞うのならば、そこで振るのは雨ではない。物質として、かつてでは同じものが少々形態を変えている、それで済んでいたのだがこちらでは間違いなく違う物。
魔国の王妃が使った奇跡、それで新たになった情報。こちらの世界では、原子論が支配しているのではないのだと。かつてであれば、これまでであれば、イドとオドという名前の電子と陽子か等と考えたのだろうが、そう聞こえなかった以上は全く異なるのだとようやく理解も及んだ。故に、かつての世界とは根本から異なる法則がこの世界を、宇宙を支配しているのだと。万有引力が無い、つまりは特異点も存在しない。つまり、この世界には観測範囲を超える宇宙、それが定める宇宙の果て等と言う言葉よりもあまりに明確な果てが存在しているのだろう。
「この空の果て、そこには何があるのでしょうか」
オユキたちの目の前では、動作に不慣れがはっきりと出ているカルラと、どうにか取り繕えているカナリアがそれぞれに雨を乞う相手を湛える言葉を紡いでいる。オユキは、そうした式次第なのだと聞いてはいる。そんな姿を見ながらも、やはり空から落ちてくるものがあるのだと考えれば、そちらにどうしても意識が向かう。
「翼をもっていても、難しいですよ」
「ああ、ご存じなのですね」
オユキのつぶやきに、やはりそれが当然とばかりにフスカから回答が。
「あの果てには、やはり神々の世界があるのです」
「座、ですか」
「いえ、そちらは世界樹の中にある、物質界とは全く異なる相におけるものです」
そうして、フスカが変わらぬ調子でさらなる説明を加えてくれているのだろうが、生憎それがオユキの耳に届く事は無い。教示の奇跡、それが残っているのであればこの機会に、そんなことを僅かに考えての事ではあったのだが、そこまで甘いものではないのだと。
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